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黄金極振りバーサクガール、VRMMO配信中! 〜攻撃するたび『1G』ドロップするスキルで稼いでたら最強になってた〜  作者: 或鬼ながら
スタートアップ・ゴルトライザー

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#02. キャラクリとスキル(え、攻撃したら1G──?)


 フルダイブが完了し、真っ白な空間に立たされる。

 従来のゲーム機で言うところの、ホーム画面に当たる場所だ。


 ログインしてまず初めにやるのは、キャラクタークリエイト。

 キャラクターは仮想世界で遊ぶための自分の分身だ。


 DDOのキャラクリは自由度が高く、豊富なアクセサリーで着飾ることもできる。

 一番簡単なのがマシン本体に現実の身体をスキャンさせて体格データを取り込む。というやり方。

 フルダイブだと現実と仮想の体格に差がありすぎると動きにくかったりするので、現実とあまり変えすぎないのがコツらしい。


「……胸のパラメーターいじれるんだ」


 誰に見られてるわけでもないが、辺りをキョロキョロ見回して……胸の数値を少し、ちょびっとだけ、上げた。

 C……いや、Dくらいにはなったな。


「おお…………ま、まぁゲームだし? ちょっとくらいおっきくしてもバチは当たらないよね! あはっ、あははー!」


 誰も聞いてないが、正当化するためにそんな言い訳をする。

 込み上げてくる気恥しさを紛らわせようと、残りの設定は手早く済ませた。


 髪は、リアルじゃまずやらない金髪にしておく。

 できないことをするのも醍醐味。

 そして動きやすいよう後ろを結んでポニーテールに。

 瞳の色は……赤色にしておこう。

 身長はリアルと同じく、157cmのままで。


 プレイヤー名は……本名は絶対避ける。

 これネットリテラシー。

 でも考えるのめんどくさいな。

 名前、《金瀬(かなせ)ユメ》……あっ。


「略して《カナメ》……っと」


 ふむ、思いつきにしてはなかなか良さげじゃないか?

 こうして私は無事にキャラクリを終え、遂にデュエルダイバーズ・オンラインの地へと足を踏み入れた。



  ■■■



 悪魔が世界にモンスターを解き放ったとか、何かそう言った感じの壮大なオープニングから場面が切り替わる。


「────よくぞ現れた、ダイバーよ」


 いつの間にか片膝を突いていた私の前で、玉座に座り王冠を被ったいかにも王様っぽい人がそう言った。


 周りを見てみると、現実じゃそうお目にかかれない絢爛豪華な作りをした部屋だ。

 ……謁見の間ってことかな。

 さすが王城。どれもこれも高そうだなぁ、全部売ったら幾らくらいするんだろ……?


「ダイバー殿。この世界は増え続けるモンスターによって未曾有(みぞう)の危機に瀕しておる。もはや我らの手では止められまい……どうかこの地を救って欲しい」


 これはデュエルダイバーズ・オンラインのメインストーリーだ。

 異世界、つまり現実世界からやって来た私達は、ゲーム内では()()()()と呼ばれる。

 意識を没入させてログインしてるし、まるで夢の中のような……それこそ本当に異世界に来たみたいでワクワクしてくる。


「もちろんです王様。私がこの地を救ってみせましょう!」


 承諾の意味を込めた言葉を投げると、王様の頭上に黄色いアイコンが現れる。

 無事、メインストーリーが進行したみたいだ。

 ここで断るとメインストーリーをスキップしてプレイすることもできるけど、メインストーリーは進めることでたくさん報酬金が手に入るからやります。


「そなたの勇気、心から尊敬する」


 王様はそう言うと、片手を上げてローブを着た男を呼ぶ。

 その人は長柄の杖を持ち、見るからに魔術師っぽい風貌だ。

 顔は見えないけど、たぶん男。


「…………」


 魔術師さんが私を見て微笑んだ気がした。


「我が国の魔術師がそなたにスキルを授けよう。きっと旅の役に立つ……好きに希望を言ってみるがよい」


 来た。初期スキル獲得イベント!

 事前に調べた感じでは、ここで貰えるスキルは何万通りもあるらしく、なんと希望に沿ったスキルが手に入る。

 ただ、あまりにも強すぎる効果を希望すると選出率が大幅に低下してハズレスキルを引くことになるから注意するように、って攻略サイトに書いてあったな。


「では…………お金が欲しいです!!」


 簡潔かつ欲望に忠実な希望を言ってみた。


 高火力の攻撃スキル?

 使い勝手のいい回避スキル?

 そんなものはどうだっていい。私が欲しているのはお金。

 DDO内で言えば────『G(ゴルト)』である。


「よかろう」


 王様が頷くと、魔術師は聞き慣れない言語で詠唱を始める。

 私の足元に大きな魔法陣が現れ、光に包まれる。


 これが私の金欲を満たしてくれる第一歩……!

 いったい、どんなスキルが────!


『──スキル【ゴルトライザー】を獲得しました。

 効果解説:攻撃ヒット時、1ゴルトがドロップします』


「おぉっ! ……ん? 1ゴルト?」


 いち……イチって、1……?

 つまり……0.01円……ってこと?


