第六話
その夜・・・・・・
いつものように食事をしながら今日一日の報告をする。
そこで、黒柳についてどのように探りを入れていくのか話し合った。
「正直、教師相手に極秘調査するのは初めてよ。ここは私達だけでは出来そうにないわね・・・・・・」
「じゃあどうするんだよ?」
俺たち以外の手を借りるとすれば・・・・・・
「私の出番ですね!」
台所から現れたのは、専属メイド-雪乃。
「ご主人様! 私が黒柳先生について、調べつくしてご覧に入れましょう! 久しぶりに腕がなります!」
凄まじく頼りになる雪乃なのだが、キャラが豹変し過ぎててヤバイ・・・・・・
「朱鷺様のご恩に報いる為、私、頑張ってみますわ」
「お、おう・・・・・・」
「それじゃ雪乃、明日から頼んだわよ」
「承知いたしました!」
専属メイド雪乃の仕事を見るのは初めてだが、何故だか結果は予想できた・・・・・・
*
雪乃が調査を始めてから数日後、この下宿所で初の休日前夜。
「明日から連休ね。せっかくだしどこか行かない?」
「いいな。そういえば、学校の近くに新しい遊園地が出来たらしいぞ」
「いいわね! 遊園地なんて何年ぶりかしら・・・・・・」
二人はすっかり同居者としての交流も深め、学校にいるときも常に共に行動しているような関係になっていた。
時々、「付き合ってるんじゃないか」と聞かれることもあるが、二人はそんな関係ではなく、あくまでも同居者としてや「会長と副会長」という関係の下、接しているのだと朱鷺は思っていた。
琴羽はといえば、朱鷺との関係について質問をされると赤面して黙りこくってしまう。
思春期真っ只中の男女が二人で生活するのだ。(雪乃は調査中なので下宿所にいない)意識しない朱鷺がおかしいのかもしれない。否、おかしいのだ。
実質的にそういう関係で無いだけでやっていることといえば同棲となんら変わらないのだ。
そんなことにすら気付かない朱鷺は「デート」ともいえるであろう遊園地の約束を交わしてしまった。
久々の休日を琴羽と過ごすのも悪くないかと、そう風呂の中で思う朱鷺だった。
*
~その頃の琴羽~
朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地朱鷺くんと遊園地・・・・・・
*
当日。
目覚めた朱鷺が見たものは、机に置かれたメッセージカードだった。
~先に行ってます。十時過ぎに遊園地前に来てください。~
そう書かれたカードの字はどこか弾んでいた。
想像以上に朱鷺と遊園地に行くことを楽しみにしている琴羽の気持ちはなんとなくだが朱鷺にも伝わった。
学校の敷地から出ると久しぶりに外の世界の空気を体中で感じた。
魔術結界に覆われていない外の世界の空気はなんとも新鮮で透き通っている。
恐らく一ヶ月ぶりの外出だ。新学期になったことや委員会(生徒会)に所属したこともあり何かと忙しかったここ何週間は外出すらろくに出来ない有様だった。
電車に乗り遊園地近くの駅(と言っても駅から3分ほど歩くが)に向かった。
学校の敷地内ではこれほど多くの人に囲まれることもそうそうない。自分が【特性所有者】になる前の生活では電車なんて月に何回も乗っていたし、都会に行くことも日常茶飯事だった。
電車に揺られ、うとうとした朱鷺は、少しの間仮眠することにした・・・・・・
「桜ノ宮~ 桜ノ宮~。ご乗車ありがとうございました。」
電車のアナウンスで目覚めた朱鷺。
時計の針は十時五分を指している。少し早歩きで駅のホームを出た朱鷺は、数分歩き遊園地の入口付近で琴羽を探す。
つい最近開園したばかりだからか、入り口付近は多くの地とでごった返していた。
「これじゃ何処にいるか、わかんねぇな・・・・・・」
スマホを開き連絡を取ろうとするが、人が密集し過ぎて上手く繋がらない。
正直、面倒くさい。
そもそも、琴羽が先に向かった理由がわからない。
「なんで先に出るんだよ・・・・・・」
一人いらだつ朱鷺。琴羽がどれ程楽しみにしているのかは検討もつかないが、朱鷺としては早くパーク内に入って遊びたいものだ。せっかくの休日だ。有意義に過ごしたい。
故にこんな所で、琴羽を探す為に時間を浪費したくない。
「お~い! 朱鷺くん!」
何処からともなく聞こえる声。
「こっちよ! こっち!」
声の方を向くと、そこには精一杯お洒落をした琴羽の姿があった。
