1話
葉葉が揺れ、小鳥がさえずるなか光る粒子が集結す
瞑っていた目に仄かに光が差し込む
着いたようだ
気持ちのいい風が吹き
肩まである髪を揺らす
腕を伸ばしのびをする
「ん~」
気持ちよくて声が零れる
転送時は服を着ていなかったけど神様が何とかしてくれたかな?
腕を伸ばしたままゆっくり下を見る
自慢のおっぱい2つが存在感を強調していた
「…」
「あの糞神がぁぁぁあああ!」
鳥の群れが一気に飛び立つ
「チッ」
つい声を荒げてしまった
にしても年頃で可憐な女の子を裸で森林のど真ん中に放り投げるとは随分と狂かれた神だな、狂かれ神と呼ぼう。まぁー生き返らせてもらった恩があるから声を大にして言えないがな
ついさっき叫んだことを既に忘れている亜薫里であった
「隠密、」
体が透け始める亜薫里、後ろの背景を投影し、内攻を薄く広げているのだ。こうすることで相手のパッシブスキャナーでは感知されにくい。だがアクティブスキャンナーでは容易にばれてしまうため注意をしなくてはいけない。ただそれは前の世界での話であるためこの世界でも通用するか依然不明である
狂かれ神でも村のど真ん中に転送しなかったあたり気に掛けてくれていると思う。けれどそれだと村の位置が分からねぇぇぇえええかよ!
止まっていても仕方ない、とりあえず動くか…
近くに落ちている棒を拾う
子供の様にはしゃぎながら地面に差す
「さーどっちに倒れる!その動きが私の運命を左右するのよ!」
鼻息を荒げながら叫ぶ、気分はプロレスの実況者!
はたから見たら勝手に棒が動き叫んだように見える恐怖、心霊現象だが周りに興味がない亜薫里にとってはさほど問題ではない
「さーどっちに倒れる!」
「…」
一向に倒れる気配がない棒。深く差しすぎたようだ
「…、そうか、そうか、空だな、空」
何とか対面を保とうとするが、自分の行いを振り返り恥ずかしくなった亜薫里の脳内は真っ白だ!
足に内攻を集結させる
隠密状態にしている意味がなくなってしまった…
力を抜く
制御されていない内攻が爆発し亜薫里を空へ導く
舞い上がる亜薫里、暴風が森を揺らす
溢れる内攻は生物を怯えあがらせる
強者の存在を確認し防衛を固める村人、警戒する犬とよくわからん大人
村人に防衛意思を持たせた時点でこの依頼の達成率は80%を超えていることに亜薫里は気が付いていない
木を超える高さまで舞い上がる
「わぁーきれー」
最も近い恒星(地球で言う太陽)がちょうど山の峰に沈もうとしていた
これだけでも使徒になった意味があったよ…
峰ちょい下にある村らしきものがまたいい味を出しているんだよねー
細かく感想を考えることで脳内に焼き付けようとする
ん?村?…あ!目標発見!
背中から折りたたまれた蝙蝠のような羽が生えてくる
バサ
展開
一気に花開く羽
空気を掴み落下速度を軽減する
尻に内攻を集結させ噴出
推進力を得て生き生きと前進する亜薫里
羽を使い姿勢を安定させていく
姿が見えないはずだから羽を外しちゃっても問題ないよね!もちのろんだけど物理的じゃないからねー
誰に話しているのだか…
体中から内攻を噴射してアクロバット飛行を始める
ぐるぐる縦回転!そしてー急停止!
エアブレーキもどきが背中の羽の付け根から生えてきて急停止
縦横無人に飛び回っていたら日が暮れてしまった
「んーっしょと」
空中で無事なホバリングをキメながらのびをする
「さすがに遊びすぎたなー、残存魔力は残り10%といったところかなー。この状態じゃなにもできなぃふわぁぁぁー」
欠伸が出てしまった。もう夜も遅いし良い子は寝る時間だ。うっし、内攻回復がてらに寝るかー、おやすみぃー
ふらふら空中で飛びながら意識は暗闇に落ちていく
~
パッシブスキャナーが血の匂いを感知する
急速に浮上する意識
眠気は退場しました!
これを考えている時点で寝ぼけてるじゃん私
気が付いたら村の近くまで飛んでいたようだ
村に盗賊と思われる人々20人ほど、多分これが神様が言っていたよぉおわからん人なのだろう。あれ?呼び名がちょっと違う気がする…まいっか。で4mぐらいのでかい角つきワンちゃん、犬というより狼では?が10匹程が村を襲おうとしている。ファイト!がんばれーおやすみー。我は眠いのじゃ、こんなペット程度に後れを取るっていうなら介入してあげるからがんばれー
ふらふらと森の中に落ちていく
寝息が森の中を木霊する
◇◆◇◆~夕方~
「お頭、近くに村がある様です」
「最近物資が足りなくなってきたから買いに行くか、100%OFFで!」
「分かりました、ではこちらの資料を見てください。村周辺の地形についてです」
「ふむ、山の峰のちょい下にあるのか。んで耕作より放牧がメインな村かー、久しぶりに腹いっぱい肉が食えるなー。武装面では?」
「やはり魔物が近くに生息しているためか魔法、近接ともに優れているでしょう。さらに仕留めた魔物売ることで装備も万全でしょう」
「ふむ、今回は楽しめそうだな、」
「ええ、楽しみで楽しみで我が右腕が疼くぜ!」
「うん、完全にキャラ崩壊」
「何か言いましたか?」
「ああ、皆に伝えろとな、」
体を硬直させるあの覇気、村からではないが只者がいるのは確かだ。介入してくるか分からないが注意するのは無料だからな
「承りました」
「時は本日深夜!」
◇◆◇◆
「アリ野郎に住処を追われ早2日、皆空腹に耐えています!どうか英裁を!」
「そうか、すでに2日たったのか…だが安心しろ、近くに人の集落があるはずだ…」
集落だけではないようだがな、あの高魔力体、魔族でもいるのか?
荒い息と共に足音が近づいてくる
「親父!詳しい座標が分かりました!2時の方向5㎞先です!」
「よくやった、今宵あの月が登るとき、それは我らの腹が満たされる時だ!」
「ウヲォォォオオオオオォォォオオオオ!」
「ヲォォォオオオオォォォ!」「ヲオオオオぉ「ヲォォォオオオォォォ!」
気が付かれない様に小さくでも覇気を含んだ遠吠えが鳴り響く
ブックマーク、評価おねがいしやんす(o*。_。)oペコッ