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攻撃したら『1G』ドロップするスキルで金策してたら最強になってた ~金極振り配信、始めます~  作者: ゆーしゃエホーマキ
スタートダッシュ編

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19/62

#19. 神獣エクスユニル攻略戦(被弾したら即終了の配信です)


 日曜、ちょっぴり肌寒いお昼時。

 昼食は目玉焼きとチーズを乗せ、カリッと焼いたトースト。

 チーズが伸び、黄身がつぶれてトロける。

 そこへカップに用意したとろみ強めなコーンスープを流し込み、思わず、ほぅ……と吐息が漏れる。


 そんな感じで腹ごしらえを済ませ、私は即座にベッド・イン。

 たとえ、食べてすぐ寝てウシになろうとも……!

 

 フルダイバーズを被り、起動。すぐさまDDOへログイン。

 DDO内から、連携済みのフルライブを開き、宙に浮いた半透明のキーボードを叩いてセッティングする。


 配信タイトル──【#DDO】遂に来たエクスユニル戦!目指すはノーダメクリア!【カナメ】──最終確認よし。


 ヒメ、コユと合流し、配信開始までに《神獣の大森林》へ移動。

 攻略サイト頼り、経験者のコユ頼りで迷いそうな森を制覇。

 何本もの木が寄せ集まってできた大樹内にある螺旋階段を上り、広い踊り場の前で立ち止まった。

 ここまでの所要時間、25分。

 12:30の配信まで残り5分を切る。



「この先の階段を上るとすぐにボス部屋よ。注意するべきことは木の根っこがビッシリ張り巡らされた地面。かなり足場が悪いから気を付けなさい」

「ここの階段も上りづらかったもんね~」



 振り返って、階段を見下ろす。

 壁と同じように、無数の幹か太い枝が絡み合うことで形作っていた。

 平坦に見えて、太い枝は一本一本が丸いから足を踏み外しやすい。

 挑戦者の多くはこの足場に引っかかって苦戦したらしい。



「じゃあ、枠開けるわよ」

「よし来た!」

「はいよ~!」



 エクスユニル攻略配信、スタートだ。



『きた!!』

『お?』

『もうボス部屋前で草』

『草というか森』

『森というか木だろ』


「はい、部員のみんな見えてるかしら? 見えてるわね。それじゃあ音声チェックがてら自己紹介していくわ」

「えっ!? あ、カナメです!」

「ヒメで~すっ♪」

「いつでもどこでもぐーたらし隊・部長の寝転部コユよ」

「なにその怠け欲ダダ漏れな挨拶!?」

「これがコユのお決まり挨拶なの。いいから進行するわよ」



 お決まりか……作っておけば覚えてもらいやすいかも。

 私もなにか考えておこうかな。



「隠しダンジョンをクリアしたカナメとヒメの二人とコラボよ。こないだの続きからね」


『コユ氏、最近この二人とよくコラボしてるね』

『友達できてよかったね』

『俺なんか泣きそうだわ』

『涙腺もろすぎでワロタ(号泣)』


「うっさいわね! いいでしょ別に!」



 コユ……ほんとにずっとソロだったんだな……。

 今度またバーチャルフードの食べ歩きにでも誘ってあげよう。



「タイトルにもある通り、今回はノーダメージでクリア。被弾したら即終了してやるぜ~♪」

「けっきょく肝心なこと聞かされてないんだけど……ノーダメージクリアなんてできるの?」

「まあ? 隠しダンジョンをクリアしたと言っても二人はまだまだニュービー、心配になるのはとーってもよくわかるわ」



 うんうんと頷いて私達の肩を叩くコユ先輩。

 肩を叩くために背伸びしちゃって、この人可愛いな。



「安心なさい。あなた達はただ攻撃に集中していればいいわ。コユがフルサポート・パーフェクトフォローして圧勝させてあげる」

「おぉ~、コユちゃん先輩、自信満々だね~」

「大船に……いや、大盾に乗った気でいなさい!」



  ■■■



 最後の階段を上り、ボス部屋──木漏れ日が射し込む、どこか暖かな大広間に足を踏み入れる。

 コユが言っていた通り、足場は根が張り巡らされたようになっていてかなり動きづらい。

 でも肝心の大森林ダンジョンボス……エクスユニルは見当たらないけど──。



「【起動】【加速(アクセル)】──!」



 スキル発動と同時にコユは私の襟首を掴み、その華奢な腕からは想像もつかない強い力で後方へ投げ飛ばされた。

 直後、前に出たコユは大盾《機械仕掛けの晦冥(かいめい)》に身を隠し──。



「コォォォォ──ッッフゥ……!!」



 音もなく現れた巨大な青鹿。

 その木を見上げるように大きな体躯から繰り出される前脚の蹴りを、コユはガードした。



『初見殺し回避!』

『まずはこっからよォ!』



 コユによる、エクスユニルの()()()()()()

