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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

ワタシノ

作者: 大仏さん
掲載日:2014/01/29

 ある家の、ある部屋に、二人の女の子がいます。

 それだけなら、姉妹であるとか、友達であるとか、二人はそういう関係なんだろうなぁと、聞いた人は気にも留めないでしょう。

 さて、二人の女の子、片方はわたくし、筒ヶつがみね綾子あやこ。もう片方、つまり、

「はー、はー、っ、はぁ」

 歪んだ笑みを浮かべつつ頬を紅潮させ、倒れているわたしに覆い被さって荒い息を吐いている彼女は、社辻やしろつじちゃん。

 いかにも女の子な彼女の部屋で、二人の少女がこういう状況になっていると聞いたら、聞き手はどんな想像をするでしょう?

 わたしだったら、それくらい仲が良いんだろうなぁ、くらいにしか思いません。実際、わたしと辻ちゃんは仲が良いですし……真っ白な髪が首筋に触れてこそばゆい。

「あやちゃん、あやちゃん」

「ん? なぁに?」

 聞いてみても、辻ちゃんはわたしの名前を何度も呼びながら、顔を近づけて来ます。あぁ、またか、と思っていると、

「んっ、んふ」

 かぷり。そんな可愛らしい擬音がピッタリでしょう、首筋に噛みつかれます。

 どこか必死なその様子に、ゾクゾクとした快感が背筋を昇って来ました。

 やがて血が滲んできた様で、小さな喉を鳴らして一生懸命飲み込んでいます。なんて可愛いんでしょう。

 愛らしい辻ちゃんをもっと見たくて、小さな頭に手を添えて首に押し付けます。鋭い犬歯が食い込んで、ドクドクと出血していることが分かります。

 一瞬戸惑った様子を見せた辻ちゃんでしたが、直ぐに、より美味しそうに喉を鳴らします。同じ様に、彼女とわたしの鼓動も激しくなります。

 一体となっている感覚に、いつものことながら息が荒くなってしまいます。

「ん、んく、ふ、ん」

 一頻り飲んだのでしょう、上げた顔はすっかり蕩けており、口の端には赤い筋が一本。

 指の腹で拭い差し出すと、小さな口でしゃぶり付かれます。血と言うより指を味わう様に、隅々まで丹念に舌を這わせると、指をくわえたまま紅い瞳で見上げて来ました。

 空いている手で頭を撫でながら頷きます。

 指の腹にぴりりとした感覚。

 なんとも美味しそうに、わたしの指を味わってくれています。

 今度は暫く掛かるでしょうから、簡単に彼女のことを紹介しましょう。

 血を飲む。白い髪。紅い瞳。これらの特徴から、この娘が吸血鬼ではと考えた方もいるかも知れませんが、それは違います。この娘はわたしの幼馴染みで、わたしの血が大好物な血液嗜好症の、普通の女の子です。

 小学四年生の夏休み。自由工作をしていた時、カッターで指を切ってしまったのが始まりでした。わたしの指から出てきた血を、辻ちゃんは息を荒くしながら見ていたのです。

 そんな辻ちゃんを見たのは初めてだったので、病気か何かかと心配しましたが、何のことはありません。

 ――あやちゃんの血、欲しい。

 ただ、わたしの血を欲しがっているだけで安心したのは、今でもよく覚えています。まあ、ほんの四年前のことですからね。

 そんな訳で、その日から、辻ちゃんはわたしの血をよく欲しがる様になり、カッターは必需品になりました。

 そういえば、中学校に入学してすぐのこと。教室で指を切ったわたしと、その血を飲む辻ちゃんを、周囲の人は異質なモノを見る様な目で見ていましたが、どうしてだったんでしょう? 本当に異質だとしても、わたし達には普通ですから、そんな目を向けられることが理解できません。

 わたしを見つめながら血を飲む辻ちゃん、カメラに収めたかったですね。

 それから何度か教室で同じことをしていたら、別々に生徒指導室に呼び出されましたが、その時も血飲行為をしていたので無視しました。最優先事項ですから、当然ですね。

「ん、ちゅぷ……はぁ……」

 簡単では無くなりましたが、どうやら終わったみたいです。

「満足した?」

 勿論、答えは分かっています。

 服を弱々しく掴んで、潤んだ瞳でもっと、とせがむ彼女に、わたしの熱は昂ぶるばかり。

 あぁ、わたしの辻ちゃんは、どうしてこんなに可愛いんでしょう? あ、わたしの辻ちゃんですから、可愛いのは当たり前ですね。

 掬い上げた一房の髪に口付けをして、

「ベッド、行く?」

 微かに、本当に微かに、

「……」

 彼女は頷きました。

 

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