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作者: Chuya

 「このボタンを押せば人生をやり直すことができる。お前は押すか?」


食事やらメニューが置いてあるファミレスのテーブルに異様な雰囲気を醸し出すボタンが置かれた。

目の前には自分と同じような背の男が座っている。


「押したら赤ん坊になってまた一からやり直すということか?


僕は現実味のある質問をしている自分に驚いた。まさか押すつもりなのか?

自分の人生。特に良いことも悪いことも無くただ時間だけが流れていったように思える。その退屈さは平和の証としてみるべきか、ただつまらないものと片付けるべきかはまだ決まっていない。けれどもしやり直せるとしたら色々やってみたいことはある。


「それは分からない。ただ聞くところによると押した人間の最も幸せだった頃に戻るらしいんだ。お前が赤ん坊の頃をよく思っていたのならその時期に戻る可能性が高いってことだ。」


最も幸せだった頃。自分にとってそれはいつだろう。ただ宿題だけをやるだけだった小学生の頃か?いや、部活や恋愛に本気なれた中学生の頃か?それとも将来の夢が叶う兆しが見えた高校生の頃かもしれない。はたまた飛んで就職を両親に告げた十年前のあの日かもしれない。どの時期にも幸せはあったし、不幸もあった。ゲームの評価みたくアルファベットでランク付けなんて到底できないだろう。そのどうしようもない日常の積み重ねが今の自分を作っていて、あらゆる選択が今のこの葛藤を生んでいて、それに不満がないということは自分は不幸ではないということだろう。


「押さないことにするよ。特に良い思い出あったわけでも悪かったわけでもない。でもその平穏な日常こそが幸福なんじゃないかと思うことができた。だからそのボタンはしまってくれ。」


 すると目の前に居た男は姿を消し、僕の前には久しぶりに会う友人が居た。友人は大きなメニュー表を眺めながら


「決まったら先に押していいぞ。そのボタン。」


と言った。

僕は目の前にある見事にファミレスの空気に馴染んでいるボタンを押した。一瞬、時間が飛んだ気がした。

最後まで読んでくださってありがとございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませて頂きました。 考えさせられる話だなと思いました。
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