6話
迂回に迂回に重ねた飛行の結果1日で残り徒歩で1日分のところまで来ることが出来た
日も落ち満天の星空が輝いている中彼らは森林に降りた
「酸素マスクなしで山脈を超えないでくれ!死ぬ!」
本当に苦しそうだ。でもはしゃいでいたよね
「ファイト!」
チアガールのように拳を天に突き応援する
「わぁー応援ありがとう!っておい!応援で何とかなるもんじゃねーよ!」
「まぁー落ち着け、あれ以外にルートがなかったのだろう」
「あったよん!ただ飛びたかっただけだよん!」
「貴様!」
「だから落ち着けって、昨日から何も食べていないからイライラしているのだろう。なんか食べて心を落ち着かせるんだ」
「わ、わかった」
「確かにお腹すいたね、ルーカス小川探してくれ、私とアロエ、ナオミで食料を探してくるから」
「小川、ってこんな森の中で見つけるのは困難を極める!どうやって探せっていうんだよ!」
「水の匂いがするじゃん、それを辿れば見つけられるさ」
「匂いを嗅げだと…そんな馬鹿な!」
「んじゃ頑張れ!私たちも行こうか、」
「あの、アカリさん。私、護身術すら使えないんだけれど…」
「見るということも大切だよ、」
~
岩と岩が重なった洞穴を発見する
「この時間は動物たちも寝ているからここにいるかもね」
「よし、凸りますか!」
得物を抜くアロエ、よくそんな手間をかけようと思うよな…
「先に草を大量に集めるよ」
「草?なんで?まぁーいっか。俺らはあなたの部下みたいなものだからな、了解」
渋々得物をしまい草を集めてくれる
手ごろな大木を手触りで確認しながら選抜する
「よし、これにしよう」
手刀を作り内攻を込める
木に向かって振り下ろす
爆発
内側から破裂し折れる
轟音を轟かせながら倒れてくる
「お、おい、何事だ!」
「ああ、ちょっと予想より大きかったが、」
「大丈夫そうだね」
「あの、アカリさん、」
「ん?なに?」
「参考にならないんだけど…」
「ああ、内攻を手に込めて振り下ろす、幹に傷が入ったらそこに内攻で集めた魔力を流し込む。そしたら破裂するから!」
「言うのは易し、」
「いや、一定以上の内攻があればできるよ、」
「その内攻はどのように集めれば、」
「んじゃー食べたら教えるね」
「はい、お願いします」
倒れた木を切りながら話す
「これぐらいあれば十分か?」
腕いっぱいの草を持ってきてくれた
「うん、十分十分、じゃぁ洞穴の入り口を塞いでね」
「は、はい、」
腑に落ちない感じで置いてくれる
「そして、この三角柱の薪を置きまーす」
「はー、入り口が完全に塞がれましね。入れませんよ」
「そして、ファイヤ!」
ファイヤーボールを放つ
薪に命中
爆発
9割が消し炭になり、残り1割が燃え始める。そこから草に延火
「うむ、適格な火力。完璧だ」
「あ、これが適格なんだ」
「こういう場所は入り口が一か所しかないから煙で炙り出せる。出てくる動物は皆パニックになっている。だから狩りやすい」
地鳴りが聞こえてくる
「ほーらお客様のお出ましだ!」
「お、おう」
得物を抜くアロエ
私も内攻を体中に回す
地鳴りが大きくなる
草を吹き飛ばして巨大な角が特徴的な鹿が姿を現す
腕を広げ足に力を溜める
「早くしないと私が全部奪っちゃうよん!」
黄緑色に光る眼
突撃!
音を置き去りにして踏み出す
手が鹿に掠る
鹿の後ろで停止
後ろからの暴風が髪を靡かせる
倒れる鹿
両手には2つの喉笛が掴まれていた
「クリア、」
唖然とした二人
「なぁ、何をすればいい?」
得物の剣先を床につけ不貞腐れながらいう
「とりあえず逆さまに持ってくれる?」
「あ、雑用係ですね。わかります」
顔を外して私とアロエ一つずつ逆さまにして戻ると傷だらけのルーカスがいた
「お、鹿に2匹か、いいね!でも野菜が欲しくなるね」
「そうね、野菜は都市についてからになるけどね。小川は見つかった?」
「ええ、苦労してようやく見つけたよ。こっちだ、ついてきな」
「よくやった、だけどその傷は?」
「行けば分かるさ」
案内されるままに移動すると角が生えた熊の親子が水浴びをしていた
「熊の角ね…ほしいかも。あ奴らを殺しても問題ないよね」
熊に角なんてありえない組み合わせ。ぜひ頭の剥製が欲しいがそれが可能な技術は持っていない。角を取るのが限度か
「殺せるなら…ってあれ?もういないし」
熊へ正面から向かう
「やあ!君たちその角私に譲渡してくれないかな?」
ゆっくり立ち上がってくる
お、くれるのかな?
振り下ろされる爪
「おい、そいつはかなり狂暴なんだぞ!俺を傷だらけにしてくれるほどにな!」
「そりゃそうなるわな、子供が居るのによくわからん生物が近くにいたらね。だが相手が悪かったな」
「聞いちゃいないし」
「あいつなら大丈夫だろう」
バク宙
空中で角を掴む
軋む角
着地
亜薫里の手には根元から折られた角が握られていた
「確かに受け取った。じゃぁーな、」
反転し、熊の正面に移動しながら首を抉る
完全に息絶える熊
「私に攻撃しよとした罰だ」
「キャウンキャウン」
可愛らしい鳴き声を上げながら逃げていく子熊。親という保護者がいない今子熊が生き残る術はないが私には関係がないことだ
「今日の晩飯に熊肉も追加ですね」
「そうだな」
「どうせなら子熊も狩ったら?」
「弱小なる者にもチャンスを与えることは時には大事だ」
「ただめんどくさいだけでは?」
「そうともいう」
「いうんかい!」
「にしてもこの角すごいな」
「どうした?先っちょが尖がっているとかいうんじゃないよな」
「不純だが多くの内攻が凝縮されている。浄化できるほどになれば一気にナオミ内攻を高められるだろう」
「うれしい限りです」
「自分で使わないのか?」
「久しぶりの弟子だ。弟子のことを優先したがる師匠が一人いてもいいのでは?」
「確かにな、」
「さーてようやく水源を発見したんだから器を作るぞ!」
「そこからかよ、もう夜も遅いのに…」