3話 「………え?」
「………えっ?」
ザワザワ……
俺を取り囲む見知らぬ人達は10人位だったがなんとも異様な光景だった。
まず俺達は緑の丘に居たはずだ。
それなのに俺が今見ているのは木造の建物や石で出来た地面……辺りを見渡すと噴水やらベンチが置いてある、まるで公園の様な景色だ。
その中央にカルファと腕半分、足半分見えているククルを中心に10人程の人らが上から見て円状に立っている状態だ。
子供やその母親に、老人らが主にいる……
「ええっと……ここは?」聞いた……
そうすると取り囲んでいる中の1人の老人が他よりも前に出てくる。
「きゃっ!?」
ククルが境目まで全身を出すと、尻もちをついた。
ククルを起こしながら老人を見た。
そうすると老人は顔だけこちらを見ながら後ろを向いて、手を招いた。
ついてこいという意味だと取って、ククルと共に老人について行った。
辺りを見渡すと、さっきまでいた緑の丘とはまるで違う、丘からは街なんて見えなかったはずなのに俺達は
「ねぇ……ここどこなんだろう……」
ククルは辺りを見渡して怯えながらカルファに問いかける。
「ここはね!街だよー」
突然前にいた老人が話しかけてくる。
なんとも楽しげな声は老人の声だったのか疑う程だったが……
「えっと……街ですか」
「うんそうそう、でもねぇ?ただの街じゃないことは分かってるよね?」
えらく楽しげな口調で言っているが、背中で感じるものはピリピリしていて緊張感を放っている、その様子にかなりの違和感を覚える老人だ。
それでも確かに聞こえた
「ただの街じゃないって……どういうことだ?」
老人が振り向く
「………っ!」
笑顔も何もない、人を睨みつけるような顔はさっきまで楽しげな口調をしていた声とは全く合わない。こえぇ……
「言った通りだよぉここは俺達の街じゃないんだなぁ」
相変わらず顔は怖い
「俺達の街じゃない?どういうことだ?」
「君さっきから言ったこと返してるたけじゃんねぇーそれくらい考えてご覧よぉ」
口調は楽しそうで威圧感ないのに……顔に威圧感がありすぎ……まるで
「全く別の人が喋ってるみたい……」
ククルと同感だな……バラバラすぎる。
「すまん……気をつけるよ」
老人は前に向き直る。
「べっつにぃー、でもそれだけねぇされるとなんか流されてるみたいでやなんだよねー、人に聞くのはまず自身が少しでも考えてからだよぉって感じかなぁー」
「は……はぁ」
「分かればいいよーこの街に君達どうやって来たの?いや!分かるよぉー緑っぽい丘から瞬間移動みたいな感じで来たでしょー!」
「そう……ですけど分かるんですか?」
老人がまた振り向く。
「あぁ、俺達もみんなそこから来ているからな」さっきの声とは全く別の重い声に聞こえた。
「えっ……」
「あぁ!ダメだよ喋っちゃ!大将は歩いてるだけぇいいんだからさぁ!喋るの俺担当って言ったやん」
全く別の声!?同じ人から?
「2人いるの?」
ククルがそう聞く。
「あぁ!うんそうだよぉバレたくなかったんだけどね……」
「お前が悪い」
「えぇ!?!?今のは大将が悪いっすよー俺何も悪いことしてねぇってんのに!」
「知らん、お前のせいだ」
「あぁはいはい私がわるぅございますよ!くっそぉ!」
この人たち老人の見た目で独り言のように言い合ってるけど、多分二人とも若いのだろう……会話が老人らしくない……いやこれは偏見だろうか。
「それで……みんなそこから来たって……」
それでもこれは返さずにはいられない
「それはここで分かる」
落ち着いた口調は背中の雰囲気とあっている。
そして前を向いた先には他の建物と変わらないがかなり大きい。
「ここ……なんだ」
「とにかく行けば分かる」
止まった老人を追い越してククルが手を振る。
「ここまでありがとうございます!行こっカルファ!」
「あぁ、そうだな」
そうして老人を追い越し
「ありがとうございました」
「行ってらっしゃーい!まったねー!」
そうしてギルドの中まで入っていった。
カルファ達がギルドに入っていくのを確認すると。
「………久しぶりだねぇー俺達もこうやって入っていったんだろうかね?どう思うよ大将」
楽しげな口調、黒いフードを被った猫背の男が老人の横に立っている。
「そうだな」
老人の顔や体型がだんだんと変わり、鎧姿の2メートル近い男へと変わっていく。
「まっ!そこから生きれるかは彼らにかかってるけど俺達が送ったやつなんだから簡単にはくたばって欲しくないわなー」
「あぁ……彼らは強くなるだろう」
「根拠はー?」
「勘だな」
「勘かー当たるといいねぇーそれ」
「あぁ」
フードの男は見送った状態だった、目線を切り大将と呼ぶ青年に向け。
「んじゃまぁ俺達も行きましょっかー」
ぐにゃぐにゃと変形してフードの男はひ弱な青年に……
大将の男は小さな少女に変わった。
「やっぱ慣れねーすわ……大将のその身体……」
ひ弱な青年は気だるけそうに言う
「俺は気に入っている、行くぞ」
女の子の高い声だ姿勢はピシッとしていて、気だるけな青年より30cmは差があるはずなのに少女の方が大きく見える、もちろん錯覚であるが。
そうして2人もギルドの中へと入っていくのだった。