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85.2022年8月 貨物船

藤原秋風(ふじわらあきかぜ) 28才 2011年高校三年生に転生し、大学卒業、四菱商事へ入社後、司法修習を経て独立。

貨物船の進水式が横浜港で行われた。

四菱郵船のお偉いさん、秋風の会社のメンバー等関係者が多く来ている。

「おめでとうございます。遅れましたが、やっとこの日が来て一安心です」担当の本澤国裕氏が秋風の横にいた。

「ありがとうございます。途中でエンジンの変更とコロナ対応で遅れたので致し方ないですね」秋風も本澤氏に答えた。

「エンジンを水素エンジンにすると聞いたときにはどうしようかと思いましたが、エンジン設計はタンカーと変わらなかったのであまり影響はなかったです。しかし、間に合って良かったです」一安心している本澤氏。

「水素にこだわり申し訳ないですが、今後の主流になっていくと思っています。エンジン部分は大型モーターなので気にはしていませんでしたが、電気ユニットが心臓部分なので苦労掛けました。」

「そうなんですよ。水素を燃やすだけなら簡単でいいんですが、水素燃料電池の製造に苦労しました。石谷産業さんとの提携が大きく役にたちました。間に入っていただき感謝しかありません」

四菱郵船の水素エンジン開発には秋風の会社が石谷産業への増資と重なり上手くいったのである。


「四国初の水素ステーションが高知で来年に完成する予定なので、燃料供給も一安心です」

「四国には水素ステーションがないと聞いて驚きました。」

「風力や太陽光発電を水素にすれば蓄電率が高く、劣化しないことに気づかない事と、目の前のコストしか分からずに全体が見えていない、電力会社と水素事業者とが連携できていなかった事ですかね」

「快晴の中お集まりいただきありがとうございます」頼んだ司会者が軽快に進めてくれている。

ぶら下げられたシャンパンのボトルの停め紐を切る役目は千尋夫人に任せた秋風は席で見ている。

勢いよくシャンパンが割れ、音楽が流れる中、船が進水していく。

高音のモーター音がしている非常に静かな船であり、フェリーなどの印象と全く違っていた。

「エンジンかかってる?」ほとんどの人が周辺の人と話している。

「本船は水素燃料電池によるモーター駆動船との事で非常に静かですね。これから東京港で荷物を積載し、液化水素の還元を使用する事で効率よく冷蔵に使用し、ハワイとのパイナップル輸送を可能にしていると聞いています」司会者が説明してくれた。


水を掻き分ける音だけがする船体を眺める秋風。

近くに千尋もやってきた。静かに腕組みをする。


「来年はタンカーね」千尋が話しかけた。

「タンカーは長崎だから、徳島までカーフェリーで行って高知経由で小旅行もしよう」

嬉しそうな千尋は秋風にくっ付き挨拶に付き添っている。


翌日の朝刊に、『世界初の水素エンジン貨物船が進水式で初披露。静けさに驚き』と載っていた。

会社の電話が鳴り止まなかった事は言うまでも無い。

 個人資産   ドル:14万ドル 円:5000万円

 日本秋風預金     80億円

 日本秋風資産    228億円

 日本運用資金    135億ドル(約1兆8千億円)

 ハワイ秋風     60万ドル

 ドバイ秋風     7億ドル

 ドバイ秋風(運用)  22億ドル

         8800億円 

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