第二話 紅の救済者
世界は暗転している。
それはどこか宇宙にも似て、私にとっては居心地のいい。
煌めきある世界だった。
私の体全てが星のように流れる。
なるほど。
私は今肉体の軛から解き放たれているのだ。
いわゆる魂という存在なのだなと。
「って回想している場合ではないな」
黒髪の目元まで伸ばした長身の男はそう呟く。
身長は190センチ
体重は85キロ。
見た目からして細身ではあるがどことなく筋肉量がすごい。
「書いてる作者は頭悪いのか」
メタな事は言わないでください。
「まあいい、とりあえず俺は死んだのは確定だろうし」
そう言うとさっきの宇宙空間を思い出しながらその男鈴村浩二は
目の前の空間を見ていた。
「白い空間ねえ、孤児院のガキ共が見てた、ライトノベルの展開なら」
「そう、転生の間だねえ」
空間に響くのんびりとした声に浩二は振り向く。
「うわ、普通にお爺さんじゃん」
目の前にいるのはものすごいなんか白い髭を蓄えた神様としか思えないお爺さんがいた。
「作者、文章は壊れてる」
メタな発言はやめてください。
「とりあえず作者だどうのはおいといて、鈴村浩二君、稀有な魂を持つ善なる者よ、君は死んだ」
「そうでしょうね、なんだかんだ、あの感触を覚えている」
鈴村浩二はキリストを信仰しているわけではないがキリスト系の修道女が経営する孤児院に勤めていた。
鈴村浩二も元は孤児の一人でその孤児院で幼少期を過ごし20歳の頃からその場所で孤児院をしていた。彼は誰にも優しく誰にでも親切であった。
生まれつきの特異な紅い瞳も彼自身の性格や周囲の信頼によって受け入れられていた。
だがある日彼自身が命を落としてしまう、それは刑務所を脱走した凶悪犯が現れ、浩二と相対した際に隠し持っていたナイフで刺されながらも警察が来るまで奮闘したせいで。
「あっという間に警察がきて死ぬ直前に捕まったからいいけど、俺は死んじまったな」
浩二は肩を竦めてやれやれとため息をつく。
「でも後悔はしてないんだろう?」
「そうだね、俺は35年も生きたしガキども達が生きてりゃそれでいいよ」
「ふむ、欲がないねえ」
目の前の老人はにこりと笑う。
「さて、わし神なんじゃけども」
「見てたらわかる」
「いいね、シンプルで」
神と名乗った老人はにこやかに微笑む。
「鈴村浩二君、君の前世となる人生では救い続ける人生をしていた、本来ならば君の運命は死ではなかった」
「どういう事だ?」
「君は世界に選ばれた、使命ではなく選択する者として」
「…選ばれた?」
神は穏やかに微笑む。
「久しく見ぬ「紅の救済者」よ、おめでとう、君の願いはこれから叶う、君の行く世界は剣と魔法の世界イシュタリア、多くの力無き者が救済を願う世界」
「…」
「君の願いは救う事、されど人の身では望めない事を知っている」
「…」
「君は善悪を越え倫理すら砕く者、紅き瞳は超越者の証、魂の輪廻から解き放たれし紅の王の意志」
「…」
「君はこれから知る、受け継いだ紅の意志を、そして数多の王と出会う事で君は君自身を知る」
「・・・なんか俺重要な存在っぽい?」
「…イシュタリアではね、君はこれから知るよ、それに本来君の魂はイシュタリアにいくはずだった」
「それがどうして?」
「さあ、それは私にもわからない、だが、かえってよかったのかもしれないね、君は地球の知識を得ている、これから向かう世界は中世ヨーロッパに近い文化形態だ、よって近代化の知識は武器になる」
「という事はモンスターやら魔王とかもいるわけか」
「御名答、まあ知識や生き抜くスキルはこちらから与えるから是非とも育ててくれたまえ、君の頭の中から欲しがる者をセレクトしてある」
「それはありがたいね、で「紅の救済者」とはなんだ?」
「それは君自身が一番知っている」
「殺されたと思ったら色々と話しが続いてばかりだ」
「なあに、転生したら君がしたいようにすればいいだけさ」
神と名乗る老人はクスクス笑う。
「さて、まあ拒否も出来るわけだが?」
「するように見えるか?」
「よろしい、では送ろう、君に私の祝福を、君は神に愛されている、神殿をまわるといい、コンタクトをとってくれるだろう」
「よくわからないが了承した」
「鈴村浩二…、異世界風に言うならコウジ=スズムラか、行きなさい、あなたの心のまま、万難を排し、世界を変えうる救済者よ、魔王にも王にもなりうる資質を持つ者よ、私の加護を持ちイシュタリアに権限せよ!」
紅い光と共にコウジに姿が消える。
「紅の救済者…聖魔の魂持つ者よ、頼んだぞ」
神と名乗る老人はそう呟くと天を見上げた。
「…色々と重要な話をされたが全く頭に入らないな」
コウジは森林を見ながらため息をつく。
「とりあえず知識は頭に入れてくれたみたいだからな、確認するか、ステータスオープン」
コウジに目の前に透明のウインドウが現れる。
レベル1
コウジ=スズムラ
35歳
男
HP1000
MP950
力500
体力200
知力300
かしこさ1000
魅力950
すばやさ1000
器用さ3000
幸運9000
スキル
鍛冶レベル1
鑑定レベル1
我流拳術レベル1
料理レベル5
自動回復レベル3
状態異常無効
魔術レベル1
アイテムバックレベル1
紅の王術レベル1
加護
創造神の加護(経験値1000倍)
紅の王の加護(????)
鍛冶神の加護(鍛冶成功率上昇)
生産神の加護(生産成功率上昇)
「…しょっぱなからステータスすごすぎない?一応加護は隠蔽したほうがいいか、隠ぺいは出来るらしいからな」
コウジはまたため息をつき空を見上げる。
「雲一つない青空に昼でも見える二つの月ね、こら異世界だわ」
空には巨大な月二つが煌々と昼間にも関わらずに煌めいていた。