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7.最前線エリアでも急所突きは有効ですか?

7


「ここが今回の狩場の【賢人の都】だ」

「えぇ…ここって…マップ的にも…最新エリアじゃないですか!」

「まあな」

「レベル差があると与えられるダメージが極端に減るって事前情報にありましたが…?」

「そこでその短剣だよ。そいつは固定ダメージなんだよ。レベルなんて関係ないんだよな」

「えっ…そんな貴重なもの…」

「さて、この話はここら辺にして、レベリングしに行くか」


転移門を通りやってきたのは一陣の連中もほとんど来ていない新規エリアの【賢人の都】。

どうにも賢人とは名ばかりの野蛮人の都と言われているらしい。

そらエネミーが攻撃してこなければ成立しないだろうとは思ったけど一陣にそう言わしめるほど強いのだろう。


「入る前に、ここはスニークが基本だ。街中で戦ったらすぐさま住人の全員が襲いかかってくる。というか見つかっても襲ってくる」

「そ、それは…」

「狩場はちゃんとあるから安心しろ」

「わかりました」


インベントリからあるアイテムを取り出す。


《隠者の泥》

頭上に掲げ握りしめることで使用可能。

使用者の姿を隠す。


泥団子を頭上に掲げ握りつぶす。

すると手の中から泥がわいてでて俺の体をおおっていく。

そのすぐあと、浸透するかのようにドロは消えていった。

ステータスを見ればバフであるステルス状態が付与されていた。

効果時間は360秒


「長くないですか?」

「効果時間の延長に重きを置いて強化したらしいからな…んじゃ時間も無駄にできん。とっとと中央の城に行ってレベリングすっか」


都と名が付いているとおりここは都市なのだが中心に小さい城がたっている。

そこがレベリングに適した場所らしい。


廃れた門から都に入っていく。

門を通ると俺だけでもこの都に転移できるようになった。

周りを見てみると廃れた見た目とは裏腹に倒壊した建物が見受けられない小汚い街という印象を抱いた。

そこら辺にもありそうな都が何故敵の出るフィールドになったのか、その理由はすぐにわかった。


「あ、あれは…」

「あの城の内側から食い破るように出てきた木が、この都が廃れた原因だ」


遠目からでもわかるその大きさと禍々しさ。

木の洞からは毒々しい紫色をした結晶体が突き出ていた。

原因を少し足早にシェリフは語った。

結晶からでたとても濃い負の魔素がこの都の住人を残らず魔物に変えてしまったそうだ。

アンデッドとは違う、ヒューマンデッド。

人の形をした死そのもの。

元人間ではあるが生という概念そのものが抜け落ちた存在だと。

訳分からんがそういうものらしい。

ただ、街中にいるもの達は全員失敗作なのだそう。

一線級の検証班が城を調べた結果わかったらしい。


「あとあれな、世界樹のなりそこないって話だぞ」

「へえ…」

「おっといけね、とっとといくぞ」

「了解」


ちなみにウロは予めおなかいっぱいにさせて寝かしつけた。

ここでは秒速入眠が助けになった。



◇◇◇

城内


城内は外と同じく汚れが目立つものだった。

その中を定期的に巡回するエネミーがいるようで、そのエネミーがレベリング対象らしい。


個体間の間隔が開いているため、変にもたつかなければ美味しい経験値の塊にありつけるわけだ。

ウロはレベル3のため、レベル上昇も著しいはず。

ウロが自分で攻撃に参加できるまではパワーレベリングになるわけだし、まあ…シェリフさんに対する寄生でもいいかなって…


「いたぞ」


隠者の泥の効果時間はとっくにすぎているため、真面目にスニーキングをする。

目の前には頑丈そうな鎧に身を包んだヒューマンデッドが見えた。


「…ふぅ…小手調べのために…先行します」

「了解」


腰に括りつけてある短剣2本を抜き取り、縮地もどきで急接近を試みる。


「…セァ!」

「GRR?!」


脇から接近し、視界から外れるために横に跳躍。

鎧の隙間を狙い短剣を突き刺し、捻る。

すると短剣の先からボクっと手応えを感じる。

首の骨を折ったようだ。


weakattack!!


死そのものとは言われていても死ぬようだ。

ヒューマンデッドは霧散していく。


『レベルアップ!個体名ウロのレベルが3→5になりました』

『個体名ウロの意志による進化が可能です』


「これは…予想以上だ」

「…そうですか?」


ログに目を通し、その情報を頭に入れつつシェリフの言葉に適当に返事しておく。


「PSが異常だな。マナー違反かもしれないが…リアルで武道関係のスポーツをしたことは無いか?」

「いえ…私がしていたのは、ただの妄想ですよ」

「なに?!」

(想像通りに体を動かしたのか?!想像力もさることながら…ヴァーチャルでの体の動かし方を、初心者にもかかわらず完璧に把握している…化け物か)

「どうかしました?」

「いや、なんでもない。ウロのレベルはどうだ?」

「あ、もう現時点のカンストに行ったんですが…」

「ねてるな」

「かわいいですよね」

「ああ、かわいい」


竜母の特性かどうかは知らないが、ウロの意思でしか進化できないため、ウロが寝ている今、俺たちにできることは何もない。

早く起きろ!ウロ!

ちなみに俺たちが起こすことは無い。

赤ちゃんは寝ることが仕事だからね。


◇◇◇

誤字報告ありがとうございます!

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