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第一話

作者前書き

はじめまして、灰原零二です。現在13歳(14歳になります)の中学2年生です。

まず初めに、こんな小説を開いてくださって本当にありがとうございます。

今回の小説が僕の初投稿となるわけですが、皆さんに読んでいただけることをとても嬉しく思っております。

もうすぐ受験生になるので、ハイペースな投稿は出来ないと思いますが、自分なりに頑張っていきたいと思っています。

ライトノベル小説を読み始めて早半年が経過しました(ラノベ文化に初めて触れたのが去年の6月)。

へたくそ極まりないかもしれませんが、面白いと少しでも思っていただけたら幸いです。

これからもっと読書して、いっぱい書いて成長していきたいと思っています。

僕のスタートラインとなる作品です。

それでは。黒キ生徒会ノ「副会長」。始まります。

―【世界(ワールド)設定(・コード)】―

時は22世紀。

少子高齢化に悩む日本では純血の日本人が5000万人を切った頃、前代未聞の究極ベビーブームが到来し、人口爆発が起こった。

人口増加後、新しい産業や日本独自の技術を活発化するため、日本政府は新たな産業を考案した。

それが、【魔術(まじゅつ)】である。

人口の減少化により国土の9割以上が自然になっており、そのほとんどに魔術を扱うにおいて必要とされる魔導力を発生させる【魔導(マジック)脈流(・ライン)】が形成された環境と化した日本では、魔術を研究するに当たってうってつけのエネルギーが整っている。

そこで日本政府は魔術省を設置し「魔術経済回復法案」を発足させた。

その一環として旧大阪府、京都府を跨ぐ広大な土地に()()(のさか)魔術(まじゅつ)学校(がっこう)を設立した。

この頃には既に究極ベビーブームから10年が経過しており、人口は約7千万人までに上っていた。

学校としては欠かせない生徒となる人材が豊富に存在している。

政府は学校に日本全国から才能のある人材を800人集結させた。

この頃の日本人には【魔導脈流】の影響で、普通の人類には使うことの出来ない、唯一無二の力【特性(スキル)】を持って生まれた者が極少量だが存在した。

これらの事情が交差し日本は人口の多い中国や世界経済を牛耳っていた米国などとも対等に渡り合えるようになっていた・・・・・・

それから約30年。この30年の間にベビーブームが2回ほど起こり、人口は1億人を上まった。

そして、弥江ノ坂魔術学校には今期も優秀な人材が送り込まれる。

 不知火(しらぬい)朱鷺(とき)もまた、その「優秀な人材」として送り込まれた一人である。



序章 ―

それは、弥江ノ(やえのさか)魔術(まじゅつ)学校(がっこう)の西校舎三階の生徒用会議室前での出来事。

「え? 嘘? まじかぁ~ 資料作るの忘れてたのかぁ~・・・・・・」

 体育祭実行委員会に所属している下級生からの報告を受け、三日間オールしたようなやつれきった顔で、男―不知火(しらぬい)朱鷺(とき)はうな垂れた。

「仕方ないんじゃないか? こうなった以上は【覇王(はおう)】ちゃんや【(てん)(てい)】さんに、謝るしかないだろ」

 下級生を(かば)う様にして言ったのは、朱鷺の友人である―五十嵐(いがらし)秀才(しゅうさい)だった。

「お前はそう簡単に言うがなぁ、実際に責任吹っかけられるのは俺なんだぞ! 【天帝】は良いとして、問題は【覇王】だ【覇王】! 奴は恐らく、とんでもなく理不尽にキレるぞ・・・・・・あぁ~ 面倒くせぇ~ 」

 【覇王】。それは、この学校の生徒なら誰でも知っているであろう生徒会会長の異名だ。

美しさを通り越して、恐ろしさまでも感じてしまうほど、優美で整った顔。

超高級調度品並みのつややかな肌。

高い腰から伸びたスラットした脚。

制服の一番細いサイズのベルトでも締まる、くびれのある腹部。

豊満な胸。

まさに、完璧なプロポーションである。

さらに、成績優秀。

人類のいわば、「勝ち組」である彼女。

 だが、告って来た男を十連続不登校にしたり、教師をいじめて(勉学的知識による質問、問題の妄執(もうしゅう))退職させたりと、凄まじい歴史を残してきた超危険人物である。

