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ディメンションダイバー  作者: LESTAT
序章
32/37

休息

駅馬車―そんな交通手段も風情があっていいものだ。

何となく俺はそう考えていた。

だが、乗り心地は最悪だ。

レプソリア・ヴィデルクの邸宅への往復はネイサンの駈る馬車だったが、あれとは全く違う。もっとも、あちらの馬車のほうが特別だったのだろう。


船酔いもこんなものだろうか―そう考えると例によってカルルの質問攻撃が始まった。

『聖霊様、船酔いってなんだ?』

―来ると思った。川や海の上を動くでっかい乗り物だ。乗ると揺れて気持ち悪くなるから酒で悪酔いした時に例えて言うんだよ。―

『なるほど。海って…』

―でっかい湖みたいなものだ。街どころか国が入るくらいの大きさだよ。―

カルルの質問に答えるため考えを巡らすことで込み上げる吐き気から気をそらす。


「意外だねえ、乗り物酔いかい?」

そういうアマーシャも顔色が若干悪い。

「ここまで感覚を再現する必要あんのかいな。」

ダルザは一番平気そうだが、なんらかの心地悪さは感じているようだ。他の数名の乗客の中にも同じ様子の者がいることから、俺達が特別弱いということでもなさそうだ。

意外なことにサーニャが普段と全く変わった様子がなかった。アマーシャの背をさするその手は心配そうだ。

「ほんと、ごめんなさいね。ここまで来てもらって…。」

「いいんだよ。あんたは気にしなくて。」


馬車が止まった。

休憩にするのだろうか。いや、外に聞こえる複数の荒々しい声が、今何が起こっているかを物語っていた。

ドアが乱暴に開けられる。外に見えるのは下卑た表情を浮かべた男達だ。手には武器が握られている。

「はい、みなさん。大人しくねえ。」

「わかってるよな。金目のものを出し惜しみするなよ。」

ありがちなセリフを吐いた盗賊達は得意そうな表情だ。

俺はダルザもアマーシャを見た。予想通り嬉々とした表情を浮かべている。

「ちょっと気分転換に運動してくるし。」

「俺も行きますよ。」

「あたしも。」

俺達の会話と表情に気づいた盗賊達が怪訝な表情を浮かべる。

ダルザは笑みで返したー肉食獣の笑みで。

俺は盗賊達に同情したくなった。


馬車は予定より少し遅れてバダハンデルに着いた。

俺達が降りると、御者が挨拶に来た。

「本当に助かりました、ありがとうございます。御代はいいですから。」

先程蹴散らした盗賊達のことだろう。一分も立たずに全員が血の海に沈んでいた。

「お、助かる…」

言いかけたダルザを制してアマーシャが財布を出した。

「何言ってんだい。あたし達も自分のためにやったんだよ。だから、それとこれと話は別じゃなきゃね。」

そう言って運賃分の硬貨を御者に握らせた。

御者は深々と頭を下げる。

「さっすが姐さん。」

俺も彼女に倣った。ダルザも仕方なさそうに払う。

「さて…まずは宿探し、ですかね。」

「そのこと…なんだけど…」

俺が切り出すと、アマーシャが珍しく下を向いてもごもごと言った。

「ここでの滞在では…あたし、宿は別でいいかな。」

「姐さん…。ははあーん。な・る・ほ・どお。」

「ちょ…何想像してんだよ。言ったと思うけど、ここは出身地みたいなものなのさ。それに…宿代もちょっとは浮くじゃないか。」

露骨な反応を示すダルザにアマーシャも恥ずかしそうに反論する。俺もアマーシャの本来のプログラムがタリエルのところに行きたがっていることは聞いてるが、ここは気がつかない振りをするのが大人だろう。

