第7話予定
いつもより長くなってしまった。
「なるほどなそんなことが」
飯を食いながら自己紹介などをしていたら皆しっかり食べたようでいつの間にか飯は無くなっていた。どうやら数日ぐらいしっかりと食べていなかったそうだ。美味しく食べておるなら作ったかいがあったわ!
飯を食い終わった彼女らに俺はことの経緯を聞いた。最初は言いにくそうにしていたのだがテレスティナが口を開き一つ一つ話し出した。
城がいきなり奇襲を受けて陥落したこと。
クリスティンが抜け道から逃がしてくれたこと。
抜け道の入口がこの森にあったこと。
帝国の皇帝が自分を狙っていること。
などと色々だった。しかしまぁどうやったらよくそのようななんというか身なりを綺麗に見せるだけの機能性に優れない服でここまで持ったな。それにどうやって帝国の奴らは気付かれずに城まで移動出来たのか。それ自体が分からんぞ。いずれにせよそのような力を持つものがいるなら厄介だな。
俺は傍にいる式を撫でながら考えた。気持ちよさそうだな。
「それならここからどうするつもりだったのだ?」
逃げ出したのはわかったがこの後どうしたいのかが分からなかった。
「それは私が話そう。私は陛下から隣国のライオネス王国に亡命するように命令されております。ですのでこの森を迂回する形で行こうかと思っておりましたが…」
「帝国兵に先回りされて待ち伏せされていたと?」
「えぇ、抜け道を通ったのですが結局はそうなりました」
「ではこの後はどうするつもりだ?」
「……正直何も考えて居ない」
おそらく準備もする暇もなかったのだろうな。旅をする荷物も持っておらん。服装も旅なんて出来るような服ですらない。これは最短で行くことが前提であろうな。しかしそれが帝国の者共に筒抜けだった。これではもう最短の道は使えんな。
「そうか。ひとつ提案がある」
「提案ですか?」
クリスティンは首を傾げていた。
「ああ、まずは街に行って準備をする。そしてこの大森林の中央を通るそれだけだ」
帝国に見つからず最短で行くならその道しかない。だが、その道を行くには今のままの服装では少し厳しいだろう。だからここから1番近い街または村に服と色々と準備をしなければならないだろう。
「なっ!大森林を抜けると言いましたか?それは流石に無茶ですよ。貴方がどれだけ強くてもこの森の奥に行ったもので帰って来た者はいません!それに街によるですって?無理言わないで下さい。帝国兵達の巣窟になっているはずだ!」
「大丈夫だ。心配には及ばんよ。見つからない方法ならあるからな」
それでも納得出来ないと言う顔をするクリスティンはこちらを睨んでいる。仕方がない、初めて会ったものを信用そしろと言う方が無茶だ。
「初めて会ったものを信用するのは難しいと思うがどうかこの通りだ!俺を信用して欲しい」
信用はしていないのだろう。しかしこの3人は俺を信用しようとしている。それは自分達の状況をわざわざ俺に語ったのが証拠だ。
その最中に無茶な提案だ。まだ納得してくれはしないだろう。
「少し3人で相談さして貰えませんか?」
「好きなだけどうぞ」
俺がそう言うとテレスティナは他の2人を呼んで円になって話し始めた。
テレスティナside
「ねぇ、どうするの?」
ルーナのその言葉を聞いて私は少し考えます。正直あの人のことを信用したいとは思っています。しかしあの人を簡単に信用していいのかが分からない。それが今の私達の現状です。
何故わざわざ自分が危険になるのを分かっていて私達を助けようとしているのか、それが分からない。
「あの者は悪人では無いとは思うのですがまだ会ったばかりの者を信用しろと言われても流石に…」
「そうだねぇ、でも私はあの人を信用してもいいと思うよ」
「仮に信用出来る者だとして、大森林の中央を抜けるという話を聞くのですか?」
どうすれば良いのでしょうか。私には何も出来ない。今も2人の話を聞いているだけ。そんな私に答える権利があるのでしょうか?分からない何をすべなのかも。
「テレスはどう思う?」
「わ、私は…」
ルーナから話が回って来ましたが何も答えることが出来なかった。何も出来ない守られてばかりの私が意見を言うなんて、しない方がいいんだ……
(ふん、あんさん見たいな人のために主様は手を貸そうとしておらはるん?あるじ様が可哀想やな)
だ、誰?
この声は一体?2人には聞こえていないようですが。
何か聞き覚えのある声だと感じます。
(うち?うちはそうやね、主様のお嫁さん候補と言っておくわ)
お、お嫁さん。なるほどその主様って?
(あんさん察しが悪いお人やね。まぁ良いわ、うちがそういう風にしたんやししょうがないな。それよりあんさんさっさと答えんでいいの?)
答える?何をですか?
(そんなんあの銀髪、ルジアーナと言ってはったね。その子の問にどう答えるんってこと)
私にはそんなこと答える資格は……
(資格うんぬんの話ちゃうと思うんやけどな?)
だって護られてばかりの私に何かをする権利なんて…
(さっきから聞いてたら後ろ向きな話ばっかやな。そんなん聞きたないわ)
じゃあどうしろと?約立たずの私には選択肢なんてないんです!?
(そんなんあんさんの意見やろ?あの子らはあんたの意見聞きたがってんのちゃうの?)
えっ?
そう言われた私はルーナとクリスティン様の方を見見てみました。。2人ともこちらをジッと見ていました。
(やっと気づいたんね。ならもうあとは自分でおやりね)
ま、待って!せめて名前だけでも!
