017 - りーしゃさん -(挿絵あり)
017 - りーしゃさん -
俺の名前はベネット・ライアスだ、今俺とシエルは薄汚ぇストリップ劇場でショーが始まるのを待ってる。
カルロの奴が言ってた宿主のダンサー・・・リーシャって女を観る為だ。
スポットライトに照らされて出て来たのはシエルよりちょっとだけ歳上っぽい容姿の少女・・・両目を覆うでかい眼帯とそれでも隠しきれねぇ傷跡が痛々しい、筋肉モリモリマッチョ男に手を引かれてステージ中央に歩いて来た。
「あ・・・長命種かな?」
シエルがステージ上の少女を見て呟いた、髪に隠れて分かり辛いがよく見れば耳が少し尖ってるな、それに貧乳だ・・・シエルと比べたら女っぽい膨らみはあるが俺に言わせりゃ誤差だ、あの程度じゃあるとは言わねぇ・・・。
じゃららら・・・
筋肉モリモリ野郎が天井に吊ってある鎖を下ろし始めた、何するんだろうな?、昔あの鎖で女を吊るして痛めつけるショーをやってたのを見た事があるがあれは悪趣味過ぎて気分が悪くなった・・・。
マッチョ男は少女に嵌ってる手枷と足枷に鎖を付けた、しかも左手と右足だけだ・・・宿主の枷は拘束する為に付けられてるから鎖を通す穴があるんだろうな、俺は横に座ってるシエルの手首を引っ張り確認した。
「わ・・・おじさん何?」
「いや、お前の枷にも鎖を通す穴が空いてるのか気になってな」
「え・・・この穴って鎖を繋ぐ為なの?・・・」
「普通枷ってのは拘束する為のもんだろ」
フルフル・・・
シエルが今初めて気付いたような顔して震えてるぞ・・・おい、そんな泣きそうな顔するなよ。
鎖を付け終えたモリモリ男がステージを降りた、今照明に照らされて野郎どもの注目を集めてるのはリーシャだけだ、天井から垂らされた鎖に繋がれ不安そうに床にペタンと座ってる。
チャリ・・・チャリッ・・・
リーシャが貧相な胸を揉み始めた、ステージ前列にカメラとマイクがあるんだろう、後ろのスクリーンに致してる光景が大きく映し出され、会場内に喘ぎ声が流れた。
チャリ・・・チャリ・・・
次第に動きが激しくなって上から垂れてる鎖が波打ち始めた、会場に居る幼女趣味の変態野郎どもは大喜びだ。
「いいぞーリーシャちゃん!」
「もっといやらしい顔見せろ!、俯いてたら分からないぜ!」
チャリ・・・
・・・これをやってるのが巨乳の熟女なら俺だって興奮しただろう、だがこいつは貧乳の幼い少女だ、ガキが盛ってんじゃねぇぞ・・・俺は喉元まで出かけた言葉を押し込んでステージを見続けた。
・・・
・・・
ステージを見ながら俺は店の女が注いでくれた酒を煽る、熱い液体が喉を通って胃の中に落ちると傷・・・内臓に滲みた、そういえば俺は重傷だったな。
後ろのソファではカルロの奴が俺の発注したブツの準備を部下に指示する声が聞こえ、シエルは何故か食い入るようにリーシャのステージ見てる・・・そんなに面白ぇか?。
そうしてる間にも客は大盛り上がりだ、ちょっとは楽しめたか・・・そう思ってるとさっきの筋肉モリモリマッチョ野郎が再びステージに出て来た。
ぐったりと座り込んでるリーシャの横を通り過ぎ、ステージ奥の鎖を引っ張った。
ジャラジャラ・・・
「あぅ・・・痛っ」
リーシャの左手と右足が鎖で高く釣り上げられた、今彼女は左足一本で体重を支えてる、身体にぴったりした防護服着てるから素っ裸よりはマシだが凄ぇエロい姿だ、
「わぁ・・・足が真上に・・・身体柔らかくていいなぁ」
シエルが意味不明なことを呟いてる。
「感心する所そこかよ・・・」
モリモリ野郎がステージ中央に進み手をワキワキさせながらいやらしい笑顔でリーシャに近付く、客は大喜びだ、なかなか面白ぇ演出じゃねぇか。
マッチョがリーシャの首輪を引っ張り濃厚なキスをした、その後客に向かって満面の笑顔で煽る。
「やめろ俺に代われ!」
「あの野郎、俺のリーシャちゃんになんて事を!」
「口が臭そうだ」
客からの罵倒も気にせず大仰な仕草でリーシャの身体に手を伸ばすモリモリ男、体格に似合わずあのマッチョ野郎、指使いがエロい。
「ベネット様ぁ!、私もお酒飲むー」
休憩を終えて汗を拭いたルーシーが俺とシエルの間に割り込むように乱入して来た、もちろん全裸だ。
「おいおい・・・」
「そっちの男か女か分からないベネット様のお連れさん、ご挨拶がまだだったね・・・私はルーシーっていうの、よろしくね!」
「・・・よろしくお願いします、シエルといいます・・・ちなみに女です」
