第二話―災難続きの一日―
第二話です。
第二話―災難続きの一日―
あれから一時間経った後、私は先生に呼ばれて職員室にいた。
理由は中庭での一件について聞きたいことがあるそうだ。私は
最初、これで悪役令嬢も終わりだと思い嬉々として向かった。
だが、私を待ち受けていたものは想像と全く違うものだった。
「イデオローグ君!君はなんということをしてくれたんだ!!」
「は?先生。一体、何の話をしているんですか?」
私は職員室に入った瞬間、何故か担任の先生に叱られので
首を傾げた。すると先生は私にこう理由を述べたのである。
「あのねぇ、イデオローグ君。何で中庭に大量の砂があるんだい?」
「それは、あの悪役令嬢のせいです。あの悪役令嬢のせいで王子様が砂を吐いたんです。」
「それだよ、それ。彼らは公爵令嬢と伯爵令息であって悪役令嬢でもなければ王子様でもないんだ。」
半ば呆れ返るような顔をした先生はそう吐き捨て眉を顰めた。
これではまるで私が出来の悪い生徒のようだ。と感じた私は
不満も露わに先生に対して率直な意見を述べたのであった。
「先生!全て私が悪いんじゃなくて、あの空気が読めない公爵令嬢が悪いんです!!」
「イデオローグ君。君の言葉を信じることになると、まるで空気に色があるようではないか。」
一体、どうしたらそんな話になるのだろうか?解らない話を
先生にされた。私が解らないと言うような顔をすると先生は
だろうなと言うような顔をして溜息を吐いた。何でよ!と思い
「どうして先生は私の言うことを聞いてくれないんですか?
どうして先生は私のことをそんなにも出来の悪い生徒のように扱うんですか?」
ねぇ、どうして?どうして?どうして?と分別のない子供の
ように私が駄々をこねていると先生は呆れた顔をして言った。
「どうして?も何も実際、それが事実だからではないのか?」
「え?」
「イデオローグ君、良く考えてもみたまえ。常識的にも一般的にも、どう考えたら
初対面の人間に罪を被せようとするんだ?しかも、それがありもしない罪状なんて。」
先生は私のことを虚言癖か妄想癖でもあるかのように明らかに
軽蔑の眼差しを向けていた。何で私がそんな眼差しを向けられ
なければならないのか?解らず私は私の思ったことをそのまま
言い続けた。それが周囲との溝を深め続けるとも知らずに……
「ありもしない罪状ではありません!先生!!あの女はいずれ
王子様を自分のものにする為、私のことを必ずイジメてきます!!」
「……イデオローグ君。なんだって君はそう、ありもしないことばかり口にするんだ。」
先生と私は同じようなことを繰り返し言い続けた。だが両者の
間には明らかに温度差があり言いたいことの趣旨も全く以って
違うので互いに互いが如何に気が合わないのか良く解る程だ。
「先生!私、嘘なんて吐いてません!!私はただ、あの悪役令嬢が
シナリオ通りに動かないことが許せないだけなんです!!」
「だから悪役令嬢なんて、この世に存在しないんだよ!イデオローグ君!!」
私は公爵令嬢が殊勝な態度を取ることで皆を騙そうとしている
のだと思い、それを先生に伝えようとしたら逆に怒られた。
どうして私が先生に怒られなければならないのか?全く意味が
解らない。もしや既に毒牙にかけられてしまったのだろうか?
「何で、あの女が私より目立つのよ!私は、この小説のヒロインなのよ?
主人公なのよ?なのに何で、こんな目に遭うのよ!冗談じゃないわ!!」
「……イデオローグ君、この世界は決して物語ではないぞ?」
心なしか先生の顔が引き気味に見える。内心、うわー……とか
心の声が聞こえてきそうだ。何で、そんなに私のことを残念な
人間のように見るのだろうか?結構、失礼だと思うんだけど。
「いいえ、先生。ここは恋愛小説の中の世界で私はその小説のヒロイン。
つまりは主人公なんです。だから私は幸せになる権利があるんです。」
「他人の幸せをぶち壊してでも?」
「そうです。」
「寝言は寝て言え!あんまりにも酷いと警邏隊に突き出すぞ!!」
思いやりの無さも、ここまでくれば天晴れだ!!とは言えず
先生と私の間には微妙な空気が流れた。その後、私は先生に
倫理も含め一時間に及ぶ説教を述べられた。大体、この世界は
私の為に作られたんだから好きなように動かして良い筈なのに
学校に通うようになってからは何一つ思い通りにならない。
「悪役令嬢め!後で覚えておきなさい!!必ずや、やっつけてやるんだから!!」
ゴチーンッ!!
私が職員室の前の廊下で、そう叫ぶやいなや天井から突然、
たらいが落ちてきて私の頭に直撃し、そのまま気絶した。
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