21.2016年2月①(四菱郵船)
藤原秋風 22才 2011年高校三年生に転生し、大学卒業し就職へ。
神田浩介 秋風の同期 山梨出身 実家はもも農家
本澤国裕 四菱郵船、船舶設計担当
北半球ではトウモロコシの収穫が始まる6月から、小麦、大豆と続き11月までが収穫続きとなり忙しい時期の後は冬場は追肥、雑草取りの時期となるため、農家は他の副業を行うことが多い。
商社担当は、北半球と南半球との収穫時期の差により1年通して比較的忙しく交易が可能となっている。
その中でも比較的余裕のある2月に、神田浩介から藤原秋風の携帯電話に電話がかかってきた。
「先輩から、藤原君に電話するなら2月頃が良いと言われてね。言われたとおりに2月になったので電話したんだ」
「気を遣っていただきありがとう。神田君の場合は、一年中忙しいのに申し訳ない」
「オイルに季節はないからね。頼まれていた運輸会社に声を掛けたので、一緒に行こう」
「ありがとう、先方の都合の良い日程が分かれば、合わせるのでメールで教えて欲しい」
「分かった。いくつか都合の良い日程を聞いてからメールする」
「ありがとう」そうお礼を言うと、直ぐに電話を切る神田。
暫くすると神田君から電話がかかってきた。
「早いね、どうしたの?」
「先方から、これから会えるのでどうかとの事だったんだ」
「ありがとう、僕は大丈夫なので、1階で待ち合わせようか?」
1階に向かう藤原の前から城島トレーナーが近づいて来た。
「少し、海運会社に行ってきます」
「分かった」そう言うと城島トレーナーはチーム部屋へ入っていった。
通りからタクシーを拾うのかと思っていたら、歩き出す神田浩介。
「タクシーじゃないの?」
「いや、隣のビルだし」
「郵船なんだね」
「べた過ぎた?」
「いや、そうだよな、と、あまりにも普通すぎて戸惑っただけ」
「日本での海運なら四菱郵船だろ」
「うんうん」
「商船もあるけどな」
「お前、郵船の前でその名前出すなよな」
受付嬢に声をかけた神田。
ロビーで待つと、担当が降りてきた。
「本澤国裕です。よろしくお願いします」
名刺交換する秋風。
「大型船舶の注文と聞きましたが」
応接へ案内する本澤氏の後に続く
応接でお茶を出してくれた女性が退室するのを見て
「オイルタンカーと貨物船をお願いしたいのです」
秋風を見て止まる本澤と神田。
「すみません、200億円から300億円ほどの注文になりますし、設計に入る段階で1割ほどの前金が必要となるのですが、大丈夫でしょうか」
まあ、若者からの注文じゃあ驚くのが普通であろう。
「ドバイの貿易会社からの注文なので大丈夫かと思います。ただ、オイルタンカーはドバイ籍、貨物は日本籍を考えています」
「日本籍となると日本法人が必要になりますが」
「日本法人も設立予定なので大丈夫です」
「今からですと大雑把に考えて、順調に進めば2018年設計、2019年製造開始、2022年に完成と思われます」
「いいですね。その計画で進めてください。」
神田は一言も発せず見守っている。




