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13話「宿敵」

《スキル「鬼神法」をスキルポイント600消費して獲得しました。残りスキルポイントは60です》


 ふふふふふふ——これで勝つる!

 首を洗って待ってろよぉぉぉおおお! クソカマ共がぁぁぁあああああ!!


 時を差かぼること5分前——。


 え? たった5分なら初めからやれって?

 たかが5分、されど5分、俺にとっては屈辱の5分なんだよ!

 じゃあ始めよう。

 5分前、何があったのかを——!!


 モグモグ……モグモグ……ゴクン。

 ゴリラ肉も1/3食ったし、ちょっと落ち着こうか。

 思わず突っ込んでしまったが、1レベルで50ポイントは棚ぼた案件と言えなくなくもない。

 3レベルで5ポイントに比べたら月とすっぽん、ウサギとカメぐらいの違いがある。

 うーむ、560ポイント……どうすっかなー。

 結構俺ツエーを味わえた「射出」が200ポイント。だったらもっと多くのポイントを使えば更に俺ツエーを味わえるかもしれない。

 5000ポイントの「分子振動」なんてその筆頭だろう。

 なんだよ「分子振動」って。

 電子レンジを思い浮かべて聞いてみたら本当にあったチートっぽいスキル。

 ちょっと思い返してみたんだよ、電子レンジの危険な使い方って奴を。

 まず代表的で一番有名なのが金属NG。

 金属容器にカレーを入れてチンしたら、レンジの扉が吹っ飛んでカレーが飛び散り、大騒ぎになる。

 アルミホイルでサツマイモ包めば焼けるじゃ……とチンしたら、発火して大騒ぎになる。

 良い子のみんなは絶対に真似しないように!

 まあ、これが代表的なNG例だ。実体験なので間違いない。子供ってアホだよなー。

 次にNGなのは「生物」を「生きたまま」入れることだ。

 いつだったか、なんかの動画で見たことあるんだよ。

 無機質な部屋。

 安物の電子レンジ。

 白衣を着てフェイスガードを着けた科学者っぽい奴。

 そして、プラケースに入れられた元気なカエル。

 ここまで言えば分かるよな?

 そう、ピョンピョン跳ねてるカエルをそのままチンしたんだよ。

 あー、思い出しただけで気持ち悪くなった。


〈ボクノデバンダネ!〉


 思いで画像にまでモザイク掛けるとは、防衛本能、お前すごいな。


〈ソレホドデモナイヨー〉


 謙遜すんなって。素直に受け取れよ。


〈アリガトー!!〉


 それでいいんだよ。

 でだ、防衛本能が仕事したから詳細は語らないが、とりあえずモザイク画像になったとだけ言っておく。

 そんな電子レンジをイメージしたスキル、弱いわけがないよな。


『分子振動』


 絶対に5000ポイントの価値がある強スキルだ。レンチンと同じ効果があるとは思わんが、対生物においては無類の強さを発揮するだろう。魔法耐性とかあっても防御無視の貫通攻撃になると思う。それぐらいヤバい匂いがする。

 だがそんな高コストのチートスキル、今必要だろうか?

 ぶっちゃけ、今のところ例外を除けば全部完封勝利してるんだよなー。

 そうなんだよ、俺ってめちゃくちゃ強いんだよ。

 考えてみ。

 ゴキちゃん譲りの機動力に、地面も溶かす遠近両用の強酸ぶっかけ。弱いわけがねー。ほぼ無双状態だわ。

 あと4500ポイント溜めて「分子振動」を取ってどうするよ?

 打倒2Pカラーカマキリ?

 無理に決まってるんじゃん。超必殺技でこっちが消し炭になるわ。

 レッドドラゴンをペット化?

 こっちが尻尾振る立場だし、断れてプチッと潰されて終わりだわ。

 いつになるか分からない5000ポイントを目指す? 今はねーな。


 結論:とりま、低コストの強スキルを取って、化け物モンスターから確実に逃げられるようにする。


 ふっふっふ……実は、どんなスキルがいいか、既に思いついているのだよ。

 黒ゴリラを食っていて、こう「ピコーン!」って閃いたんだなー、こ・れ・が!

 俺に足りないもので即効性がありそうなスキル!

 それは——「身体強化」だ!

 ……。

 ……。

 ……。

 いやマジで、そう思ったんだよ。

 俺ってゴキタランチュラなわけじゃん。この虫ボディのどこに筋肉が付いてると? なんでこんな虫ボディで100メートル2秒切れると思う?

