#18. 作・戦・会・議!
狩りを終え、街に戻った私達はその足で王城へ。
結論から言うと、魔術師さんは国家反逆を目論む悪い人──いや、悪魔だった。
その悪魔術師さんは、異世界からモンスターを倒しにやってくる異世界人(プレイヤー)を根絶やしにするため、王都アルファスに宮廷魔術師として潜伏していたのだとか……。
ということは、スキルがゴルトライザーだった時のあの申し訳ない顔は嘘ということになる。
私に20,000Gをくれた優しい王様は悪魔術師さんに騙され、この二度目の謁見では頭に包帯を巻いていた。
「奴を悪魔だと見抜けなかった……王として不甲斐ない。そして、もはや奴は騎士団の手にも負えない。国としても、不甲斐ない……ダイバーよ、どうか我らに力を貸してくれ」
「恩は返しますよ、王様」
「……そなたの勇気に、国を代表して感謝を。
あの悪魔を倒すには、神獣様の聖水が必要だ。大森林へ向かい、神獣様に聖水を分けてもらうよう頼んでみるといい。ダイバーであるそなた達であれば、神獣様も快く願いを聞いてくださるだろう」
こうして私達はクエスト《神獣の湧き水》を受注した。
湧き水とは聖水のこと……あれ? でも聖水ならカリカーンのドロップ品にあったよね?
「えっと、王様……《神獣の聖水瓶》ならもう持ってるんですけど……」
「頼んだぞダイバー、いや……勇者たちよ!」
「あ~……エクスユニルと戦うのは必須なんだろうね~」
「さーってと、この水さっさと売るかー!」
まぁレベル上限を解放するためにも、シカと戦うのは必須。
ただ問題がひとつあって……ひとまず配信を終え、作戦会議。
「これさ、視聴者さんは見てて楽しいかな?」
「最初の大ボスって見慣れてるし見飽きてるかも~」
《神獣エクスユニル》……攻略サイトにも大森林ダンジョンの進め方は載ってるし、迷うこともない。
大樹まで来てしまえば、あとは樹の中にある螺旋階段を上るだけの地味な画が続く。
そんなダンジョンなので、『よく歩かされるから二度と行きたくないダンジョン』というレッテルを貼られていた。
「コユ、なんかこう……先輩としてアドバイスない?」
「はぁ~……ちょっとコユを頼りすぎじゃない? いーい? コユは確かにあなた達とフレンド登録したけど、それだけよ。隠しダンジョン攻略者と一緒に配信すればコユも有名になれるからこうしてコラボしてるわけであって……つまり利害の一致。これ以上はないわ」
「ねぇねぇヒメ。こう言ってるけど実はめっちゃにやけながら『なんでコユと友達になりたいのよ』とか聞いてきたんだよ。かわいいよね」
「ツンデレってやつですな~♪」
「デスペナルティとかどうでもいいから今すぐガメオベラしたい気分だわ!!」
これは恥ずかしさMAXの赤面だろう。
まぁコユを弄るのもそこそこに、この問題解決は必須だ。
正直なところ、エクスユニル戦でコイントスは使いたくない。
だって結局めっちゃ使うし……いや、一度に投げてコイン全部に対して「表!」とか言っちゃうのがいけないんだけど。
けどいちいち1枚ずつ投げながら「オモテウラウラオモテウラ、ウラウラオモテ、オモテウラ」なんて、そんな全然かっこよくない詠唱はしたくない。
「まぁそうね……ボスラッシュしまくってたコユが思うに……あなた達の戦闘は結局ワンパターンになるのよ」
「わ、ワンパターンですか……でも私らこれしかできないっすパイセン……」
「派手な爆発、派手な散財。高火力とデタラメなバフ盛りだけど、やっていることは単なるゴリ押し。まぁそれはそれで見てて気持ちいいしそういう戦い方も全然アリだけど、頻繁にやってたら飽きられるわね」
「それじゃダメなの~?」
「えぇ、現実は残酷よね。コユの急上昇ランキングが低かったのも、この盾浮遊突撃戦法が飽きられたからだし。コイントスは奥の手にするべきよ」
そうだったのか……私も飛んでみたいんだけどな。
「……フルライブにおいて多くの視聴回数を稼ぐ配信って、何か分かる?」
「隠しダンジョンを見つける?」
「それ何回やる気?」
「いっそ脱いじゃう~?」
「それ今日やったし、そっちの路線は却下」
と言っておられますコユさんの衣装は側面が大胆に開いた透け透けえっち服ですが。
「正解は攻略配信よ。プロゲーマーのね」
「プロゲーマー?」
「そ、ゲームでご飯食べてる人達。換金システムを利用して生活していたり、年に一度のPvP大会で優勝賞金を貰ってたり……そういうゲーマー達の配信は参考になるし、無駄のない動きだから見てて爽快だから視聴率がいいの」
「凄いなぁ」
「まぁプレイヤースキルを今から鍛えたってしょうがないし、地道に上手くなっていくしかないわね」
プレイヤースキル……ゲーム内のスキルのことではなく、プレイヤー自身の能力や経験をゲームに生かすという意味での技だ。
隠しダンジョンをクリアした配信者という肩書きも、ベータテスターのVTuberという肩書きも、圧倒的なプレイヤースキルを持つプロのゲーマーには遠く及ばない。
「じゃあ、エクスユニルとはどう戦うの?」
プロゲーマーのようには戦えない。
かと言っていつもの戦い方で多くの視聴者は見慣れているエクスユニル戦をすれば、変わり映えしなくて飽きてしまう。
なら、どうすれば楽しんでもらえるか。
その答えを、目の前の先輩はにやりと笑って提案した。
「──ノーダメージクリアよ」
「プレイヤースキル必要じゃん!」
『ガメオベラ』
*GAME OVERをローマ字読みしたみたいに言ったもの。
ゲームセンターCX よゐこ・有野さんがよく言っていた(気がする)