「サーニャさんはこっちで見とくんで、いいですよ。明日の打合せは正午でいいですか?」

「すまないね。頼むよ。」

「姐さん、頑張りや。姐さんが押し倒せば楽勝やで。」

「な、何言ってんだよ!そういうのセクハラだから!」

威勢よく返しながらも足はすでに別の道に向かっていた。よほど気がはやるのだろう。


『あの聖霊様には珍しい表情だ。ミヤリに似た顔をするな。』

―カルル、お前もミヤリちゃんの前では似たような感じだぜ。―

『そうなのか?』

-ああ、そうだ。もう彼女の気持ちを受け止めるつもりなんだろ。-

『…そうだ。自分はミヤリをめとる。』

―めとるって…、いきなり結婚かよ。―

『そうだ。当たり前だ。』

―そういうシンプルなのって…うらやましいな、ある意味。―

『そうなのか?自分には聖霊様の言うことがわからん。聖霊様にはそういう女はいないのか?』

-痛いとこ突いてくれるねえ。募集中だよ。-

Energizedエナジャイズドの前田莉緒の顔が一瞬浮かぶ。

監理局以外で現実世界の誰かを思い出したのは久しぶりのことだ。

『聖霊様の想い人か?』

俺が思い浮かべた瞬間、カルルは彼女の顔を目ざとく見つけたようだ。

-…ちげーし。-

『自分の気持ちには素直になるべきだ。』

-お前が言うか?-

ガキのような俺とカルルの会話は、ダルザの声で中断された。

「なにボーッとしてんね、また頭の中でお話かいな。」

肩を叩かれて我にかえる。

「…っと、宿探しですね。サーニャさんもいるのでできれば風呂付き、馬小屋とかはナシにしましょう。」


俺とダルザはチェックインを済ませ、サーニャを交えて宿の食堂で夕食を取った。以外にバダハンデルに旅人は多いようで、周囲はそれなりの賑わいを見せている。給仕の女と客の掛け合い。酔って旅の自慢を始める者。絵にかいたような酒場の風景だ。

サーニャの中にいる大村由美の呼び掛けにも関わらず、相変わらずサーニャ本来の人格は呼び掛けには応えないようだ。

「まあ、しょうがないですね。サーニャにしてみれば泥棒猫と身体を共有してるわけだし。」

葡萄酒を飲みながらサーニャは上機嫌になっていった。

「まあ、もうちょい辛抱ですよ。」

「あとちょっとやし、たまにはパーっと飲んで気分転換せんと。」

ダルザは空になったサーニャのグラスに葡萄酒を注ぐ。

「んー。うんまい。仮想世界なのに不思議にうまい。こんなとこまで再現しちゃうの凄いねえ。」

ペースの早さもあってだいぶ酔いが回ってるようだ。本来の大村由美の性格が顔を出していた。

「まあ、葡萄酒ゆうけど、BiSiPこっちのはだいぶ違うけどな。」

マグダンと呼ばれる、一粒が林檎くらいの大きさの葡萄からこの酒は作られる。どうやらバダハンデルの特産らしい。

「俺はむしろ奇跡だと思いますよ。こんだけ共通点があるのって。」

俺も葡萄酒の杯に口をつけてみた。

旨い。濃厚で、果実の味がする。

現実世界ではビールくらいしか飲んだことがなかったが、これはいける。カルルは普段俺達の内輪の会話を聴かないよう感覚を遮断してくれているが、教えたくなった。


ーカルル、ちょっと、いいか?ー

『……なんだ、聖霊様。』

―カルル、旨いものがある。味覚と嗅覚を共有できるか?―

『ああ、やってみる。…なるほど、これはバダハンデルの葡萄酒だな。』

ーわかるのか?ー

『葡萄酒を造る地域は多くない。ここのは有名だ。飲んでおけ。』

ーちぇ、知ってたのかよ。ー

『礼は言っておく。飲み過ぎるな。』

ふと目をテーブルに向けると、サーニャが大声を上げていた。


「ホンっと最高。あーあ、戻りたくないなあ。」

「ちょ、飲み過ぎやって。」

ダルザの静止を聞かずにサーニャは杯を空けた。

現実世界あっちに戻っても、カネの心配して、育児に疲れ果てて、客のアレくわえる…の繰り返しだもんね。」

酔っているのかネガティブ発言がひどい。切り上げる頃合いだ。

「明日あるんで、そろそろ寝よか」

「そうですね。俺も眠いし。」

「なあに、まだ飲もうよお。」

俺達はグズるサーニャを引っ張っていき、給仕に会計分の金を渡すと、宿の部屋に押し込んだ。

「やれやれ、片付きましたね。」

「ストレス溜まってたんやね、この人も。」

「じゃあ、寝ますか、俺達も。」

「ジブン、もうちょっと付き合わへん?」

ダルザが親指と人差し指を口に持っていった。昔のドラマに出てくる、酒を飲むサインだと気付く。

「わかりました。仕事の先輩の誘いですからね。」


「お客さん、戻って来たのかい?」

カウンターに座ると、酒場のマスターがグラスを拭きながらきいた。

「ああ、えらい迷惑かけたな。なんか葡萄酒以外のはある?」

「リゴットしかないけどいいかい?」

「おっしゃ、それで頼むわ。ジブンは?」

「俺も同じのを頼みます。」

リゴットは、この世界の酒でウィスキーとジンを足して割ったような味がする。ダルザと俺はカウンターで木の杯に注がれたリゴットに口にした。

「やっと落ち着いて飲めるわ。」

「そうですね。大村さんもストレス溜まってたんでしょうね。」

「ダイバーやっとる奴は…みんな現実世界で上手に生きれへんのよ。だからダイブにのめり込んでしまうねんな。」

その言葉は、大村由美のことだけではなく、自分を語っているようにも聞こえた。俺は黙って杯を傾けた。

「ワシは…現実世界あっちに特に楽しいことはあらへん。むしろBiSiPこっちのほうが充実してる。現実世界あっちではガチで格闘技使ったらあっという間に刑務所やしな。

でも、この闘いも冒険もみんな現実とはちゃうわけやん?おっさんがVRゲームしとんのと一緒やで。そやから…現実世界あっちにはやっぱり自分の居場所はあったほうがええ。」

