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【黒猫の箱庭】転生少女と鮮血公女  作者: 黒猫の箱庭
転生少女と鮮血公女
12/19

番外編1―令嬢達のピクニック―

本編終了後の書下ろし番外編が10話あります。

ここではそのうち番外編1話をサンプルに掲載してあります。

残りの番外編は購入してお読みください。

番外編1―令嬢達のピクニック―


ある晴れた日、私はエルフリートに誘われてピクニックに出掛けた。


「今日は絶好のお出掛け日和ね。これで一緒に

 来てくれる人がマルグレーテじゃなければ最高だったのになぁ……」


「悪かったな、私が一緒に来て。」


そう軽口を叩くのは私と向かい合わせにいるマルグレーテ本人である。

顔は良いのだが性格は悪く、おまけに口も悪い。エルフリートの幼馴染で

お目付け役を自認しているが私としてはエルフリートがお目付け役のように見える。


「まぁまぁ、そう言わずに一緒に楽しみましょう。」


エルフリートがそう笑顔で言うとマルグレーテは大人しくなった。

時々、エルフリートとマルグレーテの仲を見ているとカップルのように見えるが

本人達に聞くと幼馴染と言うか腐れ縁と言うかの二つに一つである。


「どうせならアスモデウス様やバアルゼフォン様のような素敵な人達と

 一緒にピクニックに出掛けたかったな。そうしたら、きっともっと楽しかったのに。」


「相変わらずハードルが高いことで。」


マルグレーテは私の言葉に対して呆れたような顔をして答えた。

彼の言葉を借りると私は何時も夢見がちで理想が高いそうだ。

とは言え彼はエルフリートや身内以外の人に対して毒舌なので

何処まで信用して良いのか?正直、解らないが。


「どうせ夢を持つなら理想が高い方が良いでしょ?」


「時と場合によるとも思うが。」


「また、そんなことを言って!自分はどうなのよ?自分は!!」


私とマルグレーテの会話は大体、売り言葉に買い言葉になってしまう。

どちらも自分の思ったことしか言わないから険が出来て衝突してしまうのだ。

そんな時、何時もエルフリートは私の味方をしてくれることが多い。

まぁ、絶対とは言わないのは彼女の性格ゆえにある特徴とも言えるだろう。


「二人とも何もピクニックに来てまで喧嘩することはないんじゃないかしら?」


「まぁねぇ……普通はそうよね。」


別にエルフリートは何か特別なことを言う訳ではない。

ごく普通のことを言うのである。誰だって好きで喧嘩をする訳ではない。

たまに好き好んで人に喧嘩を売る人も世の中にはいるが此処にいる私達

3人は別に喧嘩が好きな方ではない。むしろ嫌いだと言える方である。

かつての私を除けば。


(敗因は解っている分、今は穏便に過ごしたいのよね。)


と言うか穏便に暮らさないと命がいくつあっても足りない目に遭った。

遭ったからこそ今、この場に私はいる訳だが。命の恩人であるエルフリートを

見ながら私は前世のことを思い出していた。かつての自分は今以上に

自己中心的な性格をしており自分が幸せになる為には手段を択ばなかった。

より具体的なことを言えば自分が満足する結果になるまで執拗に周囲を荒らし続けていた。

それ故、最後はよく解らない内に殺されてしまったのだが。


「今、思えば大それたことをしていてわよね。私って……」


「今でも十分、若いと思いますが?」


「エルフリート、それは前世の話よ。若いって言う誉め言葉は受け取っておくけど

 前世の私は自分自身でも言っては難だけど褒められた人生なんて送ってないわよ?」


「つまり若気の至り。とでも言いたいのか?」


「残念ながら、その限度を超えていると思うのよね。中二病と言うにしても高校生でも

 アレだと言うのに大学生すらも超えて大人になっても変わらなかったんだがら……」


うわーって言うような顔をマルグレーテにされたが私は仕方がないと思った。

実際、今の自分でも、うわーって感じるくらいだから他の人達は皆、言わずもがなだ。


「でも、もう過去のことですよね?」


「えぇ、もう前世のことだからね。」


「なら、この話はもう終わりです。」


過去のことは変えられないから今の話をしよう。そうエルフリートが言っているように

私は感じた。過去のことを知りたくないと言う意味ではなく、過去のことをどれだけ

振り返ったとしても何も変えることが出来ないからだ。なら今を変えてけば良いだけの

話だとエルフリートは解っているのだ。エルフリートの言葉以降、私達は自分の過去に

ついて触れることはなかった。勿論、それぞれに過去が存在しているからこそ私達は今、

此処に集まっている訳だけれど直接の理由はそれではないこともまた解っているのである。


「あ、このサンドイッチ。美味しい!!」


「そう?私はこのおにぎりも美味しいと思うのだけど。」


なんて私とエルフリートが互いに互いの作ったものを褒めている間、マルグレーテはただ

黙々と自分の作った弁当の中身を咀嚼していた。本人曰く他人に褒めて貰えるような代物

ではないらしく全部、自分で食べるとのこと。ただ単に全部、自分で食べたいだけなのか?

それとも単なる見栄っ張りなだけなのか?はたまた本人の言う通り本当に不味いのか……

真相の方は私には全く解らないのだった。念の為、私はマルグレーテの料理の腕を知る為に

エルフリートに一つ質問をしてみることにした。ちゃんと答えるかは解らないけれど。


「エルフリート、一つ質問をしても良いかしら?」


「良いわよ、ポラリス。」


「マルグレーテの料理の腕前は良い方なの?それとも悪い方なの?」


私がエルフリートにそう質問すると息を飲むような音が聞こえた。

音の正体のする方へ向くと、その正体はマルグレーテだった。

普段、落ち着いている方のマルグレーテが何故、今日に限って緊張しているのだろうか?

私が不思議に思っているとエルフリートが私の質問に対して、こう答えた。


「悪くはないけれど伯父様と同様、ビーカーやフラスコで作るから

 そんなもので作る料理なんて食べたくないって言う人がたまにいるの。」


「あー、そう言うことね。」


なるほど作り方に問題があったと言うことねと私は納得した。ただ現代人の私は

昔、小学生や中学生の時など理科や家庭科の調理実習の際にそれらの器具を使い

料理をした経験もあるから然程、抵抗感はない。だからマルグレーテがそれら器具を

使い料理を作ったとしても別に気にはしなかった。だがマルグレーテの方は以外にも

そう言うことを気にする質なのか?今回、一人で食べていると言う訳だ。


(別にそんな連中、放っておいて好きに言わせておけば良いじゃないの。)


と私は思ったが、それを口にすることはなかった。普段、マルグレーテに対して

気を使うことが出来ない自分に対する、ささやかな自重と思いやりを込めて。


◇◇◇


そのほかの番外編はBoothにて!

https://dgdc-shop.booth.pm/items/7421972

pixiv版↓

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