8話
早くガチャを引きたいため、ステータス確認後すぐに森に向かった。
ちなみにこの森は世間では、蹂躙の森と呼ばれている。外側の方はゴブリンなどという弱い魔物のみだが、中心部――森の心臓周辺は、桁違いの魔物がうじゃうじゃ住み着いているらしい。
今のダンジョンがあるのは、外側に近いところなため比較的安全だ。最近は森で結構活動しているが、探索率は1パーセントにも満たないだろう。
新しく使えるようになった魔法や、剣がないため、魔銃を主に使い敵を倒していく。
何時間くらい狩ったかわからないが、日も沈もうとしていた。
レベルも104レベルまで上がり、目標は達成だ。
そういえば。と、盗賊たちが持っていた荷馬車を確認していないことに気づき、荷馬車を探す。
荷馬車を見つけ漁っていると、金がけっこうあった。金貨4枚と、銀貨94枚だ。これくらいあれば困らないだろう。
他には謎の絵画や、高そうな壺、あとはエルフが大半を製造している魔法具があった。ネックレス型の魔法具があったので鑑定してみる。
幻惑のネックレス:自分の姿を変化させることが出きる。(品質:普通)
今は必要ないがスパイをするときがあったら使えるだろうから、アイテムボックスにいれる。
他にもホントにいらなそうなもの以外は入れておいた。
久しぶりのガチャタイムだ。消費レベルが一回10レベルなので、いいものが当たってくれるだろう。
「いざ、尋常に勝負!」
SSR【特殊スキル】重力魔法
R【攻撃力】+38
R【道具】ポーション
LR【武器】滅剣
SR【特殊スキル】水属性
SR【特殊スキル】風属性
R【MP】+32
SR【特殊スキル】土属性
R【魔力】+30
SR【道具】転移の指輪
SSR【武器】メリケンサック
新しくLRが出た。これはSSRの上かな?他にも気になるものもあるのでとりあえず調べる。
滅剣:敵を斬るほど鋭さを増す剣。使用者の魔力に適応し、独特な変化がある。(ランク:神話級)
重力魔法:重力を操作する。
メリケンサック:手袋型の武器で、殴ることに特化している。(ランク:伝説級)
またヤバイものを引いた。メリケンサックは多分使わないけど、剣の方はありがたい。
斬れば斬るほど強くなっていくというのがロマンが詰まってる。これは愛刀になるかもしれないな。
消費レベルが10になったことでNが出なかった。SSRも多かったので、これからは引くのはこっちにしよう。
魔法も色々な種類のものが出ているので練習時間を取らないといけなくなるだろう。重力魔法は強そうなのでぜひマスターしたい。
久しぶりのガチャは大当たりだと思う。アドレナリンが止まらない……。俺は声高らかに叫ぶ。
「やっぱ、ガチャは最高だぜ!!」
新しく取得した魔法の練習や、剣の素振りをしていると、急にダンジョンボードが出てくる。それを見ると、5人の男がダンジョン内を闊歩していた。
はじめての侵入者だ。
服装はこの間、魔物に殺された奴らと同じ格好をしている。おそらく仲間だろう。
とりあえず、様子見していると奴らの前にスライムが出現した。しかし焦ることなくスライムを切り捨てている。
ここに来るのも時間の問題か。男たちの様子をみていると、ふと、気づいた。
【DP】1960→1970→1980……
と【DP】がどんどん増えている。たぶん、ダンジョンに侵入者がいると、貯まっていく仕組みだろう。このダンジョンが有名になれば、魔石を吸わせなくても自動でダンジョンレベルが上がっていくかもしれない。
そこで、男たちが階段を見つけたようだ。コツンコツンと足音がするので、戦闘態勢に入り構える。
「ようこそ。私のダンジョンへ」
ちょっとカッコつけて相手に話しかける。ちょっと恥ずかしい。あいては一瞬、驚いていたがこちらを向き相手も警戒姿勢にはいった。
こちらを見て何やら話し始める。
「ダンジョンマスターが魔人か、ついてねぇなぁ」
