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戦乙女と魔剣士  作者: ストレルカ
3/5

再会

金属と金属がぶつかり合い、高い音だけがその場を支配している。

どんな騎士や戦士達であれ並みの目しか持てない者には、今どのような状態でぶつかり合っているのかわからないだろう。ティーアとジルの打ち合いはそれほどまでに苛烈なものであった。

今までの団員たちが使っていた模擬剣とは違い、今二人が使っているのは本当に人を『斬れる』剣だ。

ジルの剣は言わずもがな、増剣『エペタム』。

それに対し、ティーアの握っている剣は団員の誰もが知らない見た目をした剣であった。

形状はジルのエペタムと同じ、片刃で反り返っている。

しかし、エペタムと決定的に違うところといえば、炎を纏っていることにある。

事前にシュラが『こいつらの戦いを我々が囲むことはできない。砦の入り口前で全員観戦するように』と言った意味を団員達は実感する。

「……あっちいな。あの炎、ここまで熱気が伝わってきやがる」

かなり離れているはずの距離でさえ、こうして団員は熱さを感じている。

これを目の前で受けているジルの立場が自分だったら、と考えると全員が身震いしてしまう。人として仕方ないことでろう。

「『エペタム!!』」

ジルの掛け声と共にエペタムの能力の一つである『増殖』が発動する。

彼の手元に展開された魔方陣より、エペタムと同じ剣を抜き出す。

「ちょ……!?増殖するのは知ってましたけどこれは辛いですね……」

先刻まで優勢を取っていたティーアだったが、2本の剣と1本の剣ではやはり手数的に2本の方がどうしても優勢になる。ジルとしては1本の力だけで勝ちを取りたかったが、そうも言ってられない切迫した状況なのには変わりない。

何せ今目の前で後輩が握っている剣は、『火焔の戦乙女』のみが扱えるはずな武器なのである。それは即ち、目の前にいる男が戦乙女だということである。

いや、ジルは彼の正体に気付いている。

「『レーヴァテイン』!!」

一瞬の競り合いを経て、距離を取った刹那ティーアは剣をまっすぐジルへ向ける。

「っ!?」

向けられた剣先は一瞬発光した後に、全てを焼き尽くす炎を放つ。

急いで回避したので大きな傷にはならなかったが、それでも火傷したところはこの戦いにおいて致命的な傷になってしまった。

「くっそ……いってえなぁ……」

左腕と左足に少し大きめの火傷を負ってしまい、ジルは先程のような動きを封じられてしまう。

「さーさージルさん。詰めと行きましょうか!!」

じわじわとティーアが迫ってきている。

ここで負けても死にはしない。

しかし、ここで負ければ本来は死んでいる。

死にたくない。

ジルの心の中を生存本能が支配していく。

死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないシにたくないシニタクナイシニタクナイシニタクナイ――――

「『エペタム』!!!!」

自らの周りに10もの魔方陣を同時に展開させる。

「え……、うっそ……!?」

ティーアもジルに向けていた足を止め、まっすぐに再び剣を向ける。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

展開した魔方陣より、一気に剣をティーアに向かって放つ。

10の魔方陣から絶え間なく放たれる剣を彼はティーアは捌くので精一杯になる。

「手前の、敗因は……実戦経験と、生きる覚悟だよ……」

ティーアが必死に飛んでくる剣の応酬を捌いてる間にジルはティーアの後ろに回りこみ、魔方陣を閉じた後にティーアの態勢を崩し首筋に剣を持っていった。

「……もっともだよ。こんな再会になるなんて、ごめんね」

その言葉に、耐えられなかったジルはその場で彼女を抱きしめてしまった。




洗礼を終えた後は団員達が待ち兼ねた歓迎会と称した大宴会が催される。

わいわいがやがや、むさ苦しい空気がその場を包み込む。

「……うっせ」

「……同意」

今回の洗礼で一番場を盛り上がらせた男と、主役がしかし冷めているためメイン不在のただの飲み会と成り果ててしまっている。

「ティーア……。いや、レティシア」

「んー?」

「今まで、何してたんだ?」

聞きたいことが多すぎて悩んだ挙句、ジルから搾り出された最初の問いはそれであった。これにはティーア、もといレティシアも吹きだしてしまう。

「あはははは!ほんっと不器用なんだから……」

昔から変わってない、とぼそりと付け加えるがジルには届いていない。

「あの時ね……、知りたい?」

「ああ、知りたい……」

レティシアの瞳は少々の躊躇いを見せていたが、やがて覚悟を決めたようにジルに向き直る。

「じゃあ、話すね。あの時あったことを――――」

ゆっくり語り始める。

今は地図から消えた、ジルたちの故郷。『失われた村』に何があったのかを。

あれから2ヶ月がたってしまいました。読んでくださった方もいらっしゃったのに、続きを更新できなくて申し訳ありませんでした。私自身戦闘描写が大の苦手でして、この2ヶ月展開をずっと考えてまいりました。そうしてこうなりました。分かりにくい文になってしまっていると思いますが、申し訳ありません。

ティーア=レティシアです。これについて知っているのはジルとシュラのみなので、他の団員はこの先もしばらくはレティシアのことをティーアと呼びます。

お読みいただきありがとうございます。この先も続きますので、是非応援などしていただけると嬉しいです。ここおかしくね?とかここもっとこうしたほうがいいなどあったら遠慮なくコメントに残してください。今後ともよろしくお願いいたします!次の更新はできれば来週、できなければ再来週になると思われます。

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