3話
狼と子分が欲望に染まった眼で倉庫目掛けて走っていく
9割と1割というふざけた分け方だがそれで問題ない。9割もの戦力を投入すれば敵も出し惜しみできなくなるはずだ。そうすることで側面からの攻撃を有利にする
「ぎゃぁああ!」
先頭の者が何かに足を取られる
落とし穴だ
「お、おい!大丈夫か!」
仲間が近寄ろうとする
「まて、罠だ!撤t…」
罠から炎が吹きあがってくる
3人が巻き込まれる
心配し近寄れば一緒に炭となる。ふざけやがって、人の情を逆手に取るとは、道義に反する行為だ!俺らが言えたものじゃないがな
「チッ、ふざけたやがって!」
「まぁー落ち着け、魔術隊に小石を振らせる準備をさせろ
「了解しました」
双眼鏡を使い村人の様子を見る
指を指しながら笑っている村人に腸が煮えくり返りそうだ。きっと奴らはこう言っているに違いない。立った少数の被害で撤退したぞ。あそこの指揮官とやらは完全に腰抜け野郎だな。考えれば考えるほど怒りがこみ上げてくる
「準備ができました」
「よし、放て!」
後方から青い魔方陣が回転し、巨大化しながら宙を登っていく
空中に巨大な魔方陣ができる。いわゆる儀式魔法だ
降り落ちる小石
次々と罠が発動していく
吹きあがる8本の炎
「罠自体の数は少なかったですね」
「威嚇が目的だったのだろう」
村人の顔が絶望に転落する
正しく痛快だ
「よし、作戦を再始動する!」
「了解!」
子分が走り出す。だが今回は油断のない目つきへ変わっていた
「あ奴らも変わったな…いい意味でな」
無事交戦が始まる
「そうですね、では我々も行動を開始しましょう」
倉庫の側面に到着したはいいが壊すのが惜しい。見る限り釘を使わない様式のようで伝統を感じる
「よし突撃するぞ!」
この罪悪感…だが仕方ないか
周囲を確認する
正面突破の部隊は数的有利と心理的有利により善戦しているようだ。倉庫から次々と村人がで行く。見事役割を果たしているようだ。これで懸念の一つはなくなった
得物で壁に切りかかる
斜めの線が壁に入る
降り抜いた剣先には血がついていた
壁によりかかる愚かな野郎が居たのだろう
「おっさき!」
剣についた血を見ているとお調子者が先走ってしまった
「あ、ちょい…」
タックルにより壁を押し倒す
「空からフォークが…」
「ゑ?」
口から吐血しながら巨大フォークに貫かれる
「こういう時はリーダーが一番初めに突撃するのが定石だよな?」
「な、生きていたか」
飛び降りてくる大男
さっき焼き殺したはずの大男だ
「全員別ルートから突撃!」
「おっとそうはさせないよ、」
「貴様の相手は俺だ!」
上段構えで飛び掛かる
盾で防がられる
傾けられる盾
支えるものがなくなり滑り落ちる
持ち上げられる盾
「魔力武装!」
体を青いオーラで包む
力ずよく振り落とされる
カン!
間一髪だ
「チッ」
「ふん、」
鼻で笑ってやる
地面に手をかざし魔力を込める
ロンダートし、体制を整える
気が付かれていないようだ
魔力武装を解除する
「これで終わりではない!」
体を低くしながら突撃してくる。青い残像を残して
再度手を地面にかざす
地面を手で押し出し誤魔化す
突撃を回避
砂嵐を起こしながら減速する敵
自ら視界を塞いでどうするんだよ
横跳びをし再度手をかざす。相手の視界が回復する前に元の位置に戻る
「おいおい、田起こしは別の時にしてくれ」
「ほざけ!」
位置を微調整する
敵と罠の中点の延長線上だ!
赤く光るツインアイ
「チッ、目だけ光らせやがってよ」
手が震える
これが恐怖というものか
得物の腹を見せ防御体制であることを示す
再度突撃してくる
引っかかったな
罠の中点との距離が狭まる
展かーい、今
魔力が光り3つの点を光る線が結ぶ
「三角結界!」
正三角形が浮かび上がり敵を拘束する
高濃度の魔力に縛られ身動きできまい
「哀れな子羊よ、すべてが終わるまでそこで待っていな」
「はて、子羊はどっちかな?」
根性で体を動かし始める
「な、なに!」
結界が悲鳴を上げる
「まるで子供だな、子供は子供の様に死ね!」
割られる結界