第4話女騎士の怒り
詠唱や技の名前を考えるの苦手だ〜
速く、もっと速く敵を斬らねば、このままでは間に合わなくなる。先程聞こえた悲鳴も気になる。きっとテレスティナ様のだろう。心配だった。陛下はあの方だけは帝国に渡しては行けないと仰った。なら私は何があっても彼女を守り抜かねばならない。例えこの命が燃え尽きようとそれが私の使命なのだから。それに私はあの方のことを……辞めておこう。こんな事を考えてる暇は無いはずだ。
先程から敵を斬っているがキリが無い。次から次へと私に向かってくる。しかも途中から何故か手応えが無くなってきた。
それに気づいたのは偶然だった。疲労によりまともな考えが出来なかった私は普段なら気づいていたことに気づかなかった。それはここに倒れているほとんどの死体と思っていたものは全て人形だったのだ。
なんて事だ私は踊らされていたのか、悔しいが今はテレスティナ様達のことを最優先に考えなければならない。
私は早速人形操って居るものを探した。基本人形などを操るものは魔力糸と呼ばれる特殊な魔力で出来た糸を使う。基本的にこれは着ることが出来ない。いや切ったとしても意味が無いと言ったところだ。
しかし種が分かればこっちのもの、この糸は魔力を目に集中して行う強化の魔力視を使えば見ることが出来る。
相変わらず私を襲ってくる敵を斬りながら私は集中する。
見えた!全ての糸が集中している場所を見つけることが出来た。あそこに術者が居るのだろう。
発見した場所に魔法を放とうとした時私に一斉に複数の人形共が襲いかかってきた。
私はそれに対処すべく自信が持つ剣に魔力付与をした。その属性は風、全てを吹き飛ばす力だ。
「付与魔剣・風翔閃!」
風の魔力を纏って放つ斬撃は凄まじく私の周りに居た敵を一気に片付けた。
そして私は先程の所を見てまだ糸があることを確認すると魔法を放った。
「ライトニングバード!」
私はその場所に鳥の形をした雷の魔法を放った。
「グアァァァ!」
魔法が直撃するとそこから男の悲鳴が聞こえ、それっきり人形が私を襲うことは無かった。
安心する私は気が抜け倒れそうになる。このまま倒れる訳には行かない、彼女達の元へ行かなければ……
私はふらつく体を無理やり動かし今感じている、大きな力の元へ向かった。確信は無かったがそこに必ずテレスティナ様達がいると私の直感が言っていた。
天鬼紫苑side
ふむ、あの桃色の髪の彼女はこの女子達の護衛かノ?体は血だらけ、しかしその体には傷一つない、あの者は出来るな。
大方この女子達を逃がすために囮になったと言ったところか。しかし意味は無かったようだが。
だが何をしていると言われてもな、俺は助けようとしているだけなのだが。
「おい、貴様聞いているのか!」
「あ、ああ聞いておるぞ、しかしだな俺はこの女子達を助けただけなのだが?」
俺は嘘を着く理由も無かったので正直に言ったのだが彼女は疑わしいと言わんばかりにそう言った。
「そんな物信じられるか、怪しいヤツめ!」
話を聞かんやつだな周りを見たら分かるだろうにまず服装自体違うだろう。
まぁ結構な数と戦ったようだし疲れているのかもしれんな。
「はぁ、お前さん周りを見なさい。俺は周りの奴らと服装自体違うだろ?」
「そ、それはお前だけたまたま服装が…」
「わざわざ俺だけか?そんな訳あるまい。それにだ、周りにお前さんが戦った奴らと同じ鎧を来ているヤツらが死んでおるだろ?俺だけ生きてるならおかしいだろ?」
正直彼女を襲った奴らの服装は一切わからん。しかし同じ国の者なら服装は一緒だろうという考えでほとんど賭けだ。もし間違っていたら面倒くさくなるのだが。
「た、確かに」
お、良かった俺の予想は合っていたようだ。
「納得してくれたか。なら少し手伝え。疲れているのだろうがこのままでは魔物共が集まってくる」
「あ、ああ分かった。しかしどういう事だ?私には何も感じられんのだが…」
「説明は後で頼む。とりあえずそっちの銀の髪の女子を頼む俺はこっちの女子を背負うのでなここから離れるぞ。」
「ま、待てその方は…」
俺が金の髪を持つ女子を背負うと彼女が何かを言っていたが俺はそれを無視した。すると彼女は渋々もう1人の銀の髪の女子を背負った。俺はそれを見て街のある方に歩を進めて行った。
数時間後
ある程度先程の場所から離れることが出来た。陽も沈み始めそろそろ休息が必要だと思い俺は女に声をかけた。
「陽も沈み始めた。そろそろ野営の準備をしようか」
「はぁはぁ、わ、わかった。」
息を切らしながら彼女は背に乗せた女子をゆっくりと下ろした。それに続いて俺はその横に俺の背の女子を下ろした。流石にあれなので俺の道中合羽などの持っている布を枕代わりに置いてやった。
「よし、もう大丈夫だろう。お主も休め」
俺はそう言って桃色の髪の彼女の方を見ると女子達に向かって倒れてくるのが見えた。俺は咄嗟に受け止めた。
「お、おい大丈夫か?」
心配をして声をかけたのだが寝声が聞こえてきた。どうやら緊張が解けて一気に疲労が爆発して気絶した、というところか。仕方がないか、疲れていると分かって手伝わせたのは俺だ。休ましてやらねばな。
さてと今から食料になるものを探すと時間がかかるな。
仕方ない、手伝いを呼ぶとするか。
俺は懐に手を入れ1枚の紙を出した。それには五芒星や他にも色々と書いてあるがまぁいい。これはある1つの触媒である。術の威力向上や補助などの役割がある。魔法で言う杖のようなものだ。
特に必要なわけではないのだが召喚術は苦手なので補助がどうしても居るのだ。
「我と契約を結びし者よ。我は望む。契約者よ我が前に姿を現し我に力を貸したまえ。我は契約に則り代償を支払う。さぁ我が前に姿を見せよ!」
苦手だが札の補助と苦手なために長くなった詠唱を唱え俺は札に代償の霊力を注ぐ。そして注ぎ終わったあとは地面に向かって札を飛ばした。
そしてそこには札を中心に五芒星が広がり青く広がった。
少しすると五芒星から人影が現れた。
久しぶりに会うな。そんなことを考えながら俺は召喚された者に声をかけた。
詠唱はかっこよく言えましたかね?ちなみにクリスティンさんは疲れていて少し口調がキツくなっています。