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星降る夜の約束  作者: 九条
第1章 星の本との出会い
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第3話 夢と本

翌朝、花は目を覚ますと、まだ星夜との夢の余韻に浸っていた。彼との出会いが本当に夢だったのか、現実だったのかはわからないが、心の奥に確かな温かさが残っていることを感じた。


「おはよう、花。昨夜はよく眠れたかい?」


朝食の準備をしている祖母の声に、花はふっと我に返った。


「おはよう、おばあちゃん。うん、とてもよく眠れたよ。」


花はダイニングテーブルに座り、昨夜の夢について考えながら、トーストにバターを塗った。


「それは良かったね。昨夜は遅くまで本を読んでいたようだけど、何か面白いことが書かれていたのかい?」


祖母は優しく微笑みながら、花の隣に座った。花は一瞬ためらったが、昨夜の出来事を話すことに決めた。


「うん、実はね、おばあちゃん。昨日、本屋で見つけた古い本のことなんだけど…。」


「『星の導き』のことかい?あの本は確かに興味深いものがたくさん詰まっているね。」


「そう、それなんだ。あの本を読んでいたら、夢の中で星の精霊に会ったの。」


「星の精霊?それはまたロマンチックな話だね。どんな精霊だったの?」


「星夜って名前の青年で、とても優しくて、私の願いを叶えるために現れたって言ってた。」


祖母は少し驚いた様子で花の話に耳を傾けた。「星夜…ね。そんな夢を見たんだ。それで、花はその星夜に何を願ったの?」


「まだはっきりとはわからないけど、私の本当の願いを見つけるために、心の旅をするって言われたの。」


祖母は深く頷き、「なるほどね。花、夢は時に私たちの心の奥底を映し出す鏡のようなものだよ。花の心の中には、何か強い願いがあるのかもしれないね。」


「そうかも…。おばあちゃん、私、本当にその願いを見つけられるかな?」


「もちろんだよ、花。君は強い子だし、きっと見つけられるさ。大事なのは、自分を信じることと、周りの人々と心を通わせることだよ。」


花は祖母の言葉に励まされ、再び決意を固めた。「ありがとう、おばあちゃん。私、頑張ってみる。」


その後、学校へ向かう準備をする花は、心の中で星夜の言葉を何度も繰り返していた。自分の本当の願いを見つけるために、星の力を信じる決意を新たにした。


---


放課後、花は再び「星の書房」に足を運んだ。店主の穂積さんが優しく出迎えてくれた。


「こんにちは、花ちゃん。今日はまた何か面白い本を探しに来たのかい?」


「こんにちは、穂積さん。実は、昨日買った本のことで少し相談があって…。」


「『星の導き』のことだね。あれは特別な本だから、君が興味を持つのも無理はないよ。何か困ったことがあったのかい?」


花は少し緊張しながらも、昨夜の夢について話し始めた。「実は、昨夜その本を読んでいたら、夢の中で星の精霊に会ったんです。星夜っていう名前で、私の願いを叶えるために現れたって…。」


穂積さんは驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。「それは興味深い話だね。君の心が本当に強く願ったから、その精霊が現れたのかもしれないね。」


「そうなんでしょうか…。星夜は、私の本当の願いを見つけるために心の旅をすると言ってました。」


「それは素晴らしいことだよ、花ちゃん。君の心の奥底には、まだ見つけられていない大切な願いがあるんだろうね。その願いを見つけるために、君自身と向き合うことが大事なんだ。」


花は穂積さんの言葉に勇気をもらい、「はい、頑張ってみます」と力強く答えた。


「何か困ったことがあったら、いつでも相談に来てね。僕もできる限りのことを手伝うよ。」


「ありがとうございます、穂積さん。」


---


家に帰ると、花は再び『星の導き』を手に取った。今度は、もっと深く読み進める決意を胸に。


「星夜、本当にありがとう。私、あなたの言葉を信じて、自分の本当の願いを見つけるために頑張るよ。」


花は本を開き、再び星の伝説に没頭した。彼女の心は、星の力と共に新たな冒険へと向かっていく。


---


こうして、花の新たな旅が始まった。彼女はまだ知らない。この先に待つ数々の試練と、それを乗り越えることで得られる大切なものを。しかし、彼女の心には、星夜の言葉と星の力が確かに息づいていた。

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