直接的な面識はほとんどないものの、初対面の時に気の強さをむき出しにしていた記憶がある。

そして、その女が今期生徒会会長だということはすなわち、俺の直接的な委員会での上司ということになる。(朱鷺は、副会長である)

 要するに、俺が直接謝りに行かなければならないが、俺のミスではないし俺が悪いわけではない。

だから謝らない。

是が非でも。

「気が強い輩には、もっと強気で返してやる!」そう言いたいのだが、彼女の場合は一筋縄ではいけそうにない。

しかし、頭では分かっていても、謝ろうという気になれない。

思ってもいないこと=お世辞は口に出せない。

「面倒くさいなぁ~ ダリィなぁ~ はぁ・・・・・・」

 考えるだけで、鬱になりそうだ。マジで。

「 【覇王】ちゃんも、謝れば許してくれるさ。俺は結構絡みが濃いけど、そんな、冷酷で理不尽で意地悪な子じゃないと思うけどなぁ・・・・・・」

「なんで、俺が他人の犯した罪に対して謝んなきゃならねぇんだよ!」

社会の理不尽さに腹が立つ。

「す、済いません・・・・・・本当に、僕たちが悪いんです」

 朱鷺があまりにも大声で嘆くので、下級生も、目に少し涙を浮かべながら申し訳なさそうに小さな声ながら謝罪する。

「まぁまぁ・・・・・・朱鷺も許してやれよ」

 秀才がフォローしたからか、朱鷺は不満げながらも仕方なく許してやるのだった。

「お前もしんどいよなぁ・・・・・・生徒会副会長って・・・・・・」

 秀才は、親をなくした不幸な孤児(みなしご)を見るような眼で言った。心底、可哀想と思っていた。

「・・・・・・」

 何も言わない朱鷺に、

「まぁ頑張れよ、お前が悪いんじゃないのは、みんな理解してくれるさ。応援してるぜ【死神】くん」

そう言って秀才は、その場を去っていったのだった。

朱鷺は「責任」という、理不尽に乱用される(かせ)でくくられていない秀才の後姿を見て、忌々しげに笑う。

「ったく・・・・・・放課後は地獄だなぁ~・・・・・・いや、【死神】にとっちゃ地獄っていいところかぁ。【特性】ってのは難しいもんだ」

と、独り言を吐く。

恐らく世界でたった一人の【死神】は、今日も魂を導くような仕事よりも何倍も面倒な仕事に追われるのだった・・・・・・

 一章―

その数分後、教室内でのこと・・・・・・

「へ? 資料がないから会議が出来ない?」

 朱鷺の前に現れた少女は報告を受け、その整った顔の表情を歪める。

思わず二度聞きして来たようだが、報告の内容は変わるわけもなく、より一層不快感に(さいな)まれ、苛立ちが収まらない。

挙句(あげく)の果てに、一切謝罪の様子を見せない朱鷺の態度に苛立ちが増し、遂に爆発点まで至ってしまった。

「何で、私の会議を延期にさせるようなことをやらかすのよ!!!」

教室を通り越して、廊下にまで響き渡る怒涛(どとう)の怒鳴り声。

「会議に資料忘れてくる馬鹿がいる?」

全く責任がないはずの自分を、頭ごなしに怒鳴りつけるので、朱鷺は異論を唱えずにはいられなかった。

「件の話に対して俺に責任はないだろう! 資料がないのは体育祭実行委員会の連中が昨日の内に資料を製作しておくのを忘れていたからだ!」

朱鷺の必死の抵抗も(むな)しく、生徒議会が延期になったことにいじけてふんぞり返る生徒会長―海江田(かいえだ)琴羽(ことは)は一切耳をかそうとしない。

それは、彼女自身が誰かを責めなければ気が済まないという性格の法則に(のっと)らなければないからであり、彼女も朱鷺に責任がないことは心の奥底で重々理解している。

そもそも、ふんぞり返ろうが怒鳴ろうが罵声を浴びせてこようが痛くも(かゆ)くもないんだが、なんというかこう、「無意味に怒られている感」が残るのにはが少々腹が立つので、自己満足感を埋める為にこうして反論している朱鷺だった。

