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アナザーレイド  作者: 好日日和
死の運命編
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戻った時間

「えっと、じゃあシロマちゃん。まず教えて欲しいんだけど、私は事故にあって死にそうだったんだよね?」




「はい、メイ様は西暦2018年6月20日の午前7時8分に外部からの高エネルギーによって生命維持活動が維持できない状態となりました」



「やっぱり死にかけていたんだ…。でもどうして今私は自分の部屋にいるの?傷とか痛みとかもないんだけど」




「それは、創造主メディテイカム様より付与された能力「時間逆行」の使用により、メイ様の記憶以外は全て西暦2018年6月13日の午後8時32分に戻りました。ですので、メイ様の身体はその時と同様になっております」



 …「時間逆行」?

 …今は6月13日??



 バッとスマホの画面をみる。確かに2018年6月13日と表示がある。


 友達とのメールのやり取りも一週間前のものだったし、自分がよく撮影しているスマホの写真も一週間前のものが最新で6月14日以降の写真は一枚もない。




「メイ〜、早くお風呂入りなさい。明日からまた仕事なんでしょう」


 一階から母の声が聞こえてきた。



 私は母の声に安心感を覚えながらも、一週間前に同じ会話のやり取りをしたことを思い出す。



「はーい!きりのいいとろで入るから!」


 私は自然と、そう答えていた。




 私は事故に遭う一週間前、ちょうど日記を書いていた。


 看護師として働き始めてまだ3年目の私は、仕事のなかで感じたことや辛かったことを日記にして残している。




 私が言った「きりのいいとろ」とは日記を書き終えた時点のことを言っている。




「シロマちゃん、今は本当に事故に遭う一週間前なの?」


「はい、間違いなく西暦2018年6月13日でございます」


「そうなんだ…」




 確かに一週間前なら。身体はピンピンしているし、もちろん事故になんてあっていない。



 お母さんもお父さんも弟もいて、私が死ぬなんて思いもせず普段通りの生活を送っているのだろう。





「よかった…本当によかった…」



 目頭と鼻が熱くなり、ぽろぽろと涙が溢れる。



 事故に遭わずに命が危険に晒されている状況でないこと。


 家族と離れずに済んだこと。


 大切な家族を悲しませずに済んだこと。




 色々な想いが込み上げてきて、私は泣くことを止められなかった。

ご感想頂きありがとうございます。

この物語を読んでくださる方がいることに、本当に嬉しく思っております。

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