彼がこんなことを話すのは初めて聞いた。

「ダル…仙田さんはあるんですか?その居場所ってやつ…。」

「一応、な…。」

ダルザの顔に一瞬苦悩が浮かぶのを俺は見逃さなかった。

「いいですね。」

「ジブンはどうなん?現実世界あっちは楽しい?」

「全然楽しくなかったですよ。でも最近、ちょっとだけ楽しくなりかけてますかね…。」

「女やな。」

「え?」

「そうゆう顔してたで。」

「ちょ、そんな…。」

「…で、相手は誰なん?ワシのこと、頼れる先輩やおもて、何でも相談しいや。」

「もう、何が頼れる先輩ですか。ただのバイト仲間ですから。」

ダルザこと仙田がボケたらツッコむ。関西人とのコミュニケーションはいちいち面倒くさいが、この数日間でだいぶ慣れてきた。

誤算は、動揺して余計なことを口走ったことだ。そもそも前田莉緒のことは片想いどころか、自分の中でも整理がついてない。

「ま、何にせよ、ジブンに現実世界あっちに帰る理由がありそうで良かったわ。それ、結構大事やで。」

「そうなんですか?」

「ああ、断言できるわ。現実世界に居場所がない奴がダイブにハマり、益々現実との接点を失ってダイブに依存する―。最近特に問題らしいで。姐さんは最初心配しとったが―まあ、大丈夫やろ。タリエルってイケメンにイカれとるが、任務はキッチリこなしとるしな。」

言葉にはアマーシャこと杉崎麗奈への信頼が伺えた。

そういえば、彼女はーアマーシャは想いを遂げたのだろうか?


ダルザともう一杯飲んだあと、俺はしばらく風にあたって酔いを醒ますことにした。

空は赤い。BiSiPバイシップでは夜にあたる。

この世界の最初の物理法則を設定した時の名残らしいが、どうしてこうしたのかは監理局も明確な理由は持っていないようだ。

しばらく歩いた先の丘から村を見下ろす。向こうに見える森のようなものは葡萄畑だろう。

目を閉じて深呼吸する。皇都サルダンディーに比べて空気がいい。これもBiSiPバイシップの環境物理ロジックの賜物だろうか。


「…でね、あたしはやっぱ、もう少し先になりそうなんだ…無茶はしないよ、約束する。あなたの大事な女性ひとの体だし、傷つけたりしないから。」

耳を疑った。聞き覚えのある声が近付いてくる。足音は2つ。

慌てて身を隠した。

「レナ…。」

「やっと名前呼んでくれたね。やっぱ嬉しいな。」

アマーシャだ。相手の男は遠目にも鼻筋の通った彫りの深い顔立ちをしている。肩まで届く長い髪も不潔な印象を与えない。この男がタリエルで間違いないだろう。アマーシャこと杉崎麗奈が一目惚れするのも納得できる男前だ。


俺はその場から立ち去ろうと考えて足を止めた。

どんな動線で戻ってもちょうど二人の近くを通ることになる。

―聖霊様、盗み聞きか?―

『しょうがないだろ、今でていくのも気まずいし。』

二人は並んで村を見下ろしながら話を始めた。

「化石の村に行くのか。」

「さっきも行ったけど、目的地は森の人だよ。連れにあたしと同じような状況の別世界の人がいてね…心を閉ざしちゃってるみたいなんだよね。森の人がそういうのを助ける技術を持ってるらしくてね。」

おいおい、それは任務を喋りすぎじゃねえの?

喉元まで出かかった言葉を抑える。

「森の人にそんなことができるとは聞いたことがない。」

「あたしも…。でも仲間に狩人がいてね、そいつが言うんだから試してもいいかなって。あの…本当のアマーシャを呼び戻す助けになるかもしれないし。」

「…」

タリエルの沈黙が伝わってくる。その沈黙に含まれる困惑をアマーシャ…杉崎麗奈も感じ取ったようだった。

「ちょっと…何黙っちゃってるの。ここは喜ぶところじゃない…アマーシャが戻る望みがあるんだよ…え?」

小さな物音と二人のつけている装備品が触れ合う音。目で追った地面には、先程まで向かい合っていた二つの影が一つになっている。どうやら見てはいけないものを見てしまったようだ。

