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第六話 怒ってないよ?

「やっぱりそうだったんですね!」


 机を両手で叩いて立ち上がりググッと期待の眼差しを向ける。

 長官はそんな視線を向けられると話し辛いのだろうか、咳払いをして「落ち着いてください」と落ち着くよう促した。


「あ……申し訳ありません……」


 私は謝って直ぐに座り直して、この迷宮から脱出する方法の教えを待った。


「そのように、前のめりになるのは分かりますが……。それではやはり不可能でしょう」


「帰りたい! って気持ちは誰にも負けません!」


「それは良い事です。しかし、クレジットのもう一つの特殊な用途として購入することができる『免罪符』。これを手に入れる為には、莫大な量のクレジットがひつようです」


「……だから、気持ちだけではそれを稼ぐ程の撃墜数には届かないと言いたいのですね。確かに私は実力不足です。けど、私は約束しました! 絶対に帰って来るって!」


 また勢いで立ち上がってしまった。今回は馬鹿にされた怒りもあって、止めるのも聞かないで扉へ向かう。そして、開くボタンを押す前に振り返り敬礼して一言だけ。


「失礼します!」


 そして、ボタンを叩いて部屋を出た。

 部屋の外に出てみると中の空気があまり換気されていなかったという事が実感できた。新鮮な空気が鼻を通り肺へ入ると、憂鬱になりそうだった気分も少しは晴れた。それが少し気持ち良くて思わず頬が緩む。


「ずいぶんご機嫌だな、少尉。まあ、あの胡散臭い男の部屋から出られれば誰でもそうなるか」


 まさか、こんな人気の無い建物の部屋を出て目の前に人が立っているなんて思っても無かった。

 突然の事に驚き、顔と体がそのまま硬直して頭の中だけが走り回っている。側から見れば訳もなく笑っている不気味な女に見えるだろう。


「なんだ貴様、挨拶もまともにできんのか?」


「も、申し訳ありません! アリシア・フェザー・ガーランド少尉であります!」


「私はライザ・スペンサー。ラビリントスで教官をしている。貴様、予定されていた時間よりも早く出てきたが……あの男に嫌気が差したな?」


「……あはは、そんな所だと思いますぅ〜」


 ライザさんの言葉が図星で、苦笑いしながら視線を逸らした。


「気にしなくていい。ここの人間は誰もが奴を嫌っている。それはお前が正常な証拠だ」


「そうなんです……よね。あの方とは相容れないのだと感じます」


 私の感じた事と他の人の感じた事が同じかどうかは分からない。けれど、そこから出された結論が同じだと知って何だかホッとした。


「ハハハッ! それで良い! そういえば貴様、自分の機体について話を聞いたのか?」


 そうだ! それを聞く前に私は長官の部屋を出てきてしまった……。


「聞いておりません……。私の機体はどうなっているのでしょうか……?」


 心はうな垂れているが、上官の前で姿勢を崩すわけにはいかない。さっきよりもツートーンくらい低い声で、さっきできなかった質問を教官に尋ねた。


「ここに来る以前に使用していた機体が格納庫に収容されている。あと……新任でやって来た技術者がお前の機体を見ていてな。お前に『待っている』と、伝えてくれと言われたのだが……」


「えっ! 本当ですか⁈ ヤッター!!!」


「待て! 少尉! 貴様は……行ってしまったか……」


 私の機体がここにも来ている! それが分かった嬉しさで教官の声が全く聞こえなくなっていた。話に何か続きがあったような気がしたけど……まっ! いっか!

 嬉しさで走りだした私が向かうのは機体が待っている格納庫。でも、私格納庫の場所知らないよね……。

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