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火のハンマー使い  作者: のびたま
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2話 取り敢えず

取り敢えず少女を起こした。


だが、ここから何をしたらいいかを全く考えてなかったものだから焦る。

少女はうーんと唸りながら目を擦っている。

すまないとは思ったが直ぐに本題を切り出す。


「お前はここがどこだか分かるか?」

「うん?……ここがどこって………ベットに寝てるんでしょ……誰だか知らないけど勝手に部屋に入ってくるなんて不法侵入だよ……」


どうやらまだ寝ぼけているらしい……

また辺りを見渡しても草しかない、ベットどころか部屋という概念を超えて完全フルオープンである、これを部屋というやつは居ないであろう。


「よくよくちゃんと見ろよ!この丘を!部屋どころか家の1件も建ってねぇよ!」

「そんなわけないじゃん……」

そう言うと少女はゆっくりと瞼を持ち上げて現状の場所を見渡して再確認してみた。


「…………」辺りを見渡す少女


何度も言うがあるのは草しか生えていない丘のみである。


「………………………は?」

初見でこれをいきなり見たら大半は「は?」と言うな俺もそうだったし……


「ここはどこなのか分からないか?」

まぁ今の反応で大体察しはついたが一応確認は取るべきだ。


「知らない……何処ここ……夢?」

さっきの俺の反応とほぼ同じだった。

分からないだろう……いきなり丘の上にいるのだから……そうなった原因も自身は覚えていないのだから……

パニックを起こすくらいはしょうがない。

それでも……


「立てるか?まずはここが何処か分からないと始まらない」

腕を伸ばして少女の前に差し出す。

困惑しているがゆっくりと俺の手に伸びて、その手を掴む。

「うん………そうだね……」


取り敢えず色々聞きたいことは多いので少し歩きながら話そうかと言うとすんなり受け入れてくれた。

「取り敢えず名前教えてくれないか?不便だし」


「………ククル……確信はないけれど何となくそう呼ばれてた気がする……」


ククルと呼ばれる少女は両手に杖を持っている、本人は覚えてないらしいけど何故か手放したくないんだそうだ。

「俺の名前は……カルファ、よろしくな」

名前はよく覚えてないけれどいつからか誰かに呼ばれた記憶がある。確信はないけどな。


こうしてカルファとククルはなんの宛もなくバカでかい丘を散策することにした。

辺りを見渡して歩いてみてもやはり何も思い出せないし、見覚えもない。


そのまま探索をしていると……


「カルファ!助けて!何かに挟まっちゃった」

ククルからの声が遠くに聞こえた


「どうした?」

急いで駆け寄ってみると……

ククルの腕が消えていた


「なっ……!?」

正確には右腕だけだったが明らかに消えている、血は出ていない……腕が無くなっている先も丘は確かに続いている。


これは明らかにおかしい

「どうしよう……抜けないよ……助けてカルファ!」

「ククル……痛みはないのか?」

「いっ痛くはないけどどんどん吸い込まれてるんだよ……どうなってるの!?」


杖の先端が無くなった腕と同じ境目で消えているのでこれ以上行くと……

「やばい!」

すぐさまククルの左腕を掴んで引っ張ってもビクともしない……本当に何かに挟まっているようで痛い!痛い!とククリが叫ぶので止めた。

そうしていくうちにもククリは吸い込まれていく……これは無理だと諦める事しか出来なかった。

「くっそ……」

拳を地面に叩きつける

「大丈夫……だい……じょうぶ……だから…………」

涙目になって大丈夫というククルは既に身体半分吸い込まれている状態だった、そのうちククルは消える……それならば……


「あぁ……くそ!そんな顔してんじゃ……!」

消える境目に手を突っ込む。

案の定そこから先の腕は消えてしまった。

「えっ!?カルファ!」

「ねぇよ!」

境目に突っ込んで進んだ、痛みは感じないしククルを1人で消えさせる事なんて出来ない……

これで死んだら洒落になってないよな……

まだ何もしてないのに……こんなところで死ぬなんて真っ平御免だけどさ……

「そんときはそん時だよな!」

そうして顔まで消え、その先でカルファが見たものは……


「………」

ザワザワ

「………えっと」

そこは、緑の丘ではなく。俺を取り囲む人達の姿だった。


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