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第七話 お久し振りですね?

「ここぉ〜どこだろぉ〜ふふふ〜ん……どこなんだぁぁ!」


 工廠に突撃したはいいものの、迷って、迷って、迷って……。今はパーツの製造ラインが目の前で流れている。

 ずっと変わらない景色に時間の感覚が麻痺したような気がして、どれくらいの時間が経ったのか時計を確認してみると……。


「もう一時間くらい彷徨ってる……。迷子放送されたりしてね……アハハ……」


 十七歳にもなってそんな恥ずかしい事にはなりたくない。だから、足を更に動かして、息が上がる程走り回ったのに一向に格納庫へ続くと思われる道が見つからない。

 そして、休憩の為に通路の壁にもたれて、あてもなく視線をふらつかせていると私の方へと小走りする人影が現れた。その人影は私に向かって左手を頭上で大きく振って、「おぉ〜い」と気の抜けた声を出している。


「やった! やっと人に会えたぁ……。って、あの人見覚えがあるような……」


 大きくなる人影をじじぃ〜と見つめていると……。


「ああっ! 何でここにいるんですかぁ⁈」


 知っている人と再会できると嬉しくて走り出す癖がありまして、今回もそれに漏れず相手よりも速いスピードで突撃していた。

 そんなスピードを出していてキッチリ相手の目の前でストップすることが出来るはずもなく、彼に飛び付いて受け止めてもらう事でようやく止まることができた。受け止めると言っても、私の勢いが強過ぎたせいで三回もゴロゴロと後転していたけどね。


「あ……相変わらず……元気で、何よりだよ……イタタタ……」


 彼は、転がった時にぶつけた後頭部を抑えながら起き上がり、私へ定型文を途切れ途切れに述べた。


「ごめんなさい! やっと人に会えたのが……あと! アーサーさんに会えたのも嬉しくて、つい走り出しちゃいましたぁ〜」


「あははぁ〜僕もだよぉ〜。ささっ、早く格納庫行こうね。機体が待ってるよ〜」


「はい! ……そういえば、アーサーさんはどうしてここにいるんですか?」


 彼は、私が前まで配属されていたお義兄様の艦隊で技師長をしていたはず。その時に色々と私に目をかけてくれて、リアとヴァレンティナと一緒に機体のチューニングを手伝ってくれた。


「ああ、それはね。厄介払いみたいなんだよねぇ。前から煙たがられてたから、ボク」


 左遷されたという事なのだろうか……? そんな話を嫌な顔せずに、むしろ嬉しそうに笑いながら話してくれた。


「それってお義兄様が……!」


「違うよ。彼は関係無いし、ここへの異動は半分希望のようなものだしねぇ。早く行かないと教官さんがカンカンだよ?」


「あああっ! そうだ! ライザさん! ごめんなさぁぁ〜い!!」


 気を抜くとすぐに大事な事を忘れる癖なんとかしないとなぁ……。

 聞こえもしないのに、ライザさんに謝りながら私は大慌てで格納庫へと走った。


「おお〜い! 一人でどこいくんだぁ〜い! 君また迷うよぉー!」

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