元が良いせいか、怖いぐらい似合っている。隣について歩くのが恐れ多いくらいだ。
「ったく、探したぞ・・・・・・」
「ごめん、ごめん」
琴羽の声がいつもに比べ心なしか震えている気がした。緊張しているのだろうか・・・
「じゃあ、早く入ろうぜ」
「そ、そうね・・・・・・」
絶対に緊張している。
「何でそんなに緊張してるんだ?」
「え? あ、その、私こういうの初めてだから・・・・・・き、気にしないで!」
多少気にはなるが、まぁ、こんなものだろうとそそくさと割り切ってしまう朱鷺。
琴羽の気持ちなんて知る由も無く、いつもの通り接する朱鷺だった。
「けっこう人がいるわね」
「ついこの間、開園したばっかりだからな。最初は何からにする?」
「朱鷺くんが決めてくれる?」
「そうだな・・・・・・」
朱鷺と琴羽の視線が「キャャャャャャ」という叫びが起こっている遊具に向けられる。
「ジェットコースターなんかどうだ?」
「えっ!」
まさかアレに乗るのかという顔をする琴羽。
「どうしたんだ? 遊園地に来たのに絶叫系に乗らないのか?」
「い、いや、私・・・・・・絶叫系、苦手というか・・・・・・」
「関係ない。決めろって言ったのお前だし、俺に態々お前を探させた罰だ」
頑なにジェットコースターに乗りたがらない琴羽を引っ張って連れていく朱鷺。
ジェットコースターの列についた二人。
「ほ、本当に乗るの?」
「当たり前だ」
「し、仕方ないわね・・・・・・」
人気ということもあり、多くの来園者が列に並んでいたが、想像以上に早く順番が回ってきた。
ついに、ジェットコースターに乗り込んだ二人。
安全バーをしっかりと装着し、ランプが転倒するとジェットコースターは静かに発車した。
隣を見ると琴羽が青ざめた顔で安全バーを必死に握っている。
「ね、ねぇ朱鷺くん?」
「なんだ?」
「わ、私、実は高所恐怖症なのよねぇ・・・・・・」
「何故、今それを言う・・・・・・」
言うタイミングが悪いと朱鷺が肩を落とした刹那、ジェットコースターは急降下した。
―結論から言おう。
琴羽も朱鷺も無事だった。
が、しかし、隣の琴羽の絶叫と、その他来園者の悲鳴によって耳が聞こえにくくなった朱鷺。
琴羽は半泣き状態だった。
「し、死ぬかと思ったわ・・・・・・」
「中々だったな・・・・・・」
男子の朱鷺でさえ少々絶叫してしまうジェットコースター。
世界最長らしいが、日本の技術流石だなと思った。
次の遊具は何にするかと相談しながら昼食をとることにした二人。
遊園地のレストランは昼間になると、とてつもなく混むので少し早めに昼食をとる。
「で、何を食うんだ?」
メニューとにらめっこする琴羽を見てホットドックに決め終えた朱鷺は言った。
「うーん・・・・・・ハンバーガーは決まってるんだけど、ポテトを付けるかどうか迷ってるのよね・・・・・・」
「ポテトくらい俺が奢ってやるよ」
300円と少々高めのポテトだがそれくらいならと、朱鷺は思った。
正直、原状楽しんでいるので、琴羽とこれたことの恩返しとして奢ってやることにした。
「ありがとう! 朱鷺くんの優しいところ大好きよ!」
ドキッとしてしまった朱鷺。
(なんだ・・・・・・これ?)
不思議な気持ちになる。
「大好き」の言葉に過剰に反応し過ぎた自分を戒めるため、マスタードを大量にホットドックにかける朱鷺。
「辛ッ!!」
思わず声を上げる。
「だ、大丈夫?」
幸いコーラがあったので、辛さはすぐに収まったが、もう二度とマスタードをホットドックにかけないと誓った朱鷺だった。
「それで、次は何に乗るんだ?」
「アレとかどう?」
そういって琴羽が指差した先には、遊園地といえばどこにでもあるような無難なメリーゴーランドがあった。
メリーゴーランドなんて流行じゃないと思っていた朱鷺だったが、想像以上に人気で列はそこそこ長かった。
そこらの動物園の広場にあったりする物となんら変わりはないはずだが、遊園地となると、また少し違うんだなと思い知った。
列がそこそこ長くても順番が廻ってくるのが早いのがこの遊園地のいいところだ。
メリーゴーランドに乗ってテンションが上がっている琴羽に魅かれていたのは、朱鷺一人の秘密だ。
その後は、「遊園地といえば」というような無難なものばかりに乗った。
観覧車や海賊船、コーヒーカップなど、どれも一度は体験したことのある物だったが、何故か全てが色鮮やかで新鮮な体験のように感じたのだった。