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第十四話 良い関係?

 更衣室を出た後私達は換金所へ向かった。外はもう暗くなっているが、外でも修理をしている人達がいてそこら中でライトが点いている。

 さっきお金を貸してくれたリリーに返さないといけない。結構稼げてる筈だから楽しみだねぇ〜。


「さっきはありがとね。後でご飯一緒にどう?」


「う〜ん、ボクも暇じゃないんだけどなぁ〜。修理の為にパーツ集めたりしないといけないし」


「あ、そうだ! この島を案内してよ!」


「……ボクの話聞いてた? 暇じゃないって……」


「ご飯奢るよ?」


「えっ……? ホントに? ……いやいや! そんなのに釣られないよ!」


 分かりやすいね〜。「そんなのに」か……じゃあ他にも奢ってあげよっかな。


「じゃあさ、修理に使うパーツのお金私が出すよ? どう?」


 《おい! 私が稼いだ金どうしてこいつに使うんだよ⁈》


 まあまあ落ち着いて。いいじゃん、これから一緒に戦う仲間なんだしさ?

 これで納得してくれたのか、呆れて物も言えないのかは判別できないけどこれ以上の文句の声は聞こえてこなくなった。

 リリーの方はというと、私が「どう?」と言った瞬間に私に飛びつき大声で笑っている。そのせいで周囲の注目を集めてしまって少し恥ずかしい。


「あははっ! 周りの人が見てるよ〜」


 私の言葉で自分が何をしているのか気がついたようで、慌てて私から離れて先を急ぐように早足で歩き始めた。周りの目を気にしている所で本当に十四歳なんだな、と理解できる。小学生なら気にしないしね!


「ほら! 早く来なよっ!」


「うん! 追い抜いちゃうよ〜!」


 ————


「ここが換金所なんだね」


「そっ、さっさと入ろ。時間も遅いし」


「あはは……ごめんね……」


 あ〜もぉ〜……。今日二回目だよぉ〜。リリーに負けじと走り出した私は追い抜いた勢いそのままに走り続けて、今度は居住区の中を彷徨っていた。今回はここを知り尽くしているリリーがすぐに見つけてくれたからよかったよ……。


 《いい加減方向音痴直せよ……》


 そんな事言っても、あなたもこの体を使えば分かるよ! ぜっんぜん! 迷っちゃうと方向分からなくなるんだから!


 《知ってるよ。一度酷い目にあった……》


 あ……経験済みだったんだ……。ごめんね……。

 リリーに付いて中に入ると中は簡素な作りで、銀行のATMのような機械が並んでいた。その上にはレートが表示された大きなモニターが壁に埋め込まれている。

 そんなに広い部屋ではない(テニスコートくらいかな)。しかし、中にはかなりの数の人がいて、モニターを凝視して何かを待っているように見える。



「あの人たち何してるの?」


 小声でリリーに聞いてみる。


「次の日のレートは毎日この時間(午後八時)に発表されるんだ。ここにいるのは数字を見て明日出撃するかどうか決めるつもりの奴らだよ」


「へぇ〜、そうなんだ……。今日のレートはどうなの?」


「今日はまあまあだね。だから昼間出てってる奴等多かったし」


 そういえば長官の部屋から出撃していくの見たっけ。

 機械の前には誰もおらず、今の内に換金してしまおうと人の隙間を縫ってそこへ辿り着いた。


「これ、身分証入れるだけ?」


 カード挿入口に入れてみる。……向きって関係無かったよね?


「うん。それで出てくるのはここ……ほら」


 ガガガガーって音がした後に開いた取り出し口の中へと手を入れたリリーが掴み出したのは札束。それも手から溢れそうな程の量。


「わぁ〜! そんなに貰えるんだぁ〜! ……って、言ってもどれだけの価値なのか分からないんだけどね」


「これくらいなら二回くらいは機体の修理ができるはず。かなりの大金だからしばらくは遊んでられるよ」


「じゃあ、結構稼げたんだね」


 まだ閉まっていない取り出し口の中から残ったクレジットを取り出し、私達は換金所を出た。

 少し歩くと歓声と怒号が背後から聞こえ、明日のレートが発表されたと分かる。


「どうだったんだろうね?」


「さあね。状況によるし」


「ふ〜ん。私は毎日出撃するから気にしないけど」


 その後は特に会話が無く、私は周りの風景を見てなんとか覚えようと頑張っていた。


 《で? 成果は?》


 怪しいです……。


「おーい。また勝手にどこ行くつもり〜?」


「えっ?」


 リリーの声にハッとして声の方に向くと、彼女はギラギラと輝く悪趣味なネオンの光の下に立っている。


「あはは〜、ごめんごめ〜ん!」


 ネオンをチラチラ見ながら駆け寄る。近付いて見上げるとチカチカ点滅していて目が痛い。


「ここが……何なの?」


「メシ食うんだろ? 肉食べられるのここだけなんだよ〜。あと、トマトスープがめっちゃ美味い!」


「他の店じゃ肉食べられないんだ」


「おっちゃんに競りで勝てる奴はいないからね。早く行こっ!」


 リリーは嬉しそうに跳ねながら店の中へと飛び込んで行った。


 《はっ、ガキだな》


「そうだけど、可愛いじゃん?」


 《さあ、どうかねぇ》


 あんな妹がいればもっと楽しい人生になるんじゃないかなぁ。

 そんな事を考えながら私は後を追って店の中に入った。

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