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攻撃したら『1G』ドロップするスキルで金策してたら最強になってた ~金極振り配信、始めます~  作者: ゆーしゃエホーマキ
スタートダッシュ編

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17/62

#17. 成長期、終わりました?(胸のことじゃないです)


 ──とある休日の昼下がり。

 巨大な湖のほとりで、巨大なキツツキのようなモンスターを、巨大な盾に乗った──この三人の中では一番小さなコユが打ち落とす。



「ヒメ、今だよ!」

「詠唱かんりょ~!【エクスプロージョン】!」



 ヒメのエクスプロージョンは、ドンッと爆音を轟かせながらキツツキごと地面の小石を消し飛ばす。

 湖も爆発に巻き込まれたのか、大きな水しぶきが立ち──。



「ちょっ、加減しなさいよぉ~~っ!?」



 上空で待機していたコユはもろに水を被り、私とヒメも滝のように降り注ぐ雨によってズブ濡れになるのだった──。



「──あは~、濡れちゃったね~」

「ヌレチャッタネーじゃないわよ! 状態異常になるレベルで水被っちゃったじゃない!」

「……コユって声真似下手くそだね」

「そこは! いま! 関係ないからぁ!」



 恥ずかしかったのか、それとも怒っているのか。

 顔を赤く、声を荒らげながら抗議するコユ。


 水属性の状態異常『湿潤(しつじゅん)状態』は、スタミナの低下と雷属性耐性がマイナスになる。

 幸いこの湖──《やすらぎの湖畔》には雷属性のモンスターは現れないから、ひとまず私達は服を乾かすべく近くの森に身を潜めることにした。

 ファストトラベルで街に戻れば状態異常は回復するけど、今日はまだモンスターと戦うつもりなのだ。



「水って結構重いよね。脱いだだけでもだいぶ軽くなった気がする」



 私はピッチリとしたボディースーツのような黒のインナーだけ残し、服を木の枝に掛ける。



「フルダイブゲームでスタミナ消費量が増えるのは致命的よ。疲れが思わぬプレイミスに繋がるわ。なにより装備を外したら防御力が下がる。周囲の警戒を怠らないように──」

「ヒメ、そのネコ耳外せるんだ……」

「聞きなさいよ!」

「あ~、間違えて全解除しちゃった~」



 てへへと笑うヒメは、水色の下着を青空の下に晒す。

 ネコ耳と尻尾はまた装備され、白髪猫娘が爆誕した。



『えっっっっ!!!』

『眼福でござる』

『叡智だ……』

『見えてないだろお前ら』

『さすがに見せられない』

『でも俺達が見ているのに脱ぐというそのシチュがもう……ね』

『センシティブですよこれは』

『見えないけど見える』



 この下着姿は配信上では『謎の光』か『謎の影』によって隠されている。

 こういうBAN対策がDDO側で設定できるのは嬉しいけど、それでも視聴者は見えないものを見ようとしているようだった。



「コユちゃんは脱がなくていいの~?」

「……脱ぐけど、なんか、あなたの後だと脱ぎづらいわ」



 コユの視線に合わせるためか、腰を屈めるヒメ。

 きっとコユの視界には迫力満点の大きな果実がふたつ下がっているだろうな。

 私もよくやられた……あの圧倒的胸囲に心が打ちひしがれたのはまだ記憶に新しい。

 まぁ、まだ成長予定ですけど。特に胸はね。



「へっ……へぁ……へっぷし!」



 さすがに体が冷えてきたなぁ……。



『【¥5,000】くしゃみ助かる』

『くしゃみ浴びた』

『たすかる』

『【¥10,000】ありがとうございます』

『【¥3,000】浴びた~』

『くしゃみ助かる』

『【¥10,000】Bless You……』

『かわいい』


「えっ、なに……なんでくしゃみに投げ銭してるの……?」

「あぁ……これはまぁ伝統文化と言うか、コユも詳しくはないけど、VTuberがLive2D主体だった頃によくあった現象よ。今なおくしゃみは喜ばれるわ。なんでかしらね、ほんと」


『俺はバーチャルで見えるあるがままを受け入れてるけど、くしゃみって生理現象はリアルだ。バーチャルな存在のリアルを垣間見れる唯一の手段……それがくしゃみなのだ……』

