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火のハンマー使い  作者: のびたま
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7話 初めてのクエスト

初めてのクエストでワクワクしながら挑んだカルファ達を迎えたのは……


真ん中で折れ曲がった街灯が点滅している、静かな暗闇だった。


「ここ……は?」

ククルが絶句している。

「───なんだよこれ……」

訳が分からない……


ハナさんに聞いていたアールモリータウンは巨大洞窟に作られている街という印象だと言っていた。


天井はかなり高く所々で柱で広く支えられていて、整備された道は端に街灯が等間隔で置かれているらしく、それだけだと夜の街みたいで地面が見えないため、コンクリートで固められた地に光が埋め込まれている。……らしかったのだが。


とにかく暗い……それだけならまだいいのだが、多分かなりやばい。


全く先が見えない……真っ暗な洞窟に放り出されたようで……


どうなっているのか分からないのはかなりの恐怖だ、訳が分からず頭が真っ白になっていくのを感じて。

「とにかく歩こう……」

ここで止まってもしょうがないし、止まっていると先の暗闇で足がすくみそうで……考えずにとにかく前に進むことを選んだ。

「うん……」

ククルも事の重大さが分かるようで周りを見渡しながら頷く。



とにかく光を求めて歩き出し始めた。

カルファ達は光を照らせる物が何も無いため、ゆっくりと慎重に前に進む。

幸い最初にいた所は街灯が点滅しているため、方向さえ合っていれば戻ることは可能だ。

迷子にだけはならないだろう……多分。


最初は暗く、周りが見えなかったが目が慣れてきたのか見えるようになってきた。


そして……見えてくれば見えてくるほどこの街の悲惨さが見て取れた。


コンクリートで整備された道は地割れていて、たまに見えていた光は、地面に埋め込まれたガラスの照明が地割れ等で押し潰されて砕けた破片が小さく光っている。

そしてだんだん小さくなり消えていく……

柱で支えられている洞窟だがその柱は10本見てきて4本しか機能していなかった。


そのためさっきから地震が度々起きている。

「また地震……さっきより大きいな……」

崩れるんじゃないのか?


ゆっくりと慎重に歩いていたが次の瞬間……


「グオオォオォオォォォオオオオ!!」

辺り一面に声が響く。

「ひゃあ!」

ククルは尻もちを付き慌てて辺りを見渡している。

「静かに──!」

絶対にこれはやばい……

何処かに声の主がいる、モンスターだろうか……人の声には聞こえなかった。

洞窟内で音が反射し、全体的に聞こえたため音の発信源の方向が分からない……

暗いため無闇に動いて敵に姿を晒すことは避けたい。

「一旦何処か物陰に隠れよう」

ククルも同意して、慎重に足を進めて近場の物陰に隠れる。


そこで……


1人の青年と目が合った。

「───っ!」

「───うっ!」


時間が止まった……


「グオオオオオォォォオオオ!!」


ビクッと3人ともすると、少しだが落ち着いて考えれる余裕を得た。


洞窟と言ってもここは街なはずだ、それなら

「生き残り……なのか」

悲惨な街での生き残りの考えがよぎる。

「そういう貴方はもしかして……」


目を見開いた青年はカルファの手を取り小さく

「冒険者様なのですか!?」

会えた事を喜ぶような青年の顔にカルファは少し戸惑った。


「──そういう君は?」

カルファ達に取っては生き残りとはいえ見知らぬ誰かである、そう言うと青年は


「はい!私、ここで鉱山案内人を請け負っています!『アラガキ』と申します」

青年……アラガキが言った。


鉱山案内人と言うことは彼はここの事を知っている、今のカルファ達にはここまで有難い存在はない。


「そうか……案内人、俺はカルファだ、んでこっちは」

「──ククルです」

「カルファさんとククルさんですね、ようこそ!アールモリータウンの第3市街地へ!」

そう満面の笑みで言うと「はっ」と気づいたように……

「とりあえず移動しましょう……こちらに来てください」

そう言うと彼は道路整備のされていないひび割れた地面を飛び越し、手を招く。

「あ……あぁ」

とにかくついて行くしかない、どうなっているのか確かめる為にも。

そう思い、ひび割れた地面を慎重に進み、アラガキについて行った。



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