 これってたぶん、スキルの力だったり魔法の力だったりするんじゃねーかと思うわけ。

 ふ、だったらその強化スキルを取ればもっと速く動けるってもんよ!

 今でもノーマルカマキリ並みの素早さを誇る俺。それを強化しちゃったら——ヤバい奴らからでも楽勝で逃げ切れること間違いなし!

 おい天の声! 身体能力アップのスキル寄越せ!


《スキル『身体強化』に必要なスキルポイントは100です。獲得しますか?》


 やっぱいらねーわ。


《……》


 なんだよ100って。クソスキル確定じゃねーか。


《……》


 良いと思ったんだがなー。

 うーむ、そうするともっと強そうな名前の強化スキルじゃないと駄目だな。

 なんだ? 剛力とか韋駄天とかか?

 おい、天の——。


《スキル『剛力』に必要なスキルポイントは200です。獲得しますか?》


 保留で。韋駄天は?


《スキル『韋駄天』に必要なスキルポイントは2000です。スキルポイントが足りません。現在の保有スキルポイントは——》


 すぐインフレすんな。

 貧乏モンスターの俺の収入知ってんだろうが。


《……》


 ち、相変わらず使えねぇ奴だな。


《……》


 とりあえず韋駄天や分子振動みたいな「いかにもなスキル」は高いということは分かった。

 安いのは単純な名前でお手軽そうなスキルだ。

 たとえばそうだな……刺突強化なんてどうだ? きっと100ポイントじゃね?


《スキル『刺突強化』に必要なスキルポイントは100です。獲得しますか?》


 ほらな、やっぱり。


《……獲得しますか?》


 しねーよ。いい加減俺のこと分かれや。

 俺は二度と100ポイントスキルは取らねぇぞ。


《……》


 もっとこう、インフレ戦闘バトルマンガのように「はあぁぁぁあああ——はあっ!!」とか言って全体の戦闘力を上げるもんはねーの?

 スキル名はそうだな……超化……超ブルー化……いや、もっとそれっぽく『鬼神法』とかどうだ?

 鬼のような強さを持てるスキル。わかりやすそうでもあり、強そうでもある。良い線いってんじゃね?

 どうよ、天の声?


《スキル『鬼神法』に必要なスキルポイントは600です。スキルポイントが足りません。現在の保有スキルポイントは560です》


 おー、惜しい!

 でもなんかめっちゃやる気沸いてきた!!

 これを取れば更に無双できそうな気がする!!

 超重力の星で修行したみたいに、戦闘力が500から5000ぐらいになりそうだ!!


「——ィィィ——」


 ふふ、あと40ポイントなんてすぐじゃん。

 やっべ、俺の波が来てんじゃねーか?

 乗るしかない、このビッグウェーブにってやつ?


「キィ!!」


 は?

 なんで俺の前足2本が宙を舞ってるわけ?

 自分の足の付け根を見ると、血というか、変な色の液体が流れてる。

 宙を舞う2本の足。前足2本がなくなってる俺の身体。


「キィィィィ!」


 ああ、そっか、ノーマルカマキリに足を切り飛ばされたわけか。

 なるほどなるほど、逃げ足を潰して次は本命、と。

 頭めがけて振り下ろされる鎌。

 あー、また世界がスローモーションだよ。死ぬ瞬間ってやつ。

 このまま動かなければ1秒後には昆虫標本だ。


 ザク!!


 まあ、そんな未来は訪れないけどな。

 半身姿勢になった俺を掠め、深く地面にぶっ刺さる鎌。そして抜こうとして踏ん張るカマキリ。

 ふっ、詰めが甘い奴。やっぱコイツ馬鹿だわ。

 カマキリの背中に張り付き、ゲロ酸準備。

 注射針の前足はなくなったが、俺にはまだゲロ酸ぶっかけ攻撃が残ってるんだよ!

 死ねぇっ————ブチ!!

 ん? ブチ?

 下を見ると、小さなカマキリ共が俺の後ろ足だった物に群がり、美味しそうに食っていた。


「キキキキキ——」×10


 ……は?

 何こいつら?

 カマキリベイビーズ?


