6話 「内緒って……」
「内緒って……」
追いかけてどういう事かと聞こうとすると
「カルファさん!ククルちゃん!こっちです」
ハナさんが手を振っている
人が沢山いるからなのか、ハナさんが小さいのか分からないけど、凄い見えない。
成長しないなんて大変だな……
「声しか聞こえないけど、クエストの紙があった所か」
「うん……いこっか」
なんか聞いて欲しくないような顔だったし、今後一緒に過ごしていくなら分かるか……
【カルファ】Lv.1
ハンマー
再び貰ったカードを見るが書いてあるのはこれだけだ、何か書かれてたのかな?
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「どんな感じぃ?」
見るからにひ弱そうな青年がギルド内を見渡している。
いつもより明らかに違う空気に対して問を投げかける。
問を投げかけられたのは冒険者の1人であるタンクトップ姿の男。
「あぁアキか、久しぶりに新人が来たんだよ」
アキと呼ばれるひ弱な男は……
「ふぅんそーなんだぁー」
ニヤニヤしながら答える。
「なんだよ知ってんのか?」
タンクトップの男は眉をひそめて首を傾げる。
「彼らは俺達が連れてきたんだ」
「まーた大将言っちゃうのかよ、もうちょっと引っ張ろうぜ!結構いい事したんだし!」
「連れてきただけだ」
「ガルド……お前その格好……」
ガルドと呼ばれたのは小さい女の子だった、ハナとの見た目年齢はさほど変わっていないが黒髪のロングに後ろで髪をひとつに縛っている、目つきは少しキツく真面目な少女の印象を受ける。
「あぁ……気に入っているんだ」
「…………」
タンクトップの男はため息をついて
「お前がそうしたいならそれでいい……だがあんまり思い詰めるなよ」
それだけ言ってタンクトップの男は扉の列に並んだ。
しばらくガルドは動かなかったが、ザワザワした空気がいつもの空気に戻っていくのを感じて。
「………行くぞ」
「………そっすねぇ」
そう言ってクエストの方へ歩き出していく。
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クエストの紙を持ったカルファ達は扉の列に並ぶ。
かなり並んでいて時間がかかりそうだ。
「じゃあ君たちはそれでいいんだね?」
「あっはい」
【クエスト】Lv.1~
武器屋の街 アールモリータウン
鉱石モンスターの住処 アルマイト鉱山
【内容】
洞窟探索による鉱石モンスターの討伐
【鉱石の報酬の割り当て】
「通常」
1個 50銅貨
「アルマイト鉱石」
1個 80銅貨
「ドグライドアルマイトの魂」
1個 5銀貨
など…………
【必要なもの】
必要なものは特にありません。
武器はこちらで貸し出しをします。
初心者向け!報酬で武器を買い取る事も出来ます!
討伐モンスターの情報や、案内は専門に人員を配布します。
【!アルバイト募集中!】
Lv.15以上の熱意と根性があるもの、
冷静に周りを見える人、地図を読める人を募集中!
と、書いてあるクエストを選んだ。
「Lv.1~」というのはカードに書いてあるレベルで、挑戦できるレベルにならないと紙がクエストの貼ってある所から剥がれない仕組みになっている。
カルファとククルがハナさんと話す前はカードを貰っていないためLv.0なのでどのクエストの紙も剥がれないとハナさんに教わった。
「まずは武器がないとなって思って」
カードにハンマーって書いてあるから、とにかくハンマーが欲しい。
武器の街ならハンマーが売っているはずだ。
「私は杖もう持ってるから、カルファのハンマーを手に入れるために頑張るよ!まぁお金ないのもあるけどね」
頬を小さく掻いて俯きながら笑う。
「そう言えばククルは武器……というか杖を持ってるのか……どんなやつなんだ?」
ククルが今まで肌身離さず持っている杖
見た目は白と赤で構成されていて、杖の中央には上下に両手で持ちやすいように窪みが付いている。
杖で持つ所は全体的に白、杖の先端は少し丸くなっているがそこが赤くなっている
「うーん分かんないけど……魔法の杖なんじゃないかな?」
ククルが持っている杖を前に掲げる。
「それって最初から持ってたものなんですか?」
ハナさんが杖に目を向ける。
「あー確か持ってたよな最初にいた時からめっちゃ肌身離さずに……」
「そうだね、もしかして持ってる人と持っていない人がいるんですか?」
ハナはうんうんと頷きながら。
「そうだね、最初から武器を持っているって言うならガルド以来かもね、でも物を持っている人は結構いるよ」
ハナさんの話を聞いて分かったことは、最初から物を持っている人はそれなりにいるということ。
例えば、ハナさんもその1人であるらしい。
「ギルド長の鍵」ギルド長だけが持つ鍵、【特別クエスト】と呼ばれるものはレベルの達成とは別にギルド長の許可で鍵を使用して挑むクエストだ。
その特別クエストにカルファ達が挑むのはもう少し先の話になる。
「ガルドはその中で唯一無二の最初に武器を持っていた人でね、この街が結構いい暮らし出来るのは彼のおかげでもあるんだよ」
「ガルドさん……ですか」
ハナさんはふふっと笑うと。
「この街の英雄だからね、君たちが強くなったらその内会えるよ」
続けて……
「武器もあるけど物を最初に持っている人は結構有名な人が多いから、ククルちゃんもその内英雄って呼ばれるのかもね」
「そうだといいですね」
じゃあハンマーなのに持っていない俺雑魚なのでは?
そんな疑問が頭によぎったが言う前に行列は進み、遂に目の前まで来たようだった。
「やっと来たみたいだね」
前を向くと扉が目の前にある。
行列で見えなかった扉はドアノブがあり、上の方に紙を入れる窪みがある。
「ここに入れるのか……」
「それじゃあ私もここで、クエスト頑張ってね!」
そう言ってハナさんは列から抜けていった。
結局何も分からないままなのだったが。
「まぁしょうがないか……行こう」
「うん!」
紙を窪みに入れると紙が吸い込まれていく。
ドアノブが光がかっているのを肌で感じつつ、ドアノブを回した。