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攻撃したら『1G』ドロップするスキルで金策してたら最強になってた ~金極振り配信、始めます~  作者: ゆーしゃエホーマキ
フロントライン編

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#55. 大砂漠に呑まれて


 太陽が照りつける灼熱大地の大砂漠。

 見渡す限りの──砂、砂、砂。



「はぁ~、これが全部砂金(さきん)とかだったらいいのになぁ。どうです皆さん」


『うわ~夢ある~!!』

『金の砂海かぁ、銀色の砂のエリアとかはあったけどなぁ』

『でも砂を売れたら全プレイヤー億万長者だよ』

『運営涙目不可避』


「やっぱり?」


『でもカナメちゃんはゴルトライザーあるし稼げるでしょ?』

『いやあ、ゲームコインを換金できるからこそ、DDOの金策はそんなに簡単じゃないっすよ』


「武器とか防具の強化にもゴルト使うし、むしろ金欠だ~って嘆いてるプレイヤーの方が多いらしいね。かく言う私も実は金欠だったり」



 そう、だから今日も金策するべく、ユヅキさんを誘って《命呑む大砂漠》から配信をしている。

 嘘だとコメントでも言われてるけど、本当に金欠なのだ。

 私のプレイに何か問題でもあったのか……?

 砂地に足跡を付けながら、顎に手を当てて振り返る。



「武器と防具の強化は、仕方ないとして……消費アイテムを使いすぎ? あ、ご飯が美味しすぎるのもいけない……」

「そ、それはそうだけど、いつもコイントスでバフ掛けてるからじゃないかな……?」



 私と並んで歩いていたユヅキさんにそんなツッコミをされてしまった。

 思わず歩みを止め、フリーズ。

 眉を八の字にして困り顔のユヅキさんを見上げ、両肩を掴む。



「……わ、わかってます、わかってるんですよぉ! いつもいつも、エンカウントするたび1万ゴルトとか使ってたらプラマイゼロになることくらいっ! でもですよユヅキさん、それしかできないんです! ぜんっっぜん他のスキルが手に入らないんです!! おかしくないですか!?」


『草』

『それは確かにおかしい()』

『ちゃんとゲームしてる??』

『ちゃんと(コイントス頼り)』



 スキルが手に入らないのは、心からの嘆きだ。

 最近習得したものと言えば、【ギガントバスター】と【ダストワール】の2種。これはどちらも両手斧カテゴリのスキルで、武器、またはスキル熟練度に応じて自動習得されるもの。

 つまり持ってて当然の()()()()()()

 あとは、《チェーンソー・ゼロス》を《焔輝刃ロア・ゼロス》強化して進化したスキル【脈動する炉心ハートビート・リアクター】と【限界加速(オーバードライブ)】は()()()()()()()なので熟練度依存のスキルとはまた別だ。

 私が言ってるのは、プレイヤーが特定の行動をした時などに習得できる()()()()()()()()のこと。

 まぁ、【コイントス】はいつの間にかあったけど。



「確かに、もう50レベル超えてるのにね……いや、まさか……」



 ……まさか?

 まさかってなんですかユヅキさん。怖い。



「カナメちゃん、最後に習得したスキルって?」

「え、さ、最後……ゴブリンスレイヤーくらいなもんですよ……」



 隠しダンジョン《濫伐者の柩》をクリアするためにゴブリン系モンスターを狩りまくった時に習得したもの。

 同時期に習得した【強靭】もだけど、どちらもパッシブスキルで、カリカーン討伐のために習得したエクストラスキルだ。



「カナメちゃん、本当にそれが最後に習得したスキル?」

「は、はい……その後は隠しダンジョン攻略して、このチェーンソーゲットして……はっ! まさかあの木こりゴブリンに呪われてエクストラスキルが習得できなくなった……とか!?」