「生徒会長である私に言い訳でもしようってのね・・・・・・その行為、万死に値するわ! 貴方のその薄汚い(うすぎたない)精神を叩き直してあげる」

 会議が延期になり、反論したくらいでキレる意味も理解できない朱鷺だが、「俺に八つ当たりするのは本気でやめて欲しい」とまた言い返す。

「言い訳じゃねぇし、お前への反論が万死に値するわけもねぇ。あと、俺の精神は薄汚くねぇ」

「へぇ~ わかったわ・・・・・・この()に及んでまだ生徒会である私に楯突(たてつ)こうって言うのね。しかも、副会長の分際で生徒会長である私に「お前」っていうの? 貴方、なかなか度胸はあるじゃない。その度胸だけは認めてあげるわ! でも、ただじゃおかないわよ・・・・・・」

 少女、海江田琴羽が、ここまで己の権力に自信を持つのには理由がある。

それは、この世の限られた人々にしか与えられていない【特性】を持って生まれてきたからだ。

数千人に一人の確率で生まれ、数万人に一人の確率で私生活の中で覚醒するもの。

この世の誰とも被ることのない【固有(オリジナル)】の能力である【特性】。

 そして、彼女の【特性】の名は【覇王】。

空気中の原子核等に含まれる、化学魔術エネルギーを凝集し、効果を発動する、他の誰も発動できない魔術だ。

 そんな【特性】を持った者たちは【特性所有者】と呼ばれる。

それとは反対に、【特性】を持って生まれなかったものは【汎用魔術】を学び、扱う。

しかし、【汎用魔術】は【特性所有者】が使用する【固有】の魔術の三分の一足らずに威力や効果しか発揮できない。

故に【固有】の魔術を扱える【特性所有者】は世界、国、町、そして学校でも特別視されその力を乱用しないことを約束に特別な優待を受け生活することが出来る。

差別の対象としてではなく、「英雄」のような憧れの対象として(あが)められる者が多い。

 朱鷺もまたそんな【特性所有者】の一員である。

しかも、生まれつきではなく、およそ十万人に一人の確率でしかおこらない【覚醒】である。

故に【特性】を持って生まれたからと言って偉そうな態度で女王さもぶっている琴羽を見ていると忌々(いまいま)しいほど、腹が立つ。

「生徒会長であるお前が、そんなに偉いのか? 【覇王】の力がそんなに強いのか? たかが【特性】を持って生まれただけで【特性】を持って生まれなかった奴らより偉いのか? 生徒会長がなんだ? 【覇王】がなんだ? なぁ・・・・・・教えてくれよ、お前の何が偉いっていうんだよ!!!」

 朱鷺の怒りを最大限にこめた言葉。それを、真正面から受けた琴羽は、

「生徒会長である、【覇王】ある、【特性所有者】である私を、愚弄(ぐろう)するというのね・・・・・・許さない・・・・・・」

 少々涙眼になりながら、己の威厳を保つ為、必死になって琴羽は言い放った。

「絶対に許さないわ!!!」

 彼女は凄まじい怒気を込め、言い放った刹那、教室を流れる風の気流が変わる。

 音さえ聞こえてこないものの、この、直接神経を揺らすような激しい力は「覇王」の力なのだろう。

いくら【特性所有者】いえども、自らの特性を自由自在に操れる彼女の能力には、朱鷺も戦慄を覚えた。上位高等魔術の威力をゆうに凌駕する魔術である、【特性魔術】。

その中でも、彼女の自作である【覇王】の力を使った【覇王の怒気】。その効果は、単純かつ純粋なまでの破壊。

 目の前の敵を消し去る為だけの力。

それが今、朱鷺の目の前で発動されようとしているにも関わらず、朱鷺は平然とただ座ったような眼でどんどん凝縮されていくエネルギーを淡々と何事も起こっていないかのように、直接くらえば100%殺されるであろう力の波動を前に、立っている。

ついに、エネルギーが全て集結し【覇王】の力が始動する。琴羽は両腕を前方へ突き出すと、まさに【覇王】のような形相で叫んだ。

「【吹・き・飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!】」

カッ!