「キィーーー!!」


 カマキリが地面にぶっ刺さった鎌を抜くと同時に思いっきり身をよじる——と同時に吹っ飛ばされる俺。

 きりもみ状態で吹っ飛ばされながら現状確認。

 えー、まず……足が4本なくなっております。

 前足二本、後ろ足二本。八本あってよかったゴキタランチュラ。

 そして敵。

 ノーマルカマキリ一匹と、1/3ぐらいの大きさのカマキリベイビーが十匹。

 追ってはこないらしい。

 切り飛ばした前足と引きちぎった後ろ足を仲良くシェアして、家族団らんを満喫中。

 そして俺。

 数百メートル吹っ飛ばされて姿勢制御に失敗。羽があっても足がないとバランスが取れないらしい。

 地面を虫けらのように転がって不時着。羽もボロボロだ。追撃されてたら100パー死んでた。

 くっそ、めちゃくそ痛ぇー……。

 足をやられた瞬間はアドレナリンでも出まくってたんかな?

 ちょっとホッとしたら激痛がきた。

 足の付け根から謎の体液も出まくってるし、俺、ここで死ぬかもしれん……。

 あー、くそ、やっぱろくでもねー夢だわ、これ。

 ちょっと良い波に乗れたと思ったらすぐに台風が来やがる。こんなもんプロサーファーでもクリアできんぞ。体験学習の利用者には優しくしろや。☆1レビュー連打して荒らすぞ。

 はぁ〜、ま、いいか。

 次は美女ハーレムな夢を希望する。もちろん人間で——あ、勇者じゃなくてもいいぞ。魔王でも大富豪でもいい。ゴキちゃんやモンスターじゃなきゃ全部許す。

 天の声。

 お前は最低最悪のクソ野郎だったけど——まあ、お前のお陰でそこそこ楽しめた。

 じゃあな。

 もう二度と俺の夢に出てくんじゃねーぞ————。


《……》


 目が覚めたら会社行く準備しないとなー。

 クソ上司もいなくなったことだし、少しはマシな職場になるだろう。

 あ、そういえばそろそろボーナス日だったわ。

 なに買おうかなー。

 強力なカマキリトラップでも買って乱獲でもするか?

 佃煮とか天ぷらにすれば案外美味いかもしれん。

 覚悟してろ、近所のカマキリめ。

 お前らが周辺地域からいなくなるまで刈り尽くしてやるからな。

 夢といえ俺を散々苦しめた罪、そう簡単に償えると思うなよ——。


《経験値が規定に達しました。レベルが3から8に上がりました》

《スキルポイントを100獲得しました。保有スキルポイントは660です》


 ん?

 んん?

 んんん?

 レベルアップアナウンスと共に身体に熱が走り、無くなった足がにょきにょきっと生えてくる。

 ……死んでねーの、俺?

 身体を動かすと全部が元通りだった。

 カサカサ——バサバサ——ブスブス——。

 足も羽も注射針も元通り。

 キョロキョロ——。

 周囲を見てもいつものダンジョン。

 どうやらこの夢はまだまだ続くらしい。

 そして衝撃の事実が発覚。

 この夢はレベルアップしたら全回復するらしい。

 不親切な詐欺ゲーだと思っていたら、以外と優しいとこもあるじゃねーか。ちょっと見直したぞ。


《……》


 ……ふう。

 ……はあ。

 ……あぁー。

 …………あのカマ共、絶対に許さん。

 将来の魔王である俺を食うとは、養殖肉の分際で生意気な。

 あいつらマジで許さん。絶対にぶっ殺す。

 おい、スキル寄越せ。

 あれだあれ。えっと……そうだ、『鬼神法』。600ポイントだったよな。


《スキルポイント600消費して、スキル『鬼神法』を——》


 いいからさっさと寄越せや、グズが。

 俺の怒りは天元突破してんだよ。あいつらをぶち殺すまで八つ当たりしまくるぞ。


《スキル『鬼神法』をスキルポイント600消費して獲得しました。残りスキルポイントは60です》


 ふふふふふふ——これで勝つる!

 首を洗って待ってろよぉぉぉおおお! クソカマ共がぁぁぁあああああ!!


 ——ってことがあったわけよ!

 さあ、600ポイントスキルの力、あいつらの命で存分に試してやるぜぇ!

 ヒャッハー!!


執筆時間の都合で、本作の更新を一時停止します。


現在は新作——


【悲報】俺のSレア召喚獣、どう見てもオカン(58)なんだが。 ~「あんた顔色悪いわよ」と心配されながら、最強の過保護バリアでダンジョン無双


——を全力で執筆しております。

こちらも「竜種(笑)〜」と同様のコメディ全振りで、本作よりもきっと笑える自信作です。

ゴキちゃんがもしも人間で、ボケる相手がいたらどうなるかを味わえますので、ぜひ読んでみてください!

↓こちらからが作品アドレス↓

https://ncode.syosetu.com/n0533lq/

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