『まぁここフルダイブだからくしゃみがリアルかと言われると』

『ややこしくなるぞ!!それは!!』


「まぁ……あの、投げ銭は嬉しいですけど、無理しないでくださいね?」



 世界にはいろんな人がいるんだなぁ……。



「まっ、湿潤状態は180秒もすれば回復するわ。火属性魔法で暖まれば乾くのが早いけど……」



 服を脱ぎ、可愛らしいフリルの下着を晒しながら仁王立ちでヒメの方へ視線を送るコユ。

 しかし、ヒメは申し訳なさそうな表情だ。

 白髪から水が滴り、人魚のように横座りでくつろぐヒメは、この湖近くの森という背景も相まって神秘的だった。



「あ~……わたし、エクスプロージョンしか攻撃手段ないんよ~」

「むしろ使い勝手の悪い詠唱魔法スキル一本でよく戦えてきたわね。尊敬するわ」

「エクスプロージョンは詠唱時間に応じて威力が上昇するから、最悪一言だけでいいんだよね~。威力は下がっちゃうけど詠唱短縮(スペルカット)もあるし~」

「でももうひとつくらい攻撃手段は欲しいところね。あなた達、そろそろレベルも上がってきた頃じゃない? 次の街に行って適当なスキル習得クエストでも……」



 コユの言葉にドキリとした。

 私はおずおずと手を挙げる。



「そのことなんですが、実はレベルが上がらなくなってしまいまして……」

「わ~大変だ~! もう成長できないってこと~?」



 この前のコユとしたゴルト稼ぎで私のレベルは40。

 経験値も満タンで、41になってもいい頃だけど……さっきのデカキツツキを倒してもレベルアップには至らなかった。



「私の成長期、終わっちゃったのかなぁ……」

「いやいや、そんなわけないでしょ」

「ではどんなわけなのでしょうか……」

「普通にレベル上限解放クエストやってないからよ」

「レベル上限……かいほー……?」



 そんなものが……あったような気もする。



「あ~、そういえばわたしもやってなかったかも~」

「あなたはカナメより先に気付いておきなさいよ」

「えへへ~」

「というかカナメ、あなたは配信で散々攻略サイト見てたじゃない。あの時間なんだったの」

「あ、あの時はいろいろやりたい事とかあって他のは見えてなかったんだよ!」



 ふーん?と訝しそうにジト目を向けてくるコユの視線が私の肌をツンツンしてくるようだ……。



「まったく、まだまだ初心者ね。ここはベータテスターでもあったコユが直々に教えてあげ──」

「あー、エクスユニルのクエストがそれなんだ」

「なるほど~」

「くっ、検索魔め!!」



 悔しそうに拳を握りしめたコユは、気を取り直してコホンとひとつ咳払いをする。



「まぁ、そのクエストが厄介でね。初心者が必ず(つまず)くことから『洗礼クエスト』なんて呼ばれてるわ」

「確か……王都アルファスのキークエストだっけ? アルファスって?」

「いや、最初の街でしょうが。王城のある街、王都!」

「はっ……そ、そっか。そういえば街の名前とかいちいち確認してなかったな……」

「それで、そのキークエストを受けるにはどうすればいいの~?」



 そうだ、街のサブクエストは暇な時に受けてはいるけど、レベル上限解放クエスト……名前は《神獣の湧き水》か。

 そんなクエストは見かけたこともない。



「……まさか、初期スキル貰ってから一度も王城に行ってないの?」

「「……王城?」」



 二人して首を傾げると、コユは信じられないと言いたげに目を丸くした。



「最初のスキルを与えたあの宮廷魔術師よ! いかにも怪しいあの男! 気にならなかったの!?」


『うそでしょ?』

『まさかと思ってはいたが』

『謎言語詠唱魔術師さんね』

『あいつがラスボスだろ(適当)』

『ネタバレやめてください』



 魔術師……?

 もしかしてあの、【ゴルトライザー】が与えられた時、もの凄く申し訳なさそうな顔してた人──だったりするのだろうか。



《王都アルファス》

*プレイヤーが最初に訪れる、いわゆる始まりの街。

 円形の高い壁に囲われ、中央に巨大な城が鎮座する。

 鍛冶屋などの主要な店が大通りに集中していることから、アルファスを拠点にしている者は多い。

 

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