凄まじい閃光(せんこう)が走り、巨大な波動弾は朱鷺へと進撃を始める。

が、瞬間、朱鷺は姿を消したかと思うと教室の端っこに現れた。

朱鷺は自分を目掛けて飛んできている波動弾の方向へ片手を突き出し、呪文を唱える。

「【時を刻みし摂理の秒針よ・我が意のままに・終熄せよ】」

揺れる木々の音のように、安らかで静まった声で呪文を唱えた朱鷺の前の波動弾はまるで凍りついてしまったように空中浮遊(くうちゅうふゆう)したまま停止した。

「へ?」

 その光景に、唖然と声を漏らす琴羽。一瞬の出来事に脳の処理が追いついていないのだろう。

刹那、朱鷺の手には巨大な鎌が現れ、ヴゥゥンという野球バットを思い切りふった時に出るような鈍い音と共に、波動弾を一刀両断した。

真二つになった波動弾は漆黒の闇に包み込まれ、完全に消滅した。

「嘘・・・・・・」

唖然と立ち尽くす琴羽。言葉を失っている様子だ。現実が理解できていないのか、それとも自らの敗北を認めたくないのか分からない。だが、完全に心ここにあらずの表情だった。

「もう一度だけ聴く。お前の【特性】のどこが強いんだ?」

戦闘力の差は明白。どんな脳なしが見たとしても理解できるだろう。

「・・・・・・」

朱鷺は、涙目の琴羽に、

「死神の力を嘗めるなよ?」

そういって自分より少しばかり低めの琴羽を(なぐさ)めるようにそっと頭をたたくと、その場を去った。

去り際に、彼女が小声で、

「ない・・・・・・です」

と言ったのは、聞こえてはいたが無視することにした。

 かくして、【死神】は【覇王】を抑えることに成功したのである。

 朱鷺は正直なところ、琴羽に対し最後まで憎悪(ぞうお)を抱いていたわけだが、何故か涙を必死に我慢する彼女の顔を見ていると、その気持ちが和らいでいく気がした。

 琴羽は朱鷺に対し、圧倒的な実力の差と敗北を突きつけられたが、最後、自分を慰めるようにしてくれた朱鷺に不思議な暖かさを感じ、他人に対して生まれて始めて安心感を抱いてしまったのだった。

 今回の件が二人の初コンタクトとなるわけだが、喧嘩したにもかかわらずお互いのことを最後、悪くは思わなかった。

 これまで全く関係のなかった二人がこの先急接近していくことになるが、それはまだ先の話・・・・・・

    *

弥江ノ坂魔術学校。

日本が世界に誇る、世界最大級の魔術学校。

現在の東京ネズミの国3個分の広さがあり、西を海(旧大阪湾)に面しており東を大自然が覆っている。校舎は敷地の約10分の一で運動場だけで東京ドーム1・5個分の広さだ。

全校生徒は約800人に上り、16歳から20歳までだが年齢でクラスが分けられるのではなく、それぞれのクラスの全体学力平均、運動能力平均などが概ね一緒になるように振り分けられる。

生徒たちは学校側が決定した二人組〈ペア〉となり普通の民家ほどの下宿所が与えられる。

平日は基本、下宿所で生活し休日は自由だ。

卒業後は、魔術省の官僚や防衛省の上層部、政治家、日本魔術運輸、日本魔術研究所研究員、弥江ノ坂魔術学校教師などなど、超高収入職業に就くことが確立されている。

まさに、「勝ち組」人生を送ることが保障された学校といえるだろう。

入学方法は多種多様で、勉強だけが全てではない。

たとえば【特性所有者】ならば、9割以上の確率で合格。生徒数十人に一人が【特性所有者】という結果になった。(一クラスに数人)

委員会の運営などは【特性所有者】が中心となって行っており、生徒会長に「覇王」―海江田琴羽、

全校(ぜんこう)運営(うんえい)委員(いいん)会長(かいちょう)に【(てん)(てい)】―戰乃宮(いくさのみや)(しょう)(りゅう)

治安(ちあん)維持(いじ)委員(いいん)会長(かいちょう)に【正義(せいぎ)】―裁鬼誠也(さいきせいや)

魔術(まじゅつ)委員(いいん)会長(かいちょう)に【()天使(てんし)】―鴻池(こうのいけ)()()

臨時(りんじ)委員会(いいんかい)管理庁(かんりちょう)(ちょう)に【聖職者(せいしょくしゃ)】―葛城(かつらぎ)原正(はらせい)()

、が就任した。

何とも、色の濃い(と、よく噂されている)面々だが、この学校の運営を担う者たちは、この位が丁度良いのかもしれない。

そんな曲者相手に、生徒会副会長【死神】―不知火朱鷺は奮闘するのだ。

「あぁ! まともな奴はいねぇのかよ!」

そんなことを叫びたくなるが、さすがに一人でそんなことを叫んでいるのは結構やばいので我慢するが、今日から始まる新しいペア生活を唯一の楽しみと思い、新しい下宿上に向かうのだった・・・・・・


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