シロマちゃん
メイ視点です
…
あれ?私の部屋だ…
車がぶつかってきて、病院で治療してもらって…
そうだ!そこで私もう死んじゃうと思ってたんだ!
すごい痛かったし、お母さん達も泣いて…
そういえばお母さん達はどうしてるんだろ。まだ病院なのかな。
ていうかなんで傷とかないの!?
どうやって部屋まで戻ってきたの?
お父さんが運んでくれたのかな…
でも今普通に椅子に座ってるし、スマホも持ってるし…
-ポポン-
スマホにメールが届いた。
『from メディテイカム』
えっと、、確かこの名前はさっき声かけてきた男の人だ!
なんか自分のこと創造主とか言ってたけど…
『や!メイ君。気が付いたかな?お望み通り生き返らせてあげたよ〜。まぁ正確には、君にあげたスキルが発動したんだけどね。
なんにせよ、僕は君を死から救った。契約通り実験台になってもららうよ〜。ま、実験といっても変な薬を飲ませたり、身体を刻んだりとかそんなことじゃないから安心してね!
詳しいことは添付したファイルに聞いてみてね!
じゃ、僕も忙しいからこの辺で』
なんかほぼ初対面なのに妙にフランクというか、軽いというか…
なんにせよ、やっぱり私は死にかけていたんだ。
で、能力で生き返ったと。
この〈スキル〉ってなんだろう。『詳しくはこのファイルに聞いてね』ってあったけど、『聞いてね』ってどういうこと?
とりあえず添付ファイル開けてみよう。
【ファイルを展開しますか?】
→【はい】
スマホの画面が急に真っ白になってしまった。まさかウイルス仕込まれてただけ?え、どうしよ。私このスマホ気に入ってたのに…
とか考えてたら、画面から白い球体がスッと出てきて目の前で浮かんだ。
「なに、これ…。…立体映像とかじゃないよね?」
白い球体は毬藻みたいにフワフワした毛で覆われていて、球体からはもう一個小さい白マリモが生えている。尻尾みたいだ。
好奇心で触っていたらマリモから音が出た!
「$○44=%<☆|\...•*8#<,,
Hello!..m? this not..
..
こんにちは!この度は『全多重世界知識技能支援協会』をご利用頂きありがとうございます!」
うわ!びっくりした!
白マリモは言語の調整(?)をしたようで、流暢な日本語でそう語りかけてきた。
「どの項目からご説明致しましょう。まずは『全多重世界知識技能支援協会』設立にあたって』でしょうか?それとも『協会長からのご挨拶』になさいますか?それとも…」
矢継ぎ早に白マリモが喋りだす。
「ごめんなさい、ちょっと色々分からないことがあるので、私が聞きたいことからでいいですか…?」
本当に訳がわからないので、その全なんちゃら協会のことよりも、聞きたいことはいっぱいある。
「おっと、失礼致しました。では、どの項目についてご説明致しましょう?」
「まず、あなた…といっても正直なところ白いマリモにしか見えないのですが、あなたは何なのですか?」
「自己紹介が遅れまして申し訳ございません。私、『全多重世界知識技能支援協会』の特別選別者支援員でございます」
うん、何のことだかさっぱりわからない。
「えっと、あなたに名前はありますか?その…全なんちゃらというものが分からないので、あなたのことをまず教えて下さい」
「私達、特別選別者支援員に個別の識別子は与えられておりません。メイ様が頭の中で念じるだけでも質疑応答が可能です」
「じゃあなんで呼んでも良いんですか?」
「もちろん可能でございます。メイ様が私めを認識できることが重要ですので」
白マリモには名前がないらしい。
じゃあ勝手に名付けちゃおうかな。
白い…マリモ…フワフワ……
「シロマちゃん…」
「かしこまりました。これからはシロマとお呼び下さい。私はメイ様の専属ですので、いつでもお呼び下さい。可能な限りお応え致します」
人間のように顔とかはないけど、見た目が可愛らしい姿に色々と呟いていたら安直な名前になってしまった…
ちょっと恥ずかしい…