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健路くんの非日常~囚われし巫女編  作者: ネムのろ
三章 父から子へ(丸投げ)
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第十九話 霊刀の天才の京助と、ドベだった真

「と、まぁ…これが真実だ…」

 真が話し終わる頃には、皆は静かにお茶を啜っていた。

「そんなことが…」

 一番にしんみりと呟いたのは京助だった。

「でもさ、結局京さんって親父とどんな関係性なのか語られなかったんだけど?」

 と健路が言えば、また言葉を詰まらせる真。

「言いにくいのなら、私から話そう」

「…最初からそうしろよ……」

「ケンくんの意思を尊重したかったんだよ」

 いいながらニッコリ笑う京助。

「私は長南一家から直に真に会いにきたんだ。真とは兄弟だよ」

「「「え」」」

 その場の空気が凍った気がした。

「「「えええぇぇぇえええええ?!」」」

 そして次に劈くような声がその場に響き渡ったのを、耳を塞いで鬱陶しそうにしたのは真だけで。

「兄貴なんだよ俺の」

 という真の爆弾投下に、その場の皆は驚きすぎて動けなくなってしまったのだった。

「似てない!」

「おいコラなんだって健路?」

「京さんのほうが格好いいのはなんで?」

「そ、そりゃ、兄貴のほうが威風堂々してて格好いいのは俺も認めるが…」

 シュンとしながら、そう言った真を見ながら、シュウは苦笑した。

「認めちゃうんだ…」

「昔っからイラついて喧嘩してよ。一度も勝てたことがなかったな」

「バカみたいに一直線に突進してくるのが悪いんだよ。まぁ、もっと頭使うようになってからは、そんなバカな真似やめたらしいけど」

「やっべぇマジで尊敬するよ京兄さん!」

「健路?! そのキラキラの目はなんだ?! そしてその呼び方は?!」

「えへへ…照れるなぁ…」

「俺に剣術教えてくださいっ!」

「健路ぃぃいい?!」

 子供の尊敬の眼差しが兄貴へ向けられてる件について。

「うん! 喜んで!!」

 会話が弾む二人を真は見ながら、とても寂しそうに己の席に座り、ゆっくりとお茶を飲んだ真は…

「わーん! ともえぇぇええ!! バカ兄貴がいじめるぅぅうう!!」

「「「えええええ?!」」」

 妻に泣きついたのだった…。


「そういえば…お前はいつ出て行くんだ天狐」

 真が正気を取り戻し、しばらく友恵の膝枕で泣きついて、頭をよーしよーしとなでてもらった後、満足したのか充電したのか、キリッと切り替えながら通常運転で接してきた。

「ん? 出て行くわけがないだろう」

「何でだ」

「主と契約したのでな」

「「「はぁ?!」」」

「お前の主…? だ、誰だよ…流れ者のお前が懐くなんて…相当めずらしいぞ」

 白雷がそっと指を指すその方向には。

「け、けけけんじぃぃいいい?!」

 真の驚きの声とともに、えええええ?! と他三人も驚愕している。どうやら彼らも知らなかったみたいだ。

「いつの間に?!」

 ナオがそう聞くと、健路は、え…と戸惑いながらも説明してくる。

「あの呪縛から解き放つためには契約するのが手っ取り早いって…」

「お前なぁ…それちょっと騙されてねーか?」

 ナオが呆れたようにそう言うと、真がため息をついた。

「まぁ、違わないが…」

「違わないんだね…」

 軽くため息をしたシュウ。呆れながらもやはり健路はとんでもない大物になるのかもしれないと、ちょっぴり期待も持った。

「渡り神までも手懐けるか…」

「さすがは俺と友恵の息子だなぁ…」

「よかったな真! そこの部分はお前に似なくて!」

「うるっさいぞ京助! 健路はどっちかと言うと友恵に似たんだよ」

 きょとんとした顔で、京助は首をかしげた。

「友恵?」

「紹介したことあるだろ。俺の奥さん」

 しかし京助はまだ何を言っているのか分からないらしく。

「おいおい。ボケが始まるのは早いぞ。なんだよ…物忘れなんてらしくないな。」

 冗談はやめろよ。というように軽く笑いながら真は話す。がしかし…。

「心当たりがまったくないんだが…」

「はぁ? 他の家族には話さなかったが、お前にはちゃんと引越し先の住所も、友恵のことも、あとたしか生まれたばっかりの健路と優斗の写真送ったはずだぞ?」

 しかし、京助はいきなり頭を抱え、苦しみだした。

「おいおい、どうしちまったよ兄貴…」

 さすがの真も動揺し始めて、京助のほうへ移動し、肩に手を置く。

「…ん?」

 そこで、真が何かに気がついた。違和感。何処となく感じていた違和感が、増したのだ。何かを探るように、真は静かに目を閉じる。

 そして、ゆっくりと目を開けると、その青緑色の瞳が淡く輝く。真の黒いストレートの髪がふわりと重力に逆らって動き始めた。

 再び真が目を閉じて、あければ、普段どおり元に戻っている。しかし彼の眼差しは鋭く、まるで京助を睨んでいるようだった。

「お前…いつからの記憶がないんだ?」

 突然の質問に戸惑いながら、京助はえーっとと考え込む。

「記憶がぼんやりしてて…そういえば本家のほうで寝込んでいて…気がついたら」

 ハッと京助が目を見開いた。

「そう…いつの間にか私は、彼らの学校の前にいたんだ…」

「おいおい…まさか京助…お前…」

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