表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
火のハンマー使い  作者: のびたま
1/24

1話 目が覚める

目が覚める

「……………………」

まず最初に見えたのは緑色の草だった。

青臭い香りに、風で髪が揺れる。

日がふんわりとさしていて心地がいい。

寝ていた体を重い動作で起き上がらせ辺りを見渡す。



そこは、丘だった。



1面緑で木も花も生えていない……


辺りには緑の世界と……


自身の横に横たわるように寝ている少女のみであった。



「…………すぅ」

寝ている……小さな女の子だ……赤い服の女の子……この子には扱えるのか分からないほど大きな杖を掴んでいる。


顔を上げる

「………どこだここ」


見覚えがない……


横にいる少女も……


大体ここはどこだ……


帰らないと……


………帰る?


「……どこに帰るんだ?」


ふと気づく、分からない……ここがどこかも……自分が何者なのかも……


「…………寝るか」

そう言うと二度寝をした。

夢だろうか……夢なら変わった夢だった。

なんで何も思い出せないのだろう……

起きたらきっと元通りになるだろう……


時はたち


日は沈んで、月が登っている。

特になんの変哲もない、黄色い月だ。


「…………」


三度寝と洒落こんだ。


そして時はたち


日が登っている、太陽が眩しい、肌寒くはあるが草のベットは暖かく気持ちがよい。

そうして、気づく。


「……………どこだここ」


ここはどこなんだということに………


*********************


まずは、整理をしよう。


1つ ここはどこだ


2つ 横にいるこいつは誰だ


3つ これらになんにも心当たりもない


「なんだこれ……」

整理するとますます分からなくなってる


「だー!なんだこれ訳分からん!夢じゃないのか?何処だよ!訳わかんねぇよ!」

グルグルと草の上を転げ回る。

草の音も、何もない丘も、横にいる少女も、意味わからん現実も本物だ……夢じゃない。


夢じゃないとすればここはどこだ。

丘?草しかねぇじゃん!

寝てるこいつ以外人いねぇし……

動物いねぇし……

街もなんにもない……


しかも俺はなんにも覚えてない。

自分の名前は?

自分の過去は?

「……これ無理なんじゃ」


ここで死ぬ?こんな意味わからん場所で?

「帰りてぇ……」

そもそも帰る場所すら分かんないじゃん……

俺生きてんのか?なんにもないんだけど。


いや……あるか……

横にいる少女を見やる。

相変わらず寝ている、最初に見たのは多分昨日の昼頃だ……今日までに三度寝をしている俺なんだが、こいつが起きて来たことは1度たりともない、どんだけ長く寝てんだ。


「………おーい起きろー」

とにかくこいつ起こさないと何も始まらない。

何もない丘に唯一いる人だ、何か知ってるかもしれない。

そう思って揺するが起きる気配がしない、死んでんじゃないのか?こいつ

「おい!起きろ!説明しろ!」

「んっ………にゅう……もうちょっと……」

「いやお前もう十分寝てんだろ!1日寝てんだから起きろ!んでこの状況説明しろ!」


ここで引いたらなんにも進まないと、意地でも起こしにかかる。


「うーん………だぁれ?」

ゆっくりと起き上がり少女の目が開いていく。


目が最大まで開かれると、少女の目に色彩が灯る、どうやらこの景色を認識しようとしているらしい……そして

「……夢だった」

そう言い残して寝た……


「すぅ………」

「……………………は?」


寝た………


寝た


寝た?


「なに寝てんだああああああああぁぁぁ」

ガクガクと揺らし少女の口から、おわぁああと変な声が漏れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