表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

流れ星よ降っておくれ

作者: そよごもち
掲載日:2025/12/13

 夜空がぽろぽろ落ちてきそうなほど綺麗な空だけど、一度だって落ちてきたことはない。


 流れ星よ降ってくれと願っているが、星座が変わるくらい時間は進んでいく。


「もう帰って寝ないと……」


 今日も見れなかった。もしかしたらここでは流れ星が見られないのかもしれない。

 一つ大きく息を吐き、うつむいた。湖面にはキラキラと星がこぼれていた。水面の星はいつでも手元にあるのに、空の星はいつまでもお高くとまっている。


 「って、うわ!」


 ぼーっとしていたせいか、足を滑らせて湖に落ちてしまった。その時、一瞬だけ世界が瞬いて見えた。夜空に浮かぶ不動の星が、流れて見えた。眺め始めて初めてのことだった。


「冷たっ、寒い寒い!」


 急いで岸に上がる。一瞬叶った気がしたが、寒すぎてそんなこと考えられない。早く帰ろう、温かい石油ストーブが待ち遠しい。

 暗い夜道で急いだせいか、地面につまずいてしまった。体が一気に落ちた。


「うわっ!またやった!」


 最悪だ、また転んだ。水には落ちていないが、もう今日はだめかもしれない。

 溜息とともに目を開けた。


 あれ、もう自分は動いていないのに、星が動いている。


 空にある全ての星が、弓で飛ばされた矢のように、一斉に流れてゆく。それは、一つ一つがキラキラと光り、水に落ちた体を突き抜けていくようだった。

 息を呑んだ。ようやく見ることができた流れ星に魅せられて、今までの苦労が吹き飛んでいった。


 やがて、流れ星は降り止んだ。この光景を忘れることはないだろうと、自信をもって言える。

 さて、家に帰ろう。満足感に浸りながら、寒さを忘れてゆっくり歩き出した。


……ん?何か忘れているような?


「あ、願い事言うの忘れてた!うわーっ、信じられない。次は絶対に、言ってやる!」


 さっきまでの静けさはどこに行ったのやら。どたどたと走って家に帰る。頭の上の星たちはキラキラと相変わらず輝いている。

 それは、また会えることを楽しみにしてくれているようにも、もしかすると、あわてんぼうをクスクス笑っているようにも見えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