(うちの名前?うちの名前はね狐月八重香よろしゅうな)
ありがとうヤエカ様。
ふと後ろを見ると狐が走っているのが見えた。それを見て彼女が何者なのかを少し理解した気がします。
私は気づいてなかったんだ。私を見ていてくれる人を、忘れてたんだ私を必要としてくれてる人を。なら私は答えなくては行けない。だから私は覚悟を持つ。私を見てくれる人のために。
「すいません、少し考えていました。私の意見ですね?私は彼の提案を飲むべきだと思います」
今度はしっかりと自分の考えを伝えます。
「本当に大丈夫ですか?あのもの自体が信用出来てもその考えに信用を持つことは出来ません!」
クリスティン様が言ったことは最もです。確かに彼自身は信用に値するとは思います。しかし彼の提案が最前の策かはまた別の話です。
「確かに信用に値する人なのかまだ分かりません。ですが今の私たちには選択肢が残っていません。だから今は彼を信じるしか選択肢はありません!」
私が思うことを話しました。これで否定されたのなら仕方がありませんね。
「うん、テレスの言う通りだよ。ここはやっぱりあの人を信用しようよ!」
ルーナありがとう。私を見ていてくれて。
後はクリスティン様だけですね。私はジッと彼女の言葉を待っています。
「テレスティナ様、貴方がそう決めたのなら私はそれに従いましょう。今の私は貴方の従者なのですから。それに私の言葉は貴方の考えの参考程度になればいいのですから」
そう言って彼女は私に片膝を地面に着き忠誠を誓う姿勢を取ったのです。ドウイコトデスカ?
「私の誇りはあなたと共に。我が忠誠を貴方に捧げます」
これは誓の言葉です。自身の主と認めた人にするものです。それを私なんかに……
困った私はルーナに助けて欲しくて視線を送るのですがに笑顔を向けられるだけでした。
自分で決めろということですね。分かって居ますよそれぐらい。
「ありがとうございます。貴方の忠誠は確かに受け取りました。そうそう今決めたのですがクリスティン、いいえクリス私は貴方を愛称で呼ぶので貴方も私をテレスと呼んでください」
「あ、じゃあ私はルーナって呼んでね」
前から私は彼女と仲良くしたくて、今までそのまま名前で呼び様をつけていたのは距離がありすぎると思ったのでこの機会にそう決めました。幸いルーナも同じ気持ちのようですね。
「む、無理です!流石に主を呼び捨て、しかも愛称で呼ぶなど…」
「これは命令です。テ・レ・スと呼んでくださいね?」
「ではテレス様と。流石に呼び捨てはご容赦を」
「まぁいいでしょう」
「ねぇ、私は?」
「ルジ、ルーナ様」
少し困りながらもしっかり言ってくれる彼女に嬉しく思います。これからはクリス、いいですね!
少し話が脱線しながらも私達は意見を固めて彼にどうするかを言いに行くことにしました。
side out
「八重香め要らんことを言っておらんだろうな?」
相談をすると言って離れた3人の中でも少し暗いテレスティナに何故か向かって言ったが少し心配している。
そう思いながらも何も何も言わんかった俺も俺か。
心配しながら様子を伺っていると八重香が走って帰って来た。
(ただいまぁ)
「何をしておった?」
(そんな心配しんでもただ様子見してただけやん)
呆れたように言うそれは何処か楽しそうだった。こいつが何を言うて来おったのかわからんが多分大丈夫だろう…多分だぞ?
彼女達が相談をしている間俺は八重香を撫でながら待っていた。気持ちよさそうだなおい。
そうしていると少し話が脱線しているのではないかと思うような声が聞こえて来おって本当に大丈夫かと心配した。
するとまたクリスティンが弄られておるのか遠目から見ても分かるくらい顔を赤くしておる。
少しして彼女達の意見はまとまったのかこちらに近づいてきた。
「私達はその提案を呑みます」
ふむ、先程の不安そうな顔をした女子が一瞬で上に立つ者の顔になった。一体何があったのやら。
八重香よ、今回は大丈夫で良かったぞ。
「了承した。ではまず俺の名は天鬼紫苑と申す。気軽に紫苑と呼んでくれ」
名乗っていなかった名を彼女達の決心が固まったことで名乗ることにした。
「分かりましたシオン様。私の名前はテレスティナ・アレフテストと言います。テレスとお呼び下さい」
金の髪の女子テレスが自己紹介をした。
この女子は丁寧な子だな。
「私の名前はね、ルジアーナ・ルベリオス。気軽にルーナって呼んでね?シオンさん」
銀の髪の女子のルーナが自己紹介をした。
こちらは元気で明るく活発な印象を持つ少女だ。
「私はテ、テレス様の従者であるクリスティン・アルセフトと申します」
先程と主に対する呼び方が変わったな。それだげ親しくなったということか?分からんが問題はない。しかしこの者は普段は真面目な者と言う印象だが、1度崩れるとダメになるな。今は良いがそのうち…だな。
「ああ、よろしく頼むよ皆」
正直とっとと街に行きたいのだが、説明しなければならない事がある。
「さて早速、寝て明日にでも街に向かおうと言いたいところなのだが」
俺のその言葉に何かと3人が疑問を持ったようで首を傾げたり、こちらを見つめたりと反応はそれぞれだ。
「テレスよ。お主は自分の持つ力を理解しておるのか?」
一応聞いとかないと今後の動きが変わってくる。彼女以外の2人が困惑の表情で俺を見たあとテレスを見たようだが1番困惑しているのはテレスであった。
仕方がないな。これは必要な説明なのだろうから。
「分からないようだな。なら俺が大体のことは教えてやろう」
そう言って俺は彼女らの知らないであろう知識を説明することになった。
んー最近は創作意欲がすごいよねと思う自分