❷①
このとき貰ったのはヤーコンなどの野菜。
ヤーコンって大酒呑みの天敵『動脈硬化』の予防になる…………
「って、数が多くない?」
「仕方がないさ。ネット1袋で売られていたんだからな」
「希望は?」
「食ったことがないモン」
「酒のつまみ。それにチョイと食事系にデザート付き」
私の提案で了承された。
元々、私に一任してくれるんだよね。
ヤーコン自体は以前に何度か頂いたことがあったため、オリジナルレシピはもっている。
キャビンに戻った私がチェックすると、その1袋に大小様々なヤーコンが20本近く入っていた。
折れたのか、はじめからなのかは不明。
まあ、市場には出回らない大きさや形。
いわゆる『規格外』なのだろう。
……重かったけど、その代償は美味しい料理となったのでヨシ。
ちなみに擂ったヤーコンはオレンジジュースと混ぜて飲んだら美味かった。
それを寒天で固まらせてゼリーに。
ただ、このおじさんは固形のゼリーよりクラッシュゼリーの方が好きなため、袋に入れて提供。
食べるときに軽く揉んで、好みの大きさにしてもらう。
ここで保存用の袋を使わないのは、揉んだ後に袋の底の端っこを切って食べるからだ。
直接、口をつけて吸うことはしないけどね(ほかの人がそれをする)。
好きな量を出して、余ったらゴムで縛ったり洗濯バサミで留めて保存するのに便利なんだよね。
隅っこを切って出す方法は私が教えたんだけどね、ゴムで縛ったり、折り曲げて洗濯バサミで留めたりっていう方法も一緒に。
漏れが心配なら保存袋に入れてもいいけど……
「だったら食っちまう」
私のまわりにはそんな人が多い。
だから渡すときは量を気をつけるものの、夜遅くなるとサイト近くに「食べ過ぎてくるし~」とゾンビの嘆く声が聞こえる。
某ラッパのマークで強いニオイの市販薬を持ち歩いてるので、それを求めてやってくるのだ。
ただし、そこは管理棟の職員が同伴。
市販薬ならいいんだけど、病院や調剤薬局の薬は処方された本人以外の人に「同じ薬だから」と分けるのは禁止されている。
それの確認なんだよね、職員の同伴は。
管理棟でも置き薬を用意しているところはあるけどね。
残念ながら『自己責任』を謳うキャンプ場も多いんだよ。
「頭が痛い」という訴えに対して親切に市販の頭痛薬を与えたら翌朝亡くなってた、なんて事案も過去にはあったらしい。
私がよく行くキャンプ場でも、一度でも行ったことのあるキャンプ場でもないけどね。
もちろん、キャンプ場側は「頭が痛いと仰られたため、市販の頭痛薬をお渡ししました」と事実をそのまま正直に伝えた。
でも、それを聞いた遺族が「薬を与えたから死んだんだ!」と騒いだ。
まあ、キャンプ場に行く数日前に起こした自損事故の記録が警察に残ってたから、死亡原因が判明した。
自損事故のときに「一瞬寝てしまった」と言っていたそうだ。
運転中の居眠りではなく、一過性や断続的に起きていた不調だったとしたら?
ポールにこすっただけの事故だったらしいけど……
このときに病院で検査していたらよかったのにね。
さて、ヤーコンはオレンジゼリー、白和え、すったて汁(普通は大豆を擂ったもの)になりました。
擂ったヤーコンを団子にして、揚げたり焼いたり絡めたり。
野菜のスープにすいとんみたいに入れたり、すったて汁に入れたり。
噛みごたえは梨のようなシャキシャキ感。
白和えも柿(貰ったやつ)と一緒にしてみた。
ウチでは擂った山芋に出汁や小口ねぎを混ぜた『山芋のステーキ』もつくる。
それをヤーコンで作ってみた。
「美味いじゃねぇか」
夜半の雨で早朝は寒くなったから、汁物は助かった。
そう言って、肉や魚を「礼だ」と言ってキャビンまで届けてくれたので、「お裾分けじゃ」と、石狩鍋と飛鳥鍋、粕汁を届けました。
おじさんは道路が封鎖されて3日目の昼前に、土砂が取り除かれて安全が確認されたと連絡がきたため、翌朝帰って行った。
最後におにぎりを所望されたため、おかかと梅と鮭の3種類。
そしておひたしやだし巻き卵(ネギ入り)、デザートにプリンを持たせました。
物々交換のお返しは、ちょっとお高めの牛乳とチーズと、かなりお高い鶏卵(1個50円×20個=1パック)でした。




