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○○王子と婚約者の私

温泉王子と婚約者の私

掲載日:2023/12/30

応募の都合上! 本文は千文字で終わりです!

 私の婚約者は王子様。

 王位継承順位は、そこそこ低い。

 ご公務とかも、本当にそこそこ。

 殿下はいつも暇そうで、暇に飽かしておかしな研究に明け暮れ。

 放っておくのも心配なので、私は殿下の研究室を訪れる。


「でんかーっ! 今日も婚約者の私が様子を見に……来ましたが……」


 部屋は白い煙——湯気に包まれていた。

 何も見えない。


「あっ、婚約者殿」


 煙の奥から声がして、殿下が顔を出した。


「殿下! この真っ白なのはどうなっているのです?」


 空気がすごい湿ってる。それと室温が高い。


「これか。これは……演出だ」

「演出?」


 何それ?


「湯煙の天然温泉だ」

「意味が分かりません。ちゃんと説明してください」


 私がそう言うと、殿下はやれやれと首を振った。

 正直ウザい。


「君は新聞を読んでいないのか? そこに置いてあるから、今すぐ読むんだ」


 見ると、テーブルの上に新聞が広げられている。

 湿気でふにゃふにゃだ。


「えーっと……『井戸から熱湯、我が国では珍しい温泉』」

「ぴんと来たんだ。それでわざわざ取り寄せた」


 そう言って示す先には大きな浴槽が置かれていた。

 お湯が張られて、湯気が立っている。


「素敵な浴槽ですね」


 ちょっと高そうなやつだ。

 そう言えばこの人は王子だった。

 王子様々(さまさま)だ。


「そうだろうそうだろう。これは特注……って、そうではなく」


 殿下は浴槽のお湯に手を浸した。


「これが温泉だ! すごいだろう!」


 そう言われても……。


「ただの濁ったお湯では——」

「違う!」


 いつになく熱い殿下。


「どこから説明したものか……」

「あの……健康にいいんですよね」


 そのくらいは私でも分かる。


「そうだ。分析の結果、この温泉は美容と健康に効果があると判明した」

「では殿下の健康——」

「俺ではなく君の美容と健康だ」


 またまた。この人は時々こんな言い方をする。


「それだけではない。温泉が湧く所、人が湧く。人が湧く所、金が湧く」


 なんだかこの人らしくないことを言い始めた。


「俺は温泉リゾート開発に投資する! それで研究費を稼ぐ!」


 その投資に使うお金を研究費に回したら?

 私はそう思ったけど、のぼせ上がった殿下は。


「ここも改装して、俺と君の愛の巣だ! 新婚旅行は温泉だ!」


 言って私の手を取る。

 そしてなぜかステップを踏もうとして————


「ああっ!」


 滑った。


「でんかーっ!?」


 ざっばーん。


  *


 後日。


「『温泉の夢は露となり……泉温低下』。リゾートは無理ですね」

「くっ……だが俺には君という温泉が————」


 まだのぼせてる。

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