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その2 ナス

『プラス思考回路の彼女とマイナス思考回路の彼』http://ncode.syosetu.com/n5552h/


その2 ナス


一体全体何のために、俺は作られたんだ?研究材料?

今日のことを話せって、言われてもな。俺はただ、言われたことをやっているだけだ。


それに俺には、他にやらなければいけないこともある。

課題だ。バーチャル世界の町を作り上げる。これが俺の課題だ。これを俺は作らなければいけない。

その為には、あまり人とかかわっていたくないんだ。疲れるだけだ。


昨日は、博士に言われて外に散歩に出たが、今日は特に何も言われていない。課題に取り組んでいい日だ。

博士の使っているパソコンとは別のパソコン。

これに俺はプログラムをインプットしていく。

そして、バーチャル世界を作り上げる。


「しかし、資料が足りないな。情報を集めなければ。。。」


トントン。

「ナス!何してるの?今日は外に出ないの?」

ノックの音とともに、ドアが開きメロンが入ってきた。


邪魔なやつが来た。。。


「アー。何よその目。露骨に邪魔なやつが来たって言ってるわよ。」

ニコニコ笑顔のメロンの顔は、ナスの不機嫌な顔とはまったく逆にさわやかに輝いている。


「ねぇ。今日って博士から何も言われてないじゃない!でね。でね。」

さらに笑顔の輝きを増しながら、メロンは言葉を続けた。


「河川敷に行くまでの細い道沿いに新しいお店ができてたんだけど、それがすっごくおいしいって!」


ナスはさらに顔を不機嫌にゆがませた。

メロンが何を言いたいのかわかる。

でも、言葉だけを聞いてい入るとまったく説明になっていない。

「メロン。俺は今日課題に取り組んでいたいんだ。新しいケーキ屋になんか興味は無い。行くのなら一人で行け。」


「えー!一人で行っても面白くないよ。」

お願いするように手をすり合わせ、メロンがナスに近寄ってきた。

「嫌なら、博士でも誘っていけよ。」


「うー。。。でもね。きっとね。博士もナスと同じことを言いそうな気がする。」


「あっそう。まぁ。そうだろうな。あの人もどっちかってっと俺に似てるよな。」

言いながら奇妙な気がした。俺たちはあの人の研究材料のはずだ。何故、自分と似た奴を作る必要があるんだ。


「ねぇ。だから、ちょっとだけ付き合ってよ。おごったげるから。」

甘えた口調で、人の不機嫌な顔をものともせずに擦り寄ってくるメロンをナスはまじまじと見つめた。


「おまえ。何考えてんだ?」

「えっ?どうやったら、ナスがケーキ屋さんに一緒に行ってくれるかってこと!」


なんだか、ばかばかしくなってきたぞ。俺の課題には資料が足りない。

「よし、わかった。お前が俺に協力してくれたら、俺も協力してやろう。」


メロンは、一瞬不思議そうな顔をしたようだった。でも、すぐに気を取り直して聞いてきた。

「何をしたらいいの?」

「俺は、町のバーチャル世界を作っているんだ。これが博士から与えられた課題だ。

町はできているんだが、そこに住む人間をインプットしていかなければいけない。

ようするに、人間の情報が不足しているんだ。」


メロンの顔が一瞬曇ったような気がした。

きっと気のせいだ。メロンは底抜けに能天気だ。なんてったって何でもプラスに物を考えるようにインプットされたプラス思考だからな。


「それで何をしたらいいの?」

「ああ。お前の知っている人間の情報を俺に教えろ。」

「ケーキ屋は?」

「あぁ。ケーキ屋の後でいい。すぐ行きたいんだろ。その調子じゃ。」


メロンはピョンピョンはねている。

かなり嬉しいようだ。

こんなことが嬉しいなんてさっぱりわからん。それより、その後の作業のほうが大変だということがわかってないんじゃないか?


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