 今のは経験者だからこそできた動きだ。



「こ、これがエクスユニル……」



 思っていたよりデカい。

 シカと聞いてもっと細いのかと思ったけど、これだけ大きいと細さなんて微塵も感じない。

 青毛の雄鹿……枝分かれした大きな角はところどころが結晶化していて、宝石のように煌めく。

 不思議なのは、その角から止めどなく雫が垂れていること。

《神獣エクスユニル》がぶるると頭を振ると雫が飛び散り、その青い体毛をしとど濡らす。



「エクスユニルは第三ゲージを削り切るまで、今みたいに突然姿を消して前脚の蹴り潰し攻撃をしてくるわ!」

「そ、そういうの先に言ってくれないかなぁ!?」

「ネタバレはしない主義なの。それに言わなくたって平気よ」



 コユは隣で浮遊する黒の大盾を操り、次の攻撃に備える。



「全部防御してあげるわ!」



 その宣言通り、コユは次の根っこによる刺突攻撃をも防ぎ、私は隙を狙ってチェーンソーで前脚を斬る。

 赤いダメージエフェクトが迸り、何十枚ものコインがジャラリと噴き出した。



「やっぱりこのチェーンソー最高!」



 チェーンソーは鎖鋸(くさりのこ)とも言うけど、これは言うなれば『連鎖鋸剣(れんさのこぎりけん)』だ。

 回転するチェーンソーの刃で一回攻撃すると、その一回のダメージを何十回にも分けてヒットさせる。

 これは、たとえば『100ダメージ』を与えた場合なら『20+20+20+20+20ダメージ』という扱いになる。

 だから一度でも斬れば、40~50ヒットになっていた。

【ゴルトライザー】は攻撃力じゃなくて攻撃ヒット回数に応じてゴルトをドロップするから、今までの何十回も攻撃してようやく数十ゴルト……なんてちまちました稼ぎ方は終わったのだ。



「【魔力回復領域(マナリカバリーエリア)】~!」

「魔法職が居てくれると助かるわね。おかげで飛ばし続けられる!」



 エクスユニルが霧散するように姿を消し、私の背後に現れる。

 けどその瞬間にはコユの盾が私を守っていて、逆に反撃をしてエクスユニルに大ダメージを与えられた。



「コユのプレイヤースキルはプロに比べれば確かに低いわ。でもね、コユだってゲーマーなのよ!」



 大盾がエクスユニルの頭を殴り、第三ゲージを削り切る。

 残りHPはゲージ一本。

 エクスユニルの適正レベルは35、とはいえダンジョンボス。

 油断は禁物で、ここからが正念場──というところで。



「うぁっ!?」



 私は攻撃しようと前へ出た瞬間に足を滑らせ、敵前ですっ転ぶ。

 なんて愚かなんだ。

 気を付けてって言われてたのに──いや、とにかく今は回避を。



「コォォ……フォォロロロ──」



 笛のような鳴き声と共に、エクスユニルは前脚を上げ、私を踏み潰さんとする。

 まずい、早く逃げ──……ッ!?



「なっ、足が!? ってまた(つる)か!!」



《濫伐者の柩》でも私を苦しめたあの蠢く蔓が、右足を捕らえて離さない。

 ここまで来て私のせいで失敗するなんて、いやだ。



「ッ、コイントスで強引に突破するしか──!」



◇いつも読んでいただきありがとうございます!

 お知らせです!!!!!!!


 本日、なんとVR枠の『週間ランキング』にて!!!

 『5位』に入らせていただきました!!!!!!


 本当に応援ありがとうございます!!!!!!

 まさかここまで来るとは……!

 今日はまた夕方くらいにもう1話更新予定です!!!

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