「シエル様・・・うん覚えた、シエルちゃんでいいかな?いいよね!、今後ともご贔屓に、私のステージの時はサービスしちゃうからねっ!」
「・・・」
「リーシャちゃん最近やっと慣れて来たみたいだねー、でも最初の頃の恥じらいと本気で嫌がって泣いてる姿の方が私は好きなんだけどなぁ・・・」
「リーシャとは仲がいいのか?、元からここの住人じゃないようだが」
この街に住む連中は皆訳有りだ、詮索をしないってのが暗黙のルールになってるが俺は思わずルーシーに聞いた。
「元貴族様なんだって・・・お食事の作法は綺麗だし、所作も上品なんだよねー」
「なん・・・だと」
今ステージで下品な観客に見られながら喘ぎ声を上げてる少女・・・貴族令嬢だったのか、なら何で彼女がこんなステージに立ってるのかは想像がつくぜ。
「・・・ベンダルワームに襲われて宿主になったから家を出された、家族は宿主に偏見の無い場所に移住させようとしたのに一緒について来た護衛が裏切ってお金も何もかも持ち逃げ、騙されてこのゴミ溜め行きの船に乗せられた・・・ってボスが言ってたよ」
「・・・」
よく殺されなかったな、いや、貴族殺しは重犯罪だから護衛の奴は放っておいても死んじまうこの方法を選んだか・・・。
「お金も薬も無い状態でこの街に放り出されて薬を売ってるうちの店に・・・タダで薬をくれてやる義理は無いから今は見せ物になって薬代を稼いでる、可哀想だよねー、この街じゃ珍しい話じゃないけど」
「家族に連絡してやらねぇのかよ?」
「あはは!、この街の住民は貴族が大嫌い、その令嬢がこんなに惨めな生活送ってるなんて面白いじゃん・・・リーシャちゃん自分の家族の事は全然話さないし、私だって生きるのに精一杯なのに他人の事まで構ってられないよぉ」
「ま、確かに俺にも関係ねぇ事だ・・・」
そう言ってステージに目を向けるとモリモリ野郎がいつの間にか全裸になってた、客席からは嵐のような罵声だ。
「汚ねぇもん見せるな!殺すぞ!」
「俺のリーシャちゃんがぁぁ!」
ふと隣を見るとシエルは両手で顔を覆って恥ずかしそうにしてるが指の隙間からガン見してるのを俺は見逃さなかった・・・。
「シエルちゃーん、お股をモジモジしてどーしたの?」
つつー
「ひゃぁん!」
ルーシーの奴がシエルを揶揄い始めた、指を太ももに這わせ股間に滑り込ませてる。
ぽかっ!
「あぅ、いたーい、ベネット様酷いよぅ」
「あまりシエルを揶揄うな」
大盛況のうちにステージは終った、客は皆娼館の方に向かって歩いてる・・・原因はこの劇場内に漂うリーシャの体臭・・・ベンダルワームの宿主の体臭は他人を発情させるから連中はそれに影響されたんだろう。
俺も久しぶりに巨乳熟女とやりてぇが今はシエルと一緒だし、体力を使い過ぎたら魔力切れで魔法陣の維持がやばい・・・お楽しみはあいつらをギルドに引き渡した後だな。
ステージ上では疲れ果てたリーシャが倒れたままでマッチョに鎖を外されてる、あんな子供が見せ物になってるのは気分がいいものじゃねぇが俺にはどうしようもねぇし、助けてやってもずっと世話してやれる訳でも無ぇ。
「うっく・・・ひっく・・・ぐすっ・・・」
泣いてるリーシャを担いで全裸モリマッチョがステージを降りて行った。
「さて、シエル帰るか」
「そうだね」
「シエルは俺にリーシャが可哀想だから何とかしろって言わないのな」
「・・・リーシャさんは他人で僕には関係ない事だし」
「変なとこで淡白だな、お前」
「そうかな?」
「なら何で俺を助けたんだよ?」
「・・・なんとなく?」
俺はなんとなくでシエルに助けられたたようだ。
リーシャさん
リーシャさん(+靴)
読んでいただきありがとうございます!。
これは「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」に投稿している「〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜」の元になったお話のリメイクです、なので内容や登場人物が「リーゼロッテさん」とよく似ています。
遥か昔に書いたオリジナルを元にリメイクし、新しい要素を混ぜて最初から書き直していますので宇宙版の「リーゼロッテさん」として楽しんでもらえたら嬉しいです。
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〜隻眼の令嬢、リーゼロッテさんはひきこもりたい!〜
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