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2.2011年3月①(3.11)

藤原秋風(ふじわらあきかぜ) 18才 個人商社を起業し奮闘していたが、2011年の高校生に転生中

大田エディ政知 弁護士・秋風の祖母「千尋」の友人・顧問弁護士でもあり、単身ハワイに来た秋風を助ける

2011年3月11日15時00分(ハワイ時間3月10日20時)

亡き祖母のハワイの家でテレビを凝視する大田弁護士と秋風。

挿絵(By みてみん)

携帯を見ると20時。自動で切り替わってしまうようだ。

地震速報だけ永遠に繰り返されている。

『津波のニュースがない』

携帯で放送局の電話に片っ端から掛けるが、電話中。

危機管理センターへ掛ける。

「はい、こちら内閣府危機管理センター」

『かかった。神様ありがとう』無神教だが、教会を通ったからだろうか神に感謝した。

「津波が起こる。岩手、宮城、福島の海沿いの人たちを避難させて!お願い」

「緊急時のいたずら電話は処罰されます。緊急対策に迷惑になるので掛けないように」

「あ、本当です。嘘でもいいから、待避だけさせて」

言っている途中で切られた。

「だめだ」うな垂れた秋風。


「君は何をしているんだい」大田さんが不思議そうに見ている。

「地震の後の津波被害が酷いんです。待避させないと、多くの人が亡くなります」

「君は地震に詳しいのかね?」普通は疑問に思うだろう。

「いえ、先ほど教会に行ったときの神様の訓示です」そうとでも言わないと信じてもらえない。

「なるほど、信じよう。」大田弁護士がどこかに電話した。

「hi,mark.....」誰かに事情を説明している。

笑顔になった大田さん。

「ヒッカム海軍基地に知り合いがいて、海軍から日本に緊急連絡をしてもらうように伝えたが、ペンタゴンが夜中なので、強い連絡は出来ないらしい。日本の在米軍への懸念事項連絡のような形らしい」

ニュースを見ていても津波に関しては触れられていない。


ネットで拡散しようとしても、情報が流れすぎて上手く伝わらない。

16時(ハワイ時間21時)が来てしまった。津波の情報が流れてきたが、状況を好転出来なかった。

「残念だが、君は出来るだけのことはしたよ。混乱している時に、しかもこんなに離れているのに頑張ったよ」実際の津波の様子を見ていて、驚いた様子の太田弁護士。

「ハワイには早朝に津波が届くはず。大きな被害は無いと思うけど、海軍に話しておいてください」

「hi,mark.....」先ほどの海軍の友人に電話してくれている。


両親とはメールでやりとりをしていたが、特段の混乱はないらしい。

帰宅にとても時間がかかった程度と言っていた。

秋風は落ち着くまでハワイにいるように言われた。

「まあ、生活費には困らなそうだしね」


「秋風君、夕飯はどうするかね」

「ありがとうございます。食欲はないですが、何かお勧めはありますか?」

「観光では海鮮がメインだけど、ステーキなどもいい店が多いぞ」

この夜は大田弁護士にステーキを奢ってもらうのであった。

15年前は、観光で疲れ切って熟睡していたが、今回はニュースを見ている。



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