 あ、王様も魔術師さんもすっごい気まずそう。


「その……なんと、言いますか……申し訳ない……」


 ま、まぁ、ランダムだからね。仕方ないよね。

 それに換金システムがあるならこうでもしないとバランス取れないもんね。

 スキルの再選出(リロール)はできないけど……うん。

 ね。ちゃんと希望通りのね、スキルだし。

 うん……魔術師さんは……悪くないよ……。


「……少ないが、これは旅の資金に使うといい」


 眉を八の字にした王様が玉座の手すりから軽く手を上げると、騎士の一人が小さな麻袋を持ってきた。

 せめてもの慈悲だろうか……袋はズシリと重かった。


「──あっ、ありがたく……頂戴いたします……!」



  ■■■



 危なかった。

 完全に意気消沈しかけたけど、慈悲深い王様のおかげでなんとか立ち直った。


 受け取った袋を開くと、金色に輝く硬貨(コイン)がぎっしり詰まっていた。


 私の所持金は早くも『20,000G』

 リアルマネーで言えば200円程度で、換金は1,000円からなのでまだまだ届かない。

 札束もいいけど、こういうひと目で価値があるとわかる金貨も愛で甲斐があるなぁ。

 紙では得られないこの確かな重みは、なんだか心地いい。 


「それに塵も積もれば山となるって言うし、このスキルも使えないことはないよね」


 実体化しているゴルトの入った袋をトントンとタッチすると光に変わって収納される。

 あっさり消えちゃったけど……ちゃんと収納されたよね?


「メニュー呼び出し……あるよね、あるね。ふぅ、よかった……流石に消えるわけないか」


 目の前に現れたウィンドウを震える指先で操作して、しっかりと所持金を確認。

 ──ホッと胸を撫で下ろす。


 ついでにステータスからスキル【ゴルトライザー】を見ておこう。


「えーっと、パッシブスキル……セットしておけば永続発動か。攻撃して、ダメージが発生すると1ゴルトがドロップする……と」


 それ以上のことは書いてないけど、他のスキルと組み合わせたら化ける! みたいなこともあるだろうし、きっとまだ伸びしろは残ってる。

 だから気落ちするには早いはず……!


「よし。となれば、さっそく試してみるかー!」


 テンションを上げて足取り早く、街の大きな門の向こう側──最初のフィールド《そよぐ草原》へ向かった。


 さて、私が背負っている武器。

 お城から旅立つ時に貰った初期武器で、種類はいろいろあったけどせっかくのゲームなのでリアルじゃ持てないだろうなぁ……っていう重量級武器を選んだ。


 その名も《ハルバード》──!

 槍と斧が一体となった長柄の武器で、リーチの長さはもちろん、一点集中の破壊力が魅力だ。

 ゲーム内のカテゴリ的には両手斧になるらしい。

 槍で突くも良し、斧で叩き斬るのも良し、斧の反対側……鉤爪で引っ掛けたりも出来る優れ物。


 攻略サイトによれば初期武器の中では万能と言われている。

 つまり、これさえあれば勝ちですわ。


「それでは早速。おーいそこのゴブリンくん、ちょっとジャンプしてみなよ!」

「ぐぎゃっ?!」


 ヤンキーのカツアゲみたいなことを言いながら、私は緑肌の小鬼モンスター《ゴブリン》の反応を見る前にハルバードで斬り上げた。


 ──チャリン。

 と、心地よい金属音。

 ゴルトのドロップ音が響いてきた。


「すごい! ホントに出てきた!」


 怯んでいるゴブリンへ追撃すれば、さらに1Gゲット。

 攻撃すればするほど、ジャンジャンお金(コイン)が降ってくる。

 攻撃回数なら短剣や双剣の方が稼ぎやすいんだろうけど、このハルバードを握って理解(わか)った。

 私はこういう大きい武器を振るのが好きなようだ。

 元々運動は好きだけど、こんなに激しく動けるのはフルダイブならでは。

 大きな武器を豪快に振り回すのは楽しい。


「ギャギャぁー!」


 ゴブリンのHPを削り切るとその細い身体は白く輝き、ポリゴンとなってガラスのように爆散。

 すると今度は討伐報酬が降り注いできた。


「お金の雨だ……!」


 報酬金額は10G……リアルマネー換算で0.1円。

 たった十枚のコインが降ってきただけで、高い金額ではない。

 けど、それでも討伐時の消滅エフェクトに混じった美しい金貨(ゴルト)の小雨は、なかなかどうして気分がいい……!

 リアルでやろうにも当たったら痛いし、投げ飛ばして無くでもしたら数日は寝込む。


 ああっ……これだ。

 現実じゃできない、ゲームならではの高揚感。

 お金を浴びるなんていう大富豪のような体験に、胸の高鳴りが抑えきれない。

 しかも、このドロップしたゴルトは貯めれば現実のお金になるときた。


「ふふっ……フフフッ!」


 この騒ぎで他のゴブリン(カモネギさん)がワラワラと集まってきた。

 その数、十か、二十か。

 これだけ居れば、もっとあの黄金の雨を浴びれるだろう。


「ゴルトライザー! ゴルトライザー! ゴルトライザー!」


 大斧を振り回す。

 ゴルトがドロップする。

 ゴブリン達を蹴散らす。

 血の雨の代わりに、お金(ゴルト)の雨が降ってくる。


 ────あぁ、体が火照って仕方ない。


 これだけ暴れても誰にも怒られないし、暴れれば暴れるほどお金が手に入る。

 こんなにも楽しいものだったなんて、どうして今までこれを知らずに生きていけたのか不思議なくらいだ。

 高い買い物だったけど、これはお値段以上の楽しさ。


「あぁっ! このゲーム最高じゃんっ!」


 私は黄金時雨(こがねしぐれ)を浴びながら、感謝の意を示すべくハルバードを高々と掲げるのだった。




 プレイヤー《カナメ》Lv4

 HP:200 MP:50


 所持金『24,320G』

 武器:古びたハルバード

 防具:色褪せた旅人の服


 所持スキル【ゴルトライザー】


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― 新着の感想 ―
攻撃当たるたび0.01円て多くね?って思うけど、少なく感じるものなんかな
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