夢現
俺は微睡んでいた。ここは何処?
差し込んでくる、薄い光
俺は「ベット」に横たわっている
光は、俺の「瞼」を撫でていく。
今、俺は夢の中?現実?
夢現の中で、微かに遷ろう意識
そこに居るのは「母さん」?
俺に、背を向けている。
「こっちを向いてくれよ」
必死に叫ぼうにも「声にならない」。
声を上げる代わりに、手を伸ばそうとした。
身体のどこにも力が入らない。
俺の方を、振り向きもせずに「母さん」は
部屋を出て行った。
「俺を独りにしないでくれ!」
そう叫んだつもりだった。
俺は、また「夢」の中に引きずり込まれた。
夢の中
俺は、部屋で
白い布に包まれた「箱」の前に
蹲り、茫然としていた。
部屋は薄暗く、線香の煙が薄く立ち込めている。
喪服姿の人達はアパートの住人達だろう。
一様に、皆んな、項垂れていた。
「こんな悲しい事って有るかい」!
そう、拳を正座した太ももに叩きつけているのは
イヨさんか、、、。
俺の肩を抱き寄せ、涙を堪えているのは「テツさん」
秘かに、俺の母親に想いを寄せ、とうとう一言も
その想いを告げられなかったのだ。
俺に「ボクシング」を教えてくれた
タカさんなど
目を真っ赤に泣き腫らしている。
ウチの母親は、独り暮らしの若いタカさんを
弟の様に気遣い、いつも言葉を掛けていたらしい。
白い布に包まれ小さな箱に収まってしまった
「母親」
いつも楽しく、ご飯を食べた「ちゃぶ台」に載っていた。
誰が手向けたのか、白い百合の花
小さな額縁には、微笑む「母」
そう
未だ高校生の俺を残し
母は逝ってしまったのだ。
あっけ無い最後だった
乳癌だった。
葬儀は、アパートの住人達が
心を尽くして上げてくれた。
夢の中で
母さんが
モノクロームの額縁の中で
微笑んんでくれた気がする。
瞼に
カーテンから差し込む「朝日」
目にはいつも見慣れた部屋の天井が見えた。
相変わらず殺風景な部屋だ。
俺は上体を起こし。
大きく一つ溜息とも深呼吸ともつかない
息を大きく吐いた。
「殺し屋」
今の自分だ。
母親を無くして以来
身よりの無い俺は
施設に行くしかなかったが
その事を「イヨさん」が心配をした。
この子を施設にやる位なら、あたしが面倒見るよ!
周りの男たちは
「婆さん」そりゃ無理だろう?
と、最もな意見だったが
周りの男達も良い考えなど浮かばない。
しかし
マコさん
「俺が面倒見るよ」
と安請け合い。
イヨさんが
ヤクザの「部屋住みに連れてくつもりかい」
ってえらい剣幕だったが
そうではない。
本当に
マコさんの部屋で暮らすのだった。




