第六話―本質と諸要素―
第六話です。
作者の黒猫氏がツッコミ体質と云われた事があっただけあって、なかなかツッコミ系キャラの多い作品かと。
ちなみに「腐れ縁過ぎて発酵しかけた仲」ではある二人ですが、決して長年連れ添った熟年夫婦な感ではないです(;^ω^)
姉と弟、あるいは兄と妹の方が近いです。
第六話―本質と諸要素―
「大体、こいつは典型的な自分可愛いのタイプじゃないか。
そんなのと関わって泣きを見るのは何時だってまともな人
なんだぞ?お前は確かに常人と比べたら変わってはいるが
幼馴染でお人好しな分、誰かに利用されたくはないんだ。」
「……マルグレーテ。」
(何?この如何にも恋愛小説的な展開は!!)
この伯爵令息は所謂、ツンデレキャラと言うやつなのか?と
思える程、公爵令嬢に対する反応は私の時と比べて明らかに
違う。もしや、これが噂に聞く幼馴染最強説なのかしら?
「そう言えば此処に救いようのないヒロイン願望を持つ恋愛脳が
一人いたんだったな。先生にも言われただろうが、この世界は
小説の中でもなければゲームの世界でもない。異世界であると
言うだけであって後は現実そのものだ。妙な考えは起こすな。」
「何とまぁ、現実的かつメタな発言。夢もへったくれもありはしないわ。」
伯爵令息の発言に私が何か言う前に公爵令嬢の方が不満の声を
上げた。一旦は恋愛ムードにあるように見えた二人ではあるが
如何やら私の思い過ごしらしい。うん?待てよ……これは所謂
友達以上、恋人未満ってやつかしら?実際、如何なんだろう。
「イデオローグさん、私とマルグレーテの関係は腐れ縁過ぎて発酵しかけた仲よ!!」
「うわー、それってムードもへったくれもないじゃない!!」
「エルフリート、お前がそれを言ってしまうのか。」
余りの身も蓋もない言い方に思わず私は叫んでしまった。大体、
腐れ縁が過ぎて発酵しかけた仲って何よ?どさくさに紛れて
公爵令嬢までもが私の心を読んできたんですけど。これじゃあ
私の心臓が幾つあっても足りないわ!!それとも伯爵令息の
言う通り、私の考えは顔に出やすい。とでも言うのかしら?
「そうねぇ……イデオローグさんは、どちらかと言えば思ったことが
すぐに顔に出てしまう質の人よ。言い換えれば自分の感情に素直な
人だから私としては結構、可愛いと思うのだけれども如何かしら?」
「如何かしら?って聞かれても私は賛同しかねるのだが。」
(そりゃ、そうようね。何度も幼馴染が私によって陥れられそうになったら……)
好意を抱くなんてこと到底、出来やないよね。私だって彼と同じ
立場だったら絶対、信用なんかしないし。あ、やばい詰んだわ。
自分でもそう考えるってことは相手もまた当然、考える訳で……
「駄目だこりゃ。」
「ドリフ?」
「いや。全然、違うんだけど。」
誰が公爵令嬢と漫才なんかするかっての!!私は誰もが羨む
物語の世界でヒロインとしてヒーローに愛され幸せに暮らし
たかっただけで願望そのものは誰もが想像する普通のものだと
思っていたけれど今じゃ、この世界の法則上だと私の立場では
不可能かも知れないと諦めの境地へと近づいてしまっている。
「割とこの世界の住人は作者が作者のせいでメタなネタがたまにあるのよね。」
「そう言う今もメタな発言が目立っているわよ?」
「あら、イデオローグさん。貴女はもう慣れたかと思っていたわ。」
(慣れたも何も元は現代の高校生だし私。)
もう何て言って良いのか?グダグダである。折角、異世界に
転生したと言うのに元の世界の現代的なコントをする為に
私は転生したんじゃないわよ!!とか叫びたくなった。
「人って言うものは何処に生まれても本質を忘れないって言う話があるぞ?」
「マルグレーテ、貴方が専攻しているものは確か錬金術であって心理学じゃなかった筈よ。」
「だが全く興味がないと言う話ではない。」
「また、そうやって私を煙に巻く気?」
(嗚呼、私。また二人においていかれている。)
段々、慣れてしまったのか?私は一定の周期で二人の会話に
おいていかれていることに気が付いた反面、怒りすら湧かなく
なってしまっている。内心、心を一定周期に読まれているより
無視された方がまだマシだな。とすら思えてしまったのだ。
(このままじゃ私、自らの意思で単なるモブになってしまいそうで怖いわ。)
「安心しろ、お前みたいな性格の濃いモブ。そうそう、いやしないから。」
「マルグレーテ!それ全然、褒めてないから!!むしろ、貶してるから!!」
公爵令嬢は私に対する伯爵令息の暴言に本気で怒っていた。
要は言い方なのであろうけれど、どちらにせよ如何でも良い
ことだ。私と彼女、善性と悪性。どちらも交わらぬのだから。
pixiv版
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=25870466