 咆哮による戦慄状態でスキル発動を阻害してきた《濫伐者カリカーン》の呪い……それが本当ならとんでもないデバフを知らずのうちに受けていたことになる。

 けど、ユヅキさんは首を横に振った。



「多分、まだ進行中なんだよ」

「進行、中……? な、何がですか?」

「──エクストラクエスト」



 その瞬間。

 ユヅキさんは突然目の色を変え、稲光の如く抜刀して自分の足元を斬り払った。



『グオォォ~~ォォンッ!!』



 ビリビリと全身が震える。

 大銅鑼(どら)が鳴ったかのような咆哮に、私は思わず耳を塞いだ。



『エリアボスエンカきちゃあ~~!』

『なんてタイミングでエンカウントしてんだ!?』

『ユヅたそよく気付いたな』

『それよりエクストラクエストについてkwsk』

『それどころじゃないだろ常考!』


「コイツが大砂漠のエリアボス……!」

「《響竜(きょうりゅう)ガランゴシャル》──カナメちゃん、咆哮に注意して!」



 砂の中から這い出てきた大柄な体躯のドラゴンが私達を見下ろす。

 金褐色の厚い鱗に大きな頭。

 首が太くて鈍そうに見えるけど、《響竜ガランゴシャル》はすぐにまた砂の中へ潜った。翼が無いのはそういうことか。



「だったら……! 全部吹っ飛ばァァーーすッ!」



 唸り声をあげるチェーンソーで思い切り地面を殴り付けると、衝撃でドッと砂が打ち上がる。

 狙い通り、ガランゴシャルの赤褐色の巨体も砂の中から現れた。



「──【神雷(カヅチ)】ッ!」



 刹那に青い刃が煌めき、砂を巻き上げ雷の斬撃が飛ぶ。

 激しい落雷の音が響く頃にはガランゴシャルの弱点である柔らかい腹部を斬り裂き、HPを大きく削った。

 もう三発ほど放てば倒せるけど、ユヅキさんの【神雷(カヅチ)】は自傷ダメージ付きだ。

 そう何度も、安易に使えるものじゃない。



「ユヅキさんは一旦下がって回復してください!」

「わかった、任せるよ」



 ガランゴシャルは今の一撃で怯んだけど、起き上がれば大ダメージを与えたユヅキさんにヘイトを向け、攻撃を仕掛けてくる。

 なら、その前に私が斬ってヘイトをこっちに向けさせる!



「どっっりゃぁぁぁぁッ!!」



 腹部を狙ってチェーンソーを叩き込む。

 一撃、二撃──まだ足りない。



「【ギガントバスター】ッ!」



 何度も何度も執念に攻撃していると、さしもの響竜も無視できなかったようで、ギロリと深い青色の眼で睨んできた。



『ヒュオオォ~ッッ!』



 息を大きく吸い込んだ。咆哮が来る。

 響竜と言うだけあって、ガランゴシャルの大咆哮を聞いてしまうと麻痺したような硬直状態になる。

 一度硬直してしまえば次の噛み付き攻撃は確定ヒット、タチが悪いことに、頭を噛まれると即死するらしい。

 そんなヘマをする訳はいかない。



「ちゃんと耳栓の準備はしてましたとも!」



 ベタルの雑貨屋で購入可能、1個10,000G……高い。

 だけどこれならガランゴシャルの咆哮を無視できる。

 銅鑼のようにガララゴララと響いているであろう、砂塵を吹っ飛ばす勢いの咆哮。

 それが鳴り止むとガランゴシャルは牙がビッシリ生えた口を大きく開け──狙いは私か。 

 ガランゴシャルの岩も飲み込んでしまいそうな大きな口が、ブルドーザーのように迫り来る。



「……まだ、引きつけろ」



 まるで雪崩が押し寄せてくるような錯覚。

 果たして私は雪崩を薙ぎ飛ばせるだろうか。

 いや、やらなきゃ大ダメージを貰うだけだ。

《焔輝刃ロア・ゼロス》──チェーンソーを大剣に加工したような見た目のこの武器は、その見た目通りの重量級武器。

 あの巨体をブッ飛ばす威力は、出せるはず……!


 あと10m、5m、2m────ここだッ!



「【ダストワール】ッ!」



 ぐわん、と薙ぎ払われるチェーンソーの刃が、ガランゴシャルの頭を打ち、ガリガリと刻む。

 ダメージエフェクトと共にジャララと黄金のゴルトコインがばら撒かれ──。



『グロォルォォォォォォッ!!』

「押し負けるッ!?」



 頭をチェーンソーに押し付けようとも止まらないガランゴシャル。

 重い……ッ、STRにあんまりポイント振ってない弊害がここで出てくるのか!

 ガランゴシャルの重みで足が砂に埋まっていく。

 ズブズブと、底なし沼みたいに……?


 ……いやこれ、流砂ってやつではないだろうか。



「まずっ──!?」



 ガランゴシャル共々、私はの身体は遂に流砂に呑まれ、視界が暗くなっていく。

 ユヅキさんの呼ぶ声がしたけど、どんどん遠くなって。

 今はもう、何も聞こえなかった。


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ギエピィィィィィィィィイイッ!?こんなタイミングで流砂ぁ!?
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