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攻撃したら『1G』ドロップするスキルで金策してたら最強になってた ~金極振り配信、始めます~  作者: ゆーしゃエホーマキ
スタートダッシュ編

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#27. はためく大翼、赤き竜鱗の戦士……参上!


 ──最初に水属性の魔法攻撃を仕掛けてきたのは落雷(これ)が理由か。

 私は濡れた地面の感触を顔に感じながら、なんとか立ち上がろうと顔を起こす。



「湿潤状態の……っ、しかも、これは…………っ!」



 コユの【オートガード】が無力化された。これは恐らく、プレイヤー本体への()()()()

 麻痺状態にはならなかったのが幸いだけど、ダメージが大きすぎる。

 私も、ヒメもコユも、HPを一気に八割持っていかれた。

 三人とも八割ちょうどで、だ。

 防御無視の必中で割合ダメージ……いや、それ以前にヒメの【エクスプロージョン】を発動させないなんて、なんなんだそのスキル。



「驚いてる! 驚いてるねぇルーキーちゃん! 驚くよねぇ、なにせあれは()()()()()()()! 数多のプレイヤーの中で唯一彼女だけがそれを持っている!」



 エルドはまるで自分がやったかのように高笑いをする。

 ユニークスキル……攻略サイトでは『習得条件が不明なエクストラスキル』って紹介されてるものだ。

 その前にエルドは、お姉さんの刀を『ユニーク武器』と呼んでた。

 コユの大盾《機械仕掛けの晦冥(かいめい)》と同じような……装備自体にスキルが付加されているものってこと?


 それにしてもあのギルドマスター……ムカつくな。

 決闘したくないからって自分は後ろに隠れて味方にばっか攻撃させてるじゃんか!

 欲しいなら自分で来ればいいじゃん!

 コユと出会った時の『そのレアドロは俺達のもんだ』集団でも勝負して勝ち取ろうとしてたよ!?

 今すぐチェーンソーで叩き斬りたいけど……ここで飛び出しても彼の前にはタンクがいる。

 防がれて、その隙に後ろで待機している魔法職が攻撃してくる……流石は《ギルドデュエル》3位のパーティーと言ったところ……。

 って感心してる場合か……!


 内心自分にツッコミをして、にやけ面のエルドを睨む。



「よく働いてくれたなぁ、()()()! トドメは僕が刺す。この中で一番LUC(ラック)が高いのは僕だからね。レアドロしてもらわないとぉ!」



 お姉さん……プレイヤーネーム《ユヅキ》さんは、表情を変えないまま静かに目を伏せ、倒れた私達の横を通り過ぎていく。



「…………ごめんなさい」



 そう言い残して、ユヅキさんは自陣に戻った。



「どうやらここまでみたいね……こうなったら、せめてコユ達の装備がドロップしないことを祈りましょ……」

「無駄無駄ぁ、僕はLUC極振りなんだ。このためにね。まぁ状態異常になりにくかったり、クリティカルヒットしやすくなったり、いろいろ便利だよ。けど……」



 手に持っていたマギアロッドをインベントリに収納し、続いて白く細い片手剣を手にしたエルドは、柄を両手で握り込み、刃を下に──私の背中に向けた。



「瀕死のうさぎを殺すのにそんなものは必要ない!」



 エルドはそう言って、私に剣を突き立て────。

 ……その刃は、()()()()()()()()()()()()()()



「……は?」



 ポカンと呆気にとられるエルド。

 その仲間達もどよめいている。

 ヒメもコユも、私自身でさえも、なぜ刃が砕けたのかわからない。



「──なぁぁーっははは!!!」



 突然、大袈裟な高笑いが響く。

 声は崖の上から降ってきていた。

 逆光で顔は見えない……しかし、なにかマントのようなものが風にはためいていた。

 すると、エルドは途端に歯を食いしばり、怒りをあらわにする。



()()ッ!! お前! また僕の邪魔をするのかッ!?」

「お邪魔させてもらうよ! とうっ!」



 そんな掛け声と共に崖から飛び降りてきた少女。

 赤い髪に、赤いマント。まるでヒーローのようなその少女は、華麗に三点着地を決め──。



「ぐへぇっ!?」



 決められず、顔から行った。

 そのまま落下ダメージで死亡扱い。

 赤い少女の身体は光となって砕け散り、その場には揺らめく炎のようなものが残る。

 プレイヤーの魂だ。一分後には自動的に近くの街へ転送される。



「えっ……と……」



 残された微妙な空気に耐えきれず、私は言葉を探す。

 邪魔された当の本人であるエルドは、人魂を冷めた目で見ながら「何しに来たんだよお前」と静かに呟いていた。

 すると、人魂の前に別の光が現れる。

 プレイヤーがファストトラベルなどの転移を行った時に見る青い光に似ていた。



「……はぁ、言わんこっちゃない。だから私は高所から飛び降りるのは止めておけと忠告したんだ。君は物事を想定して動けないのか? 無鉄砲にも程がある。確かにここは現実世界より多少の自由が効くわけだが、仮想世界だからと言ってなんでもできるわけではない。それを肝に銘じておけ」



 饒舌なお説教をしながら光の中から現れたのは、コユと同じくらいの身長の女の子。

 地面に触れそうなくらい長い白い髪、青色の瞳は眠たげでジトっと人魂を見つめている。

 ダボッとした民族衣装っぽいコートを来ていて、首には不思議な形をしたネックレスを掛けていた。



「【リザレクション】」



 女の子のネックレスが眩い光を放ち、その光が人魂に降り注ぐと……赤髪の少女が顔面ダイブした姿勢のまま復活した。



「ぶはっ! もー、先生! お説教するなら蘇生してからやってよ! もうすぐで街に帰っちゃうところだったよ?」

「制限時間の経過くらい計っている。私は君ほど馬鹿ではないのだよ」

「あーバカって言った! センセーが言っちゃいけないこと言ったぁ!!」



 地団駄を踏む赤髪の少女。

 それをものともせず、澄ました顔で自分の髪をくるくると弄る女の子は、私達が困惑していることに気付いて「おい」とこちらを指さしながら赤髪の少女に教える。



「あっ、そうだったそうだった! 助けに来たんだった!」

「……すまないな君達。しばらく付き合ってくれ」



 先生と呼ばれていた女の子はそう言うと、赤髪の少女の後ろ……かなり遠くに離れて、何かを準備し始める。



「──遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ! ある時は《竜翼の旅団》団長、そしてまたある時は先生の一番弟子! その正体は──!」



 赤いマントを翻した少女の後ろで大きな爆発が起き──。



「はためく大翼、赤き竜鱗の戦士! ドラゴナイト、参上っ!」



 そうして、爆炎をバックに堂々たる名乗り口上をバシッと決め。

 不思議な決めポーズを見せてくれた赤髪の少女ドラゴナイト(?)さんは……どうやら私達を助けに来てくれた……みたいです。


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