7話
「テッテレー木製コップ、」
「うん、早い。どうやったの?」
「近くに落ちている丸太に内攻を溜めて触れまーす、そうすると溶け始めまーす。どんどん溶かしていきコップの形にしまーす」
「燃えないんだ、てか皮の袋があるんだけど…」
「早く言えや!」
コップを床に叩き付ける
綺麗に半分に割れる
「あれ?皮だと沸騰消毒できなくない?」
「はぁ?ほざけ!ファイヤーボール」
水源にファイヤーボールを入れ保持する
一瞬で沸騰する水源
「流れる水を沸騰させるとは…どれだけの火力なんだ、」
「これぐらいはできるようにさせるからね、」
「あ、はいお願いします」
袋に水を取り、冷やす
そしたら鹿と熊を入れ解体する。解体の仕方知らないけど…とりあえず腹切って内臓を取る。そして棒に刺す。あとは焼くだけだ
いい匂いが漂い始める
炎の上の肉が狐色に変わる
「あ、涎が」
「丸一日食べてないからより美味しそうに見えますな」
串を一つとる
口に入れた瞬間広がる旨味、だが硬かったり柔らかったり…野菜ほしい、村に行ったらまず商店行こう。でも金ないから奪うしかないか
「これどこの部位だ?」
「さー誰も解体の技術を持っていないので分かりません」
「これ混ざっているんだが…」
「それも一つの楽しさですよ、」
「そうなのかな?」
「そうですよ」
鹿肉にも熊肉にもそれぞれ特有の匂いがあり好みが分かれそうなのだが。会話はほどほどに皆、無我夢中で肉を頬張っていた。空腹というスパイスの効力に驚きつつ、こんなに彼らを追い込まないように肉体的、金銭的にも注意を払うか
周囲は異様に静かだった
あんなにあった肉もすぐ皆の腹の中に納まってしまった。皆の食欲にちょっと引いている
「あー食った食った、熊肉なんて珍しいものも食えたし満足じゃ、」
「なーにじじ臭いこといっているんですか」
「えへへ」
「褒めていません!」
頬を膨らませるナオミ、かなり馴染んでいるようで何よりだ
「んじゃナオミ修行だ!まず胡坐をかけ!」
「こうですか?」
慣れたように胡坐をかく。女子がそれでいいのか疑問が尽きないがいいのでだろう
「そうそう、そしたらおへそのした子宮があるらへんに意識を集中させて…」
手を当て微量の魔力を流す
「なんか暖かいのを感じます」
「それに意識を集中させて動かしてみて、」
流している魔力が何かに包まれ始める、ゆっくり力を抜いていく
「こうですか?」
「そうそう、それを体中に回してみて。自分になじんだら内攻になるから」
「わかりました!どれぐらいやればいいですか?」
「そうだね、日が昇るまでね。私も一緒にやるから」
「日が昇るまで?…」
~
「んー、」
葉葉の間から光がさし顔を照らす
朝が来たようだ
隣を見ればナオミが寝ながら必死に魔力を回していた。初めてやる人に一晩中回せというのはかなり酷な話だが。その精神力、教えがいがあるというものだ
まだ日が昇ったばかりだ。もう少しやらせよう。ここから丸一日移動する必要がある。やはり朝食が必要である。さらに町に入るさいに魔物がいることから防壁があるに違いない。つまり門があるのだ。ラノベでは現金を渡せば通れたがあからさまに盗賊感ぷんぷんのアロエとルーカスを通すとは思えない。ちょうどよくだれか魔物に襲われていないかな…いや、助けても逃げられるだけだ。とりあえず二人を川に沈めるか…匂いもとれるし!匂いは匂いでも違う匂いだけどね♪先ずは朝食か、
皆を起こさないようにゆっくり立ち上がる
「ん?」
パッシブスキャナーに感あり
背後の草が微妙に動いた
まさか肉食動物に既に包囲されていたのか?すげー潜伏能力やな
アクティブスキャナーを発動する
内攻で魔力を集め波状に射出することで精密に検査する
なんだ、数は1か。希薄だが魔力が集まっている。さらに熱を発している。熱を隠さなければ意味がないだろうに、いや誘っているのか?
気が付いていなふりをしながら待つ
だが何もしてこない
私たちを喰らおうと近付いてきたのではないのか?ならなぜ出てこない?
魔力がさらに徐々に薄くなっていく。熱も下がってきているようだ。潜伏しているのではなく倒れているのだろうか?知的生命体を存在に気が付き助けを求めやってきたのかもしれない。助けを求められたら応えるしかないな
対象に向かってゆっくり音を立てずに近づく
挙動に細心の注意を払う
枝を踏んでしまう
「あ、」
魔力が急激に密集する
身構える
何か黒い物体が飛び出してくる
でかい
急速に接近してくる
意識を集中する
キャッチ
とりあえず真ん中を抑える
「いったぁぁああ!」
「え?」
黒色の正体は少女だったようだ
黒髪でオッドアイの少女が特徴的な羽を体に巻き付けて額を抑えながら地面を転がりまわる
やばい、このままだと3人が起きてしまう
「ちょっと痛いじゃん!…」
「うるさい」
「ん、んむうん」
腕を口の中にねじ込んで黙らせる
「んんん、ん んご、旨い!」
え?なんでこいつ喋れるの?てか、旨いとは?
ねじ込んだ腕を引き抜く
「あれ?」
引き抜いたはずだった
肘の先がない
血が吹き上げているだけだった
少女を見ると美味しそうに租借している
食われてしまったようだ…え?何この子喰種かなにか?
「もう片方もちょうだい!お腹ペコペコなの!」
「まぁーいいけど、なんでここにいるか教えてね」
「はーい、ぱーく」
血を吹き上げる両腕を見てなんとも表現しにくい
「んで?何でここにいるの?」
だが腕を奪われたにもかかわらずなぜか怒りがわかない、こう親近感を感じる
「んとねー親に悪戯したら家を追い出されたの」
「ん、それで?」
「んで腹が減ったから周囲をスキャンしたら食べ物が全部逃げてしまったの」
「ああ魔力を込めすぎたのね、どうりで動物が集まらなかったわけだ。でも動物が逃げるほどのスキャンなら気が付かないはずがないけどな…」
「んー4人はスキャン圏外だったのよ、小川を見つけたから向かっていたら力尽きちゃったった。えへへ」
「えへへって」