今更姿を現すことはもう無理な相談だ。

「俺は…どうしちまったのかな。お前に…消えて欲しくない。」

「え…?」

「レナ、お前に…いて欲しい。」

「嬉しいよ、タリエル…」

「レナ…」

「でも…」

抱き締められていたアマーシャが優しく腕をほどいた。

「今のは相当嬉しかったよ。でも…あたしはアマーシャを呼び戻す道を探し続けるよ。その上であんたにあたしを選んでもらいたい。」

「…わかった。」

「ごめんね、めんどくさい女で。でも、中途半端は嫌なんだ。だから…あんたも考えといてね。ホントのアマーシャが戻ってきたらどうするか。」


やり取りから杉崎麗奈の覚悟のようなものが伝わってくる。

タリエルが自分にも愛情を抱き始めてるのを知った上で、最初の約束どおりアマーシャの意識を復活させようと言うのだ。

そもそもBiSiPバイシップ内のプログラムに一目惚れというのも分からないが、更に理解を超えた行動だ。

だが、筋を通すその姿勢に、俺は尊敬を覚えた。

『大した女だな。』

カルルも感嘆する。


一呼吸あってタリエルが応えた。

「わかった…だが、ひとつ俺も言っておきたい。化石の村には同行する。」

「え?何言ってるの?これはダイバー《あたし達》の用事なんだよ。自警団には自分の仕事があるでしょ。あたしの用事に付き合って危険な目に会う必要ないんだよ。」

「最近、化石の村付近で骸狼グモア・バルの目撃報告がある。あそこは只でさえ危険なところだ。バダハンデルの自警団にとっても威力偵察しておく必要がある。お前達だけ行かせる訳にはいかない。」

「…気持ちは嬉しいよ。でも、あたし達結構強いんだよ。第三の門のコマンドだって使えるんだし。偵察ならあたし達がついでにやったっていい。」

「分かってくれ。俺は…また失いたくはないんだ。」

絞り出すような声だった。本来のアマーシャに起こった忌まわしい事件を強く悔いているのだろう。先程までアマーシャにやり込められていた男と同一人物とは思えない押しの強さだ。

「タリエル…分かってよ…。」

言葉とは裏腹にアマーシャの声には感謝と愛情が込もっていた。

「俺と…俺の隊で化石の村の入り口まで行く。村の中に入るのは俺とムルジーとメルだけだ。残りは最悪の場合に備えて待機させる。足手まといにはならん。無茶もしないさ。」

「…わかった。ダルザ達にも話してみるよ。…ありがとう。」


話は纏まったようだ。仲良く寄り添って帰る二人が去るのを確認して俺も宿に戻った。

名前の出た自警団の二人は知らないが、アマーシャの様子が変わったのは想い人の言葉だけだからではないだろう。それなりの手練れが付いてくれるなら心強い。

逆にいえば、化石の村はそんなに危険なのだろうか。

『危険生物のなかでも危険視されるバギンという種がいる。』

カルルが俺の意識下の問いに答えた。

―なるほどね。どんな奴なんだ?―

『実際に戦った人間は氏族にはいない。だが噂では―。』


「ちょっと待ちな。」

宿の通用口を通って階段を上がった時だった。

アマーシャだ。

「えっと…」

突然のことで表情も作れない。

「見てただろ。」

言葉を聞くより先に、その表情で言いたいことはわかった。

「え…あ…まあ…。」

「いつからだい?」

ということは、彼女は丘の上のタリエルとの会話の途中で気付いたのだろう。こちらも気配は消していたはずだが、さすがは大先輩というところか。

「いつからだって聞いてんだよ。」

怖い。

『聖霊様、自分は怖い。正直に言うべきだ。』

ー俺もそう思う。言ってしまったほうがいい。ー

「わざとじゃなくて、先に丘にいただけなんですけどね。人影が来たから身を隠したら、二人の話が始まって…」

「てことは、全部か…あっちゃー。」

アマーシャが頬を赤らめておでこに手を当てる。

「…すみません…」

「……」

しばらくアマーシャは無言で考えていたが、俺を真っ直ぐ見た。

「分かってると思うけど、他言無用だよ。特にあたしが本来のアマーシャを呼び戻す方法を探すことは。」

「俺は、聞いてしまった話を喋るようなことはしません。でも、それはそれで…何が起こるか分からないですよね、杉崎さんに。彼女アマーシャは貴女に協力的とは限らない。」

「分かってるよ。任務に影響はさせない。方法を探すことと実行することは違う。」

「俺も一つだけお願いします。ダルザ…仙田さんにはちゃんと話してください。実行する前には。」

「分かったよ…じゃあ交渉成立ってことで。」

俺は、アマーシャこと杉崎の見せた笑顔の裏にある決意に不安を覚えた。その不安は、彼女がタリエルのところに戻った後も、俺がそれを見送って自室に戻った後も消えずに心に張り付いていた。


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