「だけどダンジョンは一階層分しかなかったぜ」
「もしかしたら最近生まれたばかりかも知れねぇぞ」
「そうかもしれないな。確かにあいつは強そうじゃねぇな」
「案外簡単に倒せるんじゃないか?」
と笑って会話している。敵の目の前なのにね。相手はこっちをなめているっぽい。ちょっとだけだが頭にきた。
「討伐するなら、俺が弓を撃つ。後は行動を合わせてくれ」
「わかった」
俺の討伐を決定したっぽい。
俺には聞こえないよう小さめに話しているらしいが、身体能力向上を発動しているので、聴覚が冴えていて、全てが筒抜けだ。
シュンッッ。
矢を撃ってきた。明らかに殺意がこもっている攻撃だ。だが、感覚すらも引き上げられている俺には、とてつもなく遅く見える。
ちょうど俺の顔の前にきたところで、矢を掴んでみる。
それをみて、攻撃をしてこようとした奴らの動きが若干鈍る。その隙をついて練習していた魔法を使ってみた。
風属性で重く鋭い風を発生させ相手を切り裂き、土属性で人より何倍にも大きい岩を作り出し盗賊たちに向けて飛ばす。
骨が折れるような、肉が断たれるような音がしてさすがにキツかった。
仕上げに水魔法で水球を発生して原型のない顔の位置に固定する。息があった奴らも、窒息してバタリと、倒れた。
さすがにやり過ぎた。相手が殺意を持っていたからか、何の抵抗もなく殺せたが、ちょっと自分に驚いている。
いつからこんなに非情になったのだろう。
とりあえず、スライムたちのところに死体を持っていき、処分してもらう。
スライムは何でも食べて消化してしまうため、処分したいものがあるときに、結構便利だ。
盗賊はあまり強くなかったが魔法の効果は実証できたので良かった。
はじめての侵入者だったが呆気なく終わってしまったなぁ。と寂しくなりつつ、魔法の練習を再開させた。
久しぶりに街に行くか。
スキルの確認や魔法の練習、レベリングをしていたら、あっという間に3週間ちょっと立っていた。
ギルドの依頼の、ゴブリンの討伐は大丈夫だが、採取系の魔力草の採取が終わっていない。
魔力草はマナポーションの材料になる草で、どの時期でも重宝される。
どこら辺が群生地なのか知らないが、俺には関係ない。探索の精度も良くなって特定のものの場所を感知することも出きるようになった。
今回は魔力草なので、小さい魔力が多くとどまっている場所を探してみる。
見つけた。群生地らしいところに向かうと、一面が青々しい草だらけだった。一輪の花もなく、緑で覆われている。念のため鑑定もしとく。
魔力草:多くの魔力を含んで降り、マナポーションの原材料になる。
必要最低限だけを集めてその場を去る。あんまり取っちゃうと植生が変わっちゃうからね。
そろそろ街に向かうかな。と、思っていると…
「きゃぁぁぁぁあ!!」
女性の悲鳴が聞こえてきた。何があったのかわからないがとりあえず向かってみる。
見たところ、高級そうな馬車を守っている騎士とそれを囲むようにして立っている盗賊がいる。
今まで見てきた盗賊たちの仲間だろう。
しかし盗賊のなかに異様な雰囲気を纏う大柄の男がいる。そして、馬車の中には童話に出てくるお姫様のような、キレイというよりもかわいい感じの女性がいる。
盗賊が動きだし、それに合わせて騎士が動く。最初は騎士たちが押していたのだが、大柄な男が動き出し、大剣を振った瞬間空気が揺れ、近くの木が真っ二つに伐れていく。
思った以上に強そうだ。
【種族名】魔人
【名前】ヒスラー
【職業】盗賊王
【レベル】130
【HP】7018/7018
【MP】0/0
【固有スキル】大剣の導き
【職業スキル】殺人術,拘束術,解錠術,恐喝術
【特殊スキル】凶暴化
魔人ねぇ。スキルも魔物と比べて、豊富で効果の分かりづらい物もある。気を付けていこう。
魔人が、騎士を斬ろうとする。
見てしまった以上、ほっとくわけにはいかないだろう。
ここはいっちょ、ヒーローになりますか。