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第三話 連行中?

 降り立った地は人工島。「ラビリントス」と呼ばれている所だそうだ。

「だそうだ」なんて他人事のように考えていると思われてしまいそうだけど、私はこの島に収容されることが決まった時に初めてこの島の存在と名前を知った。

 普段は知らない所に行くなんてワクワクして寝られなかったのに、今回は不安で寝られずにずっと暗闇の中で檻の壁を見つめ続けた。えっ? さっき夢みてたじゃないかって? ……船に乗るまでの丸三日間寝てなかったんだからウトウトしてたかもしれないけど……寝てないよ!

 地面は鉄製なのだろうか、一歩一歩歩く度に金属音が響く。その音に反応してやさぐれた浮浪者のような人達が私を見ている。その目は品定めでもするようだ。

 私はあの人達の私を見る目がおかしい理由を前を歩いていた衛兵に尋ねようとした。

「あの人達……」

「ああそうだ。お前と同じヒトもどき供だな」

『ヒトもどき』という言葉にムッとして聞きたいのはそうじゃないと突っかかりたかったが、堪えて何も言わずに辺りを見渡し、居住区の観察していた。

 私を見る人達は浮浪者のように汚れているのは皆変わらなかったけれど、何故か女性の方が多いような気がする。次に小さな子供、老人、若い男性の順に多いように見える。

「ん……、何だろ……?」

 動かない観衆の中、小さな影がピョコピョコと駆けている……ような気がした。疲れているからゴミが風に流されているのがそう見えたのかもしれないし、小さな子供もいるからおかしな事じゃない。私はそのまま気にせずに歩き続けた。

 私は降り立った港から連行されて居住区? を抜け、工廠エリアと思われる場所へと足を踏み入れた。思われるというのは、ここでは兵器の開発・製造を行う施設だけではなく、滑走路や軍港から対空ミサイル等の迎撃システムがある。そして、このエリアの中央には司令部だと考えられる建物も見られる。もうこれでは只の工廠ではなくて、軍事基地と変わらない。

 それなのに何故「工廠」だと感じたのか。一応私も軍人です! だから、イギリス中の大きな基地や工廠は知ってるつもりなのです。私の知っている限り、このくらいの規模の基地は珍しくないけれど、ここの工廠はイギリスでも最大規模のマンチェスターやグラスゴー、リヴァプールに負けないくらいの規模だ。それはすなわち世界でもトップクラスという事になる。さっきも言いましたけど、一応私も軍人なのです!

 私は司令部だと考えられる建物へと向かって歩いている。その間前だけ見ているのも退屈だったから、開いている格納庫の中を覗いてみた。

 中には本国でよく見た兵器もあるけど……変わった装備の機体だなぁ……。エースパイロットには自分の機体を好きにカスタムする許可が出るけど……あそこまでいくとカスタムの範疇では無いように見える。もう、アレは自分オリジナルの機体なのだろうか……。

「入れ。長官室は突き当たりの部屋だ」

 前を歩いていた衛兵が入口の前で立ち止まり、私の方を振り返り言った。その顔には何の表情も無い……。いや、ハッキリと表に出してはいないが、これは侮蔑だ。こんな事は今まで無かった。心が痛い。

 それでも、今の私の立場でそれを表情に出せば何をされるか分からない。小さく返事をして足早に長官室へと向かった。

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