第十話―転生少女と鮮血公女―
第十話です。
第十話―転生少女と鮮血公女―
「解らないことが一つだけあるのよね。」
「一体、何が?」
「私をこの世界に引っ張り込んだ人のことよ。」
そう言って私は中庭から見える空を眺めていた。時間は今、
丁度、お昼休みである。あれから一緒に行動するようになった
公爵令嬢と伯爵令息との関係は腐れ縁と言ったところだろうか?
「マイノグーラじゃないのか?本人も、そう言ってたことだし。」
「なーんか、違うのよね。あの様子じゃ、私はただのエキストラとしか
思われていなかったようだし。まぁ、狂言回しとしては良い方だとは
思うけど決め手に欠けると言うか何と言うか蘇生したとは思えないわ。」
「あ、それって……」
「何か知っているのか?エルフリート。」
私の発言に対して公爵令嬢は何か思い当たる節があるようである
だが、それが何なのか?全く予想が出来ず伯爵令息は公爵令嬢に
先を促した。すると公爵令嬢は、はにかんだ笑みを浮かべて……
「肉片にまで刻まれていた貴女を蘇生したのは実は私なの。」
「え?えぇぇぇぇぇーーーー!?」
私は俄かに信じがたいことを聞いたような気がした。だって私は
今まで公爵令嬢に対して反抗的な行動ばかり繰り返していたし
仲良くしようだなんて、これぽっちも思っていなかった。まぁ、
公爵令嬢の性格上、恩着せがましいことを言うタイプじゃないから
わざわざ、そんなこと言う訳がないんけれど……ねぇ?これじゃあ
貧乏くじを引かされたも同然じゃないか?普通は怒ると思うけど。
「そ、そんなに驚くことかしら?」
「驚くに決まっているでしょう!?だって私……」
「目の敵にしていた相手が実は命の恩人だったからな。」
伯爵令息の言葉に私は頷いて見せた。普通、常識的に考えれば
命の恩人に対して礼くらいは返すだろうに私ときたらどれだけ
恥知らずの行動を取り続けたのだろうか?嗚呼、考えるだけでも
顔から火が出そうだ。此処に穴があったら入りたい気分である。
「だって恩着せがましいことはしたくなかったんですもの。
それに貴女とは何時か分かり合えると思って、ずっと対話を
続けていたんです。そしたら、こうして仲良くなれましたし。」
「こう言うのを腐れ縁と言うのよ?エルフリート。」
暗に信じていたと言われ微妙な気持ちになった私はわざと天然
である公爵令嬢に対して不貞腐れた態度を取った。それでも
公爵令嬢は私に対して笑顔を見せてくるところあたり矢張り
気が合わない。とは思いつつ私もまた自然と笑みが浮かんだ。
「私なんかみたいな女を助けても恩を仇で返されるだけよ?」
「あら?イデオローグさん。普通、悪人はそんな風に忠告は
しないものよ。するとしても笑顔で何人から金を取り幾ら
金を騙し取るか?考えているだけ。生産性も何もないわ。」
「相変わらず厳しいお言葉で。」
私が公爵令嬢と付き合い初めてよく解ったことがある。それは
詐欺師に対して嫌悪感を持っていると言うことだ。私みたいな
人生勝組にこだわるような輩について嫌ってはいないようだが
詐欺師に限っては何故か、その範疇には入らないようである。
(彼女の頭の中で何が明暗を分けたのだろうか?)
「それに私、貴方に少し負い目を感じていたの。」
私が公爵令嬢の詐欺師に対する嫌悪感について推察をしている
間に公爵令嬢は気になることを言った。普段、悪人らしからぬ
公爵令嬢なのに何を後ろめたく感じているのか?全く解らない。
「この世界には沢山の種族が人間と同じく地上で生活をして
いるのだけれど私はその中でも半分、吸血鬼で半分、夢魔
と言う変わった経歴を持っているせいか?誰か自分の血で
治療したり蘇生したりすると私と同じように自分で運気を
あげることが出来なってしまうの。黙っていてごめんなさい。」
(あー……それで私、前世なんでもなかったのに不幸体質になったんだ。)
納得する反面、不満に感じることはなかった。また怒りが湧く
こともなく、ただそう言うことね。と思っただけで特段、何か
感慨が湧くこともなかった。腑に落ちた分、ましではあるが。
「別に命に別状はないから特に気にしていないわ。」
「本当に、ごめんなさい。」
申し訳なさそうな顔をする公爵令嬢に対して私は気にしていない
と答えたが、しばらくの間、公爵令嬢はずっと俯いたままだった。
仕方がないので私は伯爵令息と一緒に公爵令嬢が立ち直るまで傍で
励まし続けた。何で、こうも公爵令嬢はお人好しが過ぎるのだろうか?
内心、溜息を吐きながらも私は公爵令嬢と付き合い続けることを決めた。
実はこのシリーズ、第一シーズンが今作が最終回になります。
勿論、第一シーズンと云った通り、第二シーズンも決定いたしました!
なので「転生少女と鮮血公女2」をお待ちください(^▽^)/
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