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第3話_OH エド捕物帖オウジサマン!(5)

 春の木漏れ日のような暖かい温もり。

 おやっさんはバッと眼を覚ました。

「生温ッ!」

 そして、おやっさんは自分に抱きついてる裸の男に気づいて飛び起きた。

「誰だよっ!」

 で、自分も裸だったことに気づいて股間をガードした。

 頭を混乱させながら、おやっさんは辺りを見回した。

 どうやらどこかの洞窟らしい。

 焚き火の周りで服を乾かしている。

 そして、赤フンで仁王立ちする男――顔は黒頭巾で隠されていた。

 黒子がパペットをサッと出した。

「生肌デ温メルノハ常識ダロウガッ!」

 凍えた人を温めるのは服を着たままより生肌のほうがよい。豆知識だ。

 しかし、この赤フン男に抱きつかれていたかと思うと、おやっさんはゾッとして寒さがぶり返してきた。

「ハクション!」

 鼻水を飛ばしたおやっさんを見て黒子を抱きついて来ようとした。

「死ヌナ、今温メテヤルゾ!」

「近寄るな変態!」

 おやっさん怒りの鉄拳!

 グーパンチを喰らった黒子は地面に尻餅をついてM字開脚!

 サッとおやっさんは顔を背けた。

「さっさと服を着やがれ変態」

「赤ふんハ漢ノ正装ダ、コンチキショー!」

「助けてもらったようなのは礼を言うが、早く着ないと剣のサビにするぞ……俺の大事な剣はどこだ」

 フルチンでおやっさんは慌てふためいた。

 黒子はふんどしに手を突っ込んで、中から剣を取り出した。明らかにサイズが合わないのは目をつぶりましょう。

「此処ニ有ルゾ」

「そんなとこに入んな腐るだろ!」

「安心シロ、一日十回ハ洗ッテルゾ」

「そーゆー問題じゃねぇよ!」

 おっさん怒りの鉄拳!

 地面に尻餅をついた黒子は(以下略)。

 自分の剣を奪い返したおやっさんは服を着替えようとしたのだが――。

「おい、俺のパンツ知らないか?」

「テメェノぱんつナラ此処ニ有ルゾ」

 黒子はふんどしに手を突っ込んで(以下略)。

「温メタ方ガ穿ク時、気持チ良イト思ッテナ」

「そんなパンツ穿けるかッ!」

 おっさん怒りの鉄拳で黒子は(以下略)。

 怒りながらおっさんはノーパンでズボンを穿き、さっさと着替えを全部済ませた。腰に剣を装備して完璧だ。

 謎の黒子もすでに燕尾服に着替えていた。

「オイ、焚キ火ニ当タレ」

「すまんな」

 二人は焚き火の近くに腰を下ろした。

 おやっさんはポケットからタバコを取り出して、焚き火で火を点けようとしたが点かない。

「チッ、湿気っちまってるな(ホントついてねぇーな)」

「煙草ナンテ吸ッテルト長生キ出来ネェーゾ」

「っるせえな、俺の勝手だろうが」

「綺麗ナ奥サント可愛イ娘ト息子ガイルンダロ?」

「なんで知ってんだよ?」

「何ヲ隠ソウ俺様ハえすぱーナノダ!」

「マジか!」

「嘘ダ」

 ウソかよっ!

「財布ニ入ッテンノ見タゾ」

「何だと?」

 おやっさんは慌ててサイフを探した。ポケットあったサイフ、その中には家族で撮った写真が入っていた。思わずほっと胸をなでおろすおやっさん。

「(てっきり股間に……いや、よかった)ところでおまえ名前なんてんだ?」

「俺様ハせばす。コッチノ男ハ黒子ダ」

 あくまで黒子とパペットは別々の存在です。

 おやっさんも自己紹介をする。

「俺の名前はクルダ。王都アステアで鍛冶屋をやっている。この山にホワイトムーンと云う特別な鉱石を採りに来たんだが、雪崩に巻き込まれてお前に助けられたようだな」

「オウ、助ケテヤッタゾ」

「せっかく手に入れたホワイトムーンも雪崩と一緒になくしちまったようだ」

「其ノほわいとむーんナラ、此処ニ――」

 股間に手を突っ込もうとした黒子をクルダは必死に止めた。

「待て、それはもうお前のもんだ、やるから出すな(そんなもんで武具を作るなら死んだほうがマシだ)。それにそれだけじゃ足りねぇんだ、もっと多くのホワイトムーンを探さなきゃな……見つかるかどうかわからんがな」

 ホワイトムーンと云えば、グラーシュ山脈でしか採取できない超希少価値の高い鉱石だ。しかも、この地はババナで釘が打てる極寒地帯。さらにホワイトムーンが採取できるポイントは一年中猛吹雪が吹いていて、恐ろしい怪物も出現するデッドゾーン。

 そんな場所に足を踏み込むのは度胸があるか、バカなのかどっちかだ。

 しかし、クルダは再び行こうとしていた。きっとバカだ!

「俺はまた採取に行くぜ。おまえはどうすんだ?」

「道ニ迷ッテンダ、悪イカコンチキショー!」

 ユーリを探してなぜか雪山に迷い込んでいた。

「……チッ、仕方ねぇな。ホワイトムーンはあきらめっか。山のふもとまで一緒に降りてやるよ」

「本当ニ良イノカヨ?」

「命の恩人だからな」

「感動シタゾ、テメェ良イ野郎ダナ」

 黒子はセバス人形をクルダの顔にグリグリした。

「グリグリすんな!」

 おやっさん怒りの鉄拳!

 黒子は地面に尻(以下略)。

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