第6話謝罪
今回は少し短めかな?
少し笑いを入れたかったのだ。
「 本当にすまなかった!」
そう言って頭を下げる女騎士。では頭を下げてる相手は?
そう俺だ。何故俺に頭を下げてるかって?
知らん。さっきこやつは起きたのだがな、起きて少しして何か考えて、少しして青くなりだして辺りを見渡して俺を見たとたん急いでこっちに来て土下座をかましてこの通りだ。意味が分からないって?安心しな俺もだ。
「待て待て少し落ち着け。一体全体どういう事だ?」
俺は疑問をそのまま口にした。流石にいきなり土下座謝罪は分からんぞ。
「そ、それはそのぉ、先程私は貴殿に恩を仇で返すように突っかかり貴方を斬ろうとしていた。王女様達を守ってくれていたのは周りの状況をしっかり見ていたらすぐに分かった筈なのだ。それを無視してしまったのは疲れていたとはいえ騎士として恥ずかしい」
少し横を向いて言う彼女の顔は赤くなっておった。おそらく彼女は騎士としての誇りを大切にしているのだろう。騎士とは我が国で言う侍だと俺自身思っている。
「あぁ、確かにお主は俺に話を聞かずに突っかかってきたな」
「グッ改めて言われるときついな」
「だがあれをそこまで気にする事はないぞ。俺も似たようなことがあれば同じになっていたかもしれんからな。まぁ、話を一切聞かずに敵意をむき出しにしたのはあれだがな。しかしあれは主を守るためにしたことであろ?恥に思う必要は無はあるまい」
「し、しかし」
まだ言うかこやつは。
「それにだお主は囮になった身で敵に勝ち、主を守るために帰って来た。それを誇りに思え!」
囮になる時、死んで守ることは誰にでも出来る。しかし生きて誰かを守ることは難しい。この者はそれを成した。それに俺は敬意を払おう。
「それでもだ、私は貴殿に謝りたい!どうか謝罪を受け取ってくれ。私の誇りに関わる」
なおも頭を下げる。それだけこの者は自分のした事を恥ずかしく思っているのだろう。その精神には好感が持てるな。
どうするか見ていると我が式神が彼女の頭をペシペシ叩いている。こら!辞めなさい。
「誇りを守るならまだ信用していないものに謝罪はしても頭は下げるな」
「気づいていたのか」
「あったばかりの者を信用するなら最初からあのように警戒はせんだろ。それにそのように意地を張ることは誇りを守るとは言わんぞ?」
逆に信用していたならこの者の気が知れないぞ。初めて会ったものを最初から信用するなど不用心にも程があるだろ?しかも敵に襲われた後でそんなことをするやつがいるか?
この者はそのような状況で私に頭を下げた。ということはこの者が若いか。何か思惑があるかだが。
「そうだな。すまんみっとも無いとこを見せた」
どうやら若い方のようだ。だが様子見と言う可能性もあるがな。
しかしそうだなそろそろ飯にしてもいい頃だな。
「そろそろ飯にするか。そなたも食え」
「いいのか?」
「ああ、そのために作った」
「……いや、私はまだいい。テレスティナ様達が起きるのを待とう」
腹は減っているだろうに主人をしっかり待つか。いい家臣だ。だが周囲をしっかり把握しとけば良かっただろうに。
「それには及ばんよ。その2人ならそこでお主のことを見ておるぞ」
「えっ?」
女騎士は一瞬呆然とした表情をした後少しずつ後ろを向き始めた。
そして女騎士は金の髪の女子と目が合った。
それから少しの時間が過ぎた。
「テレスティナさまぁ!?い、いつの間に!」
お、さっきまでの堅物そうなのが崩れたぞ!なかなかに面白いな!
「えっと、そのクリスティン様が土下座を下あたりから…です」
申し訳なさそうに言うテレスティナ?という女子と対象に笑い転げてる銀の髪の女子は楽しそうだ。
「あははは、どうか謝罪を受け取ってくれ、私の誇りに関わる」
「あぁー辞めてください。恥ずかしすぎますぅ。忘れて下さい。お願いします」
真っ赤になって泣きかけているクリスティンだったか?を笑って揶揄う銀の髪の女子は小悪魔のようだな。俺も気をつけなくては…
まぁ楽しそうでいいか。
「テレスティナ様からもルジアーナ様に言ってください!」
「えっと、頑張ってください!」
「ぞんなぁー」
見捨てられたようだな。だがそろそろ食わんと飯が焦げるいいぐらいに起きてくれたものだ。
「そろそろ飯にしよう。お主らも腹が減っているだろ?」
俺はとりあえず腹が減っていたので飯を進めた。クリスティンからは感謝の眼差しが来るがたまたまだ。
そうして俺はこの者たちに焼き魚を